ドリームチャット


 

 
《ROOM#3》



TOSH「でも、ナナさん」
 TOSHの台詞。背筋に悪寒が走る。言葉使いこそ優しいが、一番恐ろしいのはこの男だ。

TOSH「もしかして、今日はもう終わりとか思ってませんか?」

 え? 笑顔の仮面が剥がれてしまう私。
「本日は、楽しんで頂けたのではないのですか?」
 まだ【正直】の効果が残っているせいなのかは分からないが、聞かずにはいられなかった。

TOSH「楽しんでるよ〜。そりゃあもう」
HNA 「うんうん」
TOSH「でもね、僕たちまだまだこれくらいじゃ満足できないんだよ、残念ながら」
ill 「そうだな、これからが本番て気分じゃな」

 その文字の並びは私を愕然させる。
「そ、そうなんですか?」
 私は失礼を承知で質問した。

TOSH「だってせっかくの提案システムをまだほとんど使ってないじゃないですか」
ill 「そうじゃな、今日は全然使ってないかもな」

 ディスプレイ下のアンテナが視界の隅に映る。
 先ほどの恐怖が蘇ってきた。
 自分が乗っとられる恐ろしさ。
 意志とは無関係の行動、他人が発したような自分の言葉。
 私のものではなくなり、弄ばれた肉体。
 不安と悔しさで目蓋に液体が溜まり、歯が震えた。
「お願いです、何でも言うこと聞きますから、あのシステムだけは勘弁してください」
 心からの懇願だった。頬を温かい液体がつたう。

HNA 「ナナさん泣いてますよー、可哀