作品

風狂の振り子  
プロジェクトD
 古来より、悪魔は人類を堕落させ、地獄に落とすべく画策してきた。
 権力欲、情欲をはじめとするあらゆる欲望や、怒り、嫉妬、虚栄心、殺意絶望などなど、あらゆる感情をくすぐって人間を堕落させようとしてきたのである。
 その努力は現在でも続いている。例えばこのように……。
アイテム、コメディー、エロ
第1話  ここは、魔界の大手企業、マジック・クラフト・エンジニアリングの商品開発部極東エリア担当第2製作課。
 第2製作課は主に、人間界で日本と呼ばれている国向けの商品を開発している。
 今日行われているのは、新商品開発のためのミーティングである。
第2話  心に刺さる。とはまさにこのとだろう。
 このダーツが魂に刺さった者は、それを投げた者に魂ごと絡め取られてしまうのだから。
大 門「ところで波留間、ダーツって、高得点を競う遊び方より、決められた点数を早くゼロにした方が勝ちっていうやり方が主流なの知ってた?別に出す得点が高けりゃいいってもんじゃないんだぜ」
波留間「フ……そ、そんなこと知っているに決まってるじゃないッスか」
倭 文「なに動揺してるんですか?波留間先輩」
第3話  大門武彦の前に現れる謎のお嬢様美人。
 ふたりを結び付けたのはなんと運命の赤い糸だった!
 子供の頃に仲の良かった女の子と遊んだ糸電話。
 その糸が運命の赤い糸であったのか!
 今、大門の胸に幼き頃の糸電話の記憶がよみがえる!
倭 文「今度はいったいなんの番組の次週予告のパクリですか?伴天院先輩?」
伴天院「パクリって言うなぁ!」
大 門「おまえら、いい加減真面目に内容紹介しろよな」
閑話 「はい、お電話ありがとうございます。マジック・クラフト・エンジニアリング広報部、猿巻がおうかがいします……はい……はい……はい、かしこまりました、担当の者に代わりますので、もう一度お名前をうかがってよろしいでしょうか?……はい、それでは少々お待ち下さい、…………部長、『魔界第一放送』の荒木場さんという方からテレビ取材の申し込みですが……」
(エッチシーンなし)
第4話 倍 紋「三角関係……両天秤……あれも欲しい、これも欲しい……」
倭 文「なにブツブツ言ってるんですか、倍紋先輩?」
倍 紋「いや、課長に、今回の話の中身をひとことで表現しろって言われて。……両手に花……濡れ手で粟……坊主丸儲け……」
倭 文「だんだん意味が変わってきてますよ、倍紋先輩」
第5話  それは突然の出来事だった。
 商品開発部部長の後森が、俺のデスクに来てこう言い放った。
「大門くん、来月1日付で、倭文くんを第2製作課から商品開発部部長付に異動にするわよ、いいわね」

 波留間「うわぁ!なに真面目に内容紹介してるんスか!」
 大 門「だから、ここはそういう場所だろ」
 倍 紋「ええー!初耳ですよー!」
 倭 文「いちおう、ずっと内容紹介のコーナーだったはずですよ、先輩方」
 伴天院「終わる!この話の終わりが近いぞぉ!」
 大 門「なに言ってんだよ、おまえら」
第6話  ここは、かつての商品開発部極東エリア担当第2製作課。
「フ……」
 ―閉鎖中―、と書かれた札を見ながらその男は眼鏡をクイッと押し上げる。
 あの事件の後、第2製作課は解体され、1名が解雇、残りのメンバーも他の部署へと転属させられた。
「まあ、今の僕には関係のないことですが」
 そう呟くと、倭文淳・商品開発部部長補佐兼統轄マネージャーは去っていった。

愛欲の鬼
 目を閉じれば、心に浮かぶのは、桜の花舞う中、佇む自分と姫様の姿。笛を吹く自分の傍らで、姫様は、穏やかな笑みを浮かべて笛の音に耳を傾けている……。
 その日々が、永く続く事はないと、わかっていた。ずっと共にいるのは叶わぬ事であると。
 そして、今となってしまっては、もう取り戻すこともできない……。
 花びらを散らす風が、自分にとって大切なものまで散らしてしまったかのように……。
今昔物語、オニ、ダーク
 染殿后……藤原明子(ふじわらのあきらけいこ)。藤原北家の太政大臣、藤原良房の娘。文徳天皇の女御となり、後の清和天皇を生む。絶世の美女であったといわれ、その美貌について触れられている記述も多い。その一方で、狐、天狗、物の怪などに憑かれたエピソードも多く残っている。
其の一  紺青鬼(こんじょうき)……激しい復讐心、嫉妬、愛欲などに憑かれた人間は、死後、鬼と化すといわれる。漆を塗ったように黒、もしくは紺青に光る肌と、鋺(かなまり)のように光る大きな目が共通の特徴である。
 己が鬼となる原因となった感情にとらわれ、仇の一族郎党皆殺しにしてなお、憎悪の炎に身を焼かれる鬼や、人を操り狂わせる鬼の話が残っている。
其のニ  滋岳川人……九世紀半ばの陰陽師。陰陽頭になる。陰陽術、ことに遁甲術に長け、その術によって、土地神をも出し抜いたという。かの安倍晴明の登場する、百年ほど前のことである。
其の三  相応……九世紀後半に活躍した天台僧。慈覚大師こと円仁の高弟。藤原良相に信任され、悪霊の調伏を行うなどの霊験を発揮。染殿后に憑いた、紀僧正・真済の悪霊を払った話も残る。

黒い虚塔〜その時、魔界が動いた〜
 マジック・クラフト・エンジニアリング……魔界有数の大手企業。人間を堕落させるための、様々な商品・サービスを提供するだけではなく、魔界向けの商品でも、今や業界トップに躍り出ようとしている。その原動力となった人気商品、ディー・フォンの開発者として一躍注目されているのが、彼、倭文淳である。
プロジェクトD続編、アイテム、悪魔、オフィス?
人物紹介  登場人物紹介
第1話  この話は、大門武彦が、マジック・クラフト・エンジニアリングを解雇されて、数ヶ月経った後の物語である。(時系列的には、『プロジェクトD』第5話とエピローグの間のお話)
第2話 「さあ!記録が出ました!116!最長不到です!」
倭 文「ていうか、あんた誰?」
第3話 倭 文「名付けて、<給湯室から愛をこめて>制服Ver.かな」
第4話 倭 文「狸と狐の化かし合い、うまく化かすのはどっち?」
第5話 倭 文「催眠カード、略してSaicaって商品名はどうかな?」
――ボリボリボリ……。
第6話前編 後 森「あなたを殺して私も死ぬの!」
倭 文「そんな場面ないですから!部長!」
第6話後編 後 森「ごめんなさい。おわびに私の純潔を……」
倭 文「あなたの純潔なんてはじめから無いでしょうが!」
第7話 倭 文「これが、新商品の性欲処理器です」
氷 毬「誰が新商品なのよっ!」
最終話 倭 文「それでは、今回の『その時』です」

Love Fishing
 ここは、庭にある物置を改造した、通称・ボク専用ラボ。
「ようし、できたぞ」
 ボクは、今までの発明品の中でも、最高傑作であろうそれを取りあげた……。
ショートショート、釣り竿、ハーレム
Love Fishing

結婚相談所へようこそ
 必ず理想の人を見つけてくれる結婚相談所。その噂を聞いたのは、10日ほど前。
「たしか、このあたりよね?……あら?こんなところ、前からあったかしら?」
 私の目の前に、結婚相談所の看板が立っていた。
ショートショート、金屏風、認識操作
結婚相談所へようこそ

ZIPANG〜The Golden Byobu〜
 ――ピンポーン!
 ドアを開けると、くりっとした目の美人が立っていた。
「どうも!アサオニ結婚相談所から、ご注文の品をお届けに参りました!」
ショートショート、金屏風第2弾
ZIPANG

悪魔の流儀〜堕天使たちの挽歌〜
 かつて、神に反逆し、天から追放された天使がいた。
 彼らは、やがて悪魔と呼ばれるようになった。悪魔を堕天使ともいうゆえんである。
「ああ、おまえは天から堕ちた、明けの明星、暁の子。おまえは地にに投げ落とされた」『旧約聖書』イザヤ書第14章より。

※『プロジェクトD』、『黒い虚塔』最終話の後のお話。
プロジェクトD最終章、悪魔、道具、ややシリアス
人物紹介  登場人物紹介
第1話  それは、なんでもない、そう、本当に普段どおりの大門家の休日だった。
 そんな日に、彼女は俺たちの前に現れたのだった……。
第2話  暗い部屋の中、携帯をいじっている男……。
「フフフ……これでいい。さあ、早く来るんだ。薫ちゃん」
第3話 綾 「幸さん…。お願いがあるんですけど……」
幸 「あら、なにかしら、綾さん?」
綾 「その…私をこの家で働かせてください!」
第4話  俺の視界に数人の人影が飛び込む、あれは…銀髪の女!
「ついに見つけたぞ!あいつらのせいでッ!」
 俺は、スピードを上げ、右にハンドルを切った。
第5話  綾 「え?今回は、私が主人公…なんですか?」
梨 央「もう〜、綾さんずるいですよ〜!」
第6話 「あれがターゲットだよ、アヤ」
ご主人様が指さしたのは、茶髪をツインテールにした小柄な女の子だった。
第7話  私は、薄暗い部屋に入ると灯りもつけずに机に向かう。私は、梨央ちゃんにあんなひどいことを…そして、大門様を。
 頬を伝う涙を、私は止めることができなかった。
第8話  事を終えて、俺の腕の中で眠る綾の銀髪を、そっと俺は撫でてやる。その寝顔は、とても幸せそうだ。
 綾の頬に残る涙を軽く拭い、俺も眠りにつくことにした。
第9話前編  翌日、出社した俺は、マステマ・シティ・エンタープライズという会社に関して、できる限り情報を集めることにしたのだった。
第9話中編  その女性が私たちを見て微笑む。局長は、魅入られたようにその人の顔を見つめている。たしかに綺麗な人だけど、どうしてだろう?胸騒ぎがするのは?
第9話後編 「ここねっ!」
 私がドアを思い切り開けると。大門様が裸のまま金髪の女と抱き合っていたのだった。
第10話前編  目が覚めると、そこはハーレムだった。しかし、俺にとっては、嬉しさよりも嫌な予感の方が大きかった。
第10話後編  絶体絶命の俺たちの前に舞い降りたのは、天使。しかし、そう呼ぶには、彼女はあまりにも力強く、怒りに満ちた目をしていた。
選択肢  電話口から聞こえてきたのは、間違えようもない、かつての俺の部下の声だった。
大門エンド  たとえ、永遠ともいえる長い時間になっても、私は大門様に仕え続ける。きっと、それが私の運命なのだから。
倭文エンド  倭 文「いわば、これが『黒い虚塔』の真のエンディングというところでしょうかね」

洗脳メカ エムシーファイブ
 20XX年、地球は異星人の攻撃にさらされ、未曾有の危機にあった。
 その危機に立ち上がったのは、彼、天才発明少年、作泰三であった。
ショートショート、ロボット、バカ
洗脳メカ エムシーファイブ

お洗濯しましょ!
「店長!これでばっちりなのです!」
「うむ、後はこの町に、この店を見つける奴がおるかどうかじゃの」
 白髪の老人と、三つ編みの少女が見上げる先。そこには『魅惑の店 ムラタ』という派手な看板が掛かっていた。
中編コント、洗濯機、感情・人格操作
洗濯機 「なんじゃこりゃ?」
 俺が立ち止まったのは、住んでいるアパートから100mも離れていない路地裏だった。
柔軟剤 前編  俺たちの目の前に現れたのは、やや切れ長の目をした黒髪の美人。目の大きさと髪の色は違うが、その顔は沙紀にどこか似ているような気がした。
柔軟剤 後編  俺の目の前で繰り広げられる美人同士の争い。そして、モンスターと化す沙紀。嗚呼っ、俺の運命やいかにっ!
洗濯糊 前編 兼 一「なんか、着せ替え人形みたいだな」
沙 紀「もうっ、ケンちゃんったら私で遊ばないでよねっ!」
洗濯糊 後編 兼 一「何も足さない、何も引かない。やっぱこれだよな」
沙 紀「ケンちゃん!それってパクリだよっ!」
アイロン 兼 一「ちっちゃくなっちゃった!」
沙 紀「何が?て、ええっ、私!?」

教室のハナコちゃん
「んんっ、あっ、イイよっ、ヒロキ!」  私の目の前で体を重ね合うカップル。
 女の子の胸ははだけ、下半身の繋がった部分からいやらしい音がする。
 そんなふたりの姿を見て、私の心がズキンと痛む。
 私も、こういうことをもっとしておけばよかった……。
機械、幽霊
教室のハナコちゃん

馴奴(じゅんど)
「こちらが、結婚して退官なさった桐山先生の後任の保健医として我が校に来られた竜泉寺岳夫先生です」
 そう、校長先生に紹介されて、男子生徒たちが落胆のため息をついた。
 私たちに向けてお辞儀をした人は、まだ若い男性だった。
 痩せぎすで、目つきの鋭い新任の先生は、私には少し不気味に思えたのだった。
催眠術、やや鬼畜
馴奴(じゅんど)

馴奴(じゅんど)二 〜定期検診〜
「じゃあ、いいかい由佳。僕の言った通り上手くやるんだよ」
「はい、任せておいてください、先生」
 栗原由佳は、竜泉寺の言葉に大きく頷くと妖しく微笑んだ。
催眠術、認識操作、ねっとり系?
前編  ここは、保健室。私はこれから竜泉寺先生の検診を受けるの。だから、裸にならないと。
 そうするのが当然だと考えながら、木下佐知子は服を脱いでいった。
後編  深夜、真っ暗な部屋の中に湿った音が響く。
(これができないと、竜泉寺先生にお薬をいただけない)
 それだけを考えながら、ベッドの中で佐知子は自分の指をしゃぶり続けた。

馴奴(じゅんど)三 〜ラスト40m〜
 競技場のトラック、スタートラインに立つ少女。吹き抜けていく風が少女の頬を優しく撫でている。
 少女は、体を屈め、身構えた。そして、合図と共に少女は走り出す。
 まるで、彼女自身が風になったかのように。
催眠術、認識操作
馴奴(じゅんど)三

馴奴(じゅんど)四 〜花折る人〜
 古人曰く、美しい花は手折りたくなるものである、と。
 その花が、気高いものであればなおさらのことである。
催眠術、陵辱
前編  お嬢様育ちで、周囲にちやほやさてきた葵に、その、地獄の日々はある日突然降りかかってきたのだった。
後編 折花攀柳  少女は、日々、男に抱かれる。
 まるで娼婦のように、その度に相手を替えながら。
後編 双花競艶  美しさを競い合うように互いに体を絡め合うふたりの少女。
 だが、その淫らな戯れは、危ういほどの脆さを孕んでいるようにも見える。

かくれんぼ
 雑木林に、かくれんぼをする声が響く。
「もういいかい?」「もういいよ」
 帰ってきた返事はひとつだけ。
 それは、たったふたりだけのかくれんぼ。
 それでも、ふたりは幸せだった。
 それは、ふたりを繋ぐ夏の間だけの淡い想い出だったのだから。
呪い、純愛
かくれんぼ

犬坂長者の物語
 むかしむかし、とある山里に、犬坂と上杉というふたりの長者がおった。
 犬坂と上杉の家は、それはたいそう羽振りが良かったそうじゃ。
 じゃが、ある日、犬坂の家にひとりの旅の修験者がやって来ることになった。
 今思えば、それが、全ての災いのもとであった。
呪い、民話風
本編  右手の印が脈打つ度に、初は心も体も自分のものではなくなっていく様に感じた。
 ドクン…。
 印の脈動が、目の前の修験者がおのれの主人であると初の魂に囁いているように思えた。
後日談 「お志乃、儂は犬坂の男を下僕に、女は奴隷にしようと思うのじゃが」
「結構なことでございます、佐太夫様」
 はたしてその言葉の意味を本当に理解しているのか、志乃は嫣然と微笑んでいたのだった。

黄金の日々〜悪魔たちの黄昏〜
 それは、はるか昔、まだ、神や悪魔が今より人間たちにとって身近な存在であった頃の話。
 神と悪魔はしばしば相争い、人間たちもそれぞれの立場に分かれて争っていた。
 これは、そんな神と悪魔の争いにおける、あるひとりの悪魔の物語である。
ファンタジー、悪堕ち
第1部 プロローグ  のどかに牛が草を食んでいる農村。
 この、いかにも平和な村が悪魔たちに狙われているとは、いったい誰が想像し得たであろうか。
第1部 第1話  稀に、神の寵愛を受け、祝福される人間がいるという。
 なぜか、そのような人間には若い女性が多いらしい。
 だが、アンナの場合は、夢の中で文字通り神に愛されていたのだった。
第1部 第2話  エルフリーデがアンナを守り、アンナがエルフリーデを導く。
 その約束を交わした瞬間から、エルフリーデの心は蜘蛛の糸に絡め取られていたのだった。
第1部 第3話 前編 エミリア 「いよいよあたしの見せ場ねっ!」
シトリー 「いや、おまえの見せ場後編だから」
第1部 第3話 後編 エミリア 「初めてのお使い、品物は魔導長、なんてね」

あに、いもうと……
 それは、長い間、犬坂の人間を縛りつけてきた忌まわしい呪いがようやく終わりを迎える、その、少し前の物語である。
呪い、純愛、近親相姦
あに、いもうと……

 

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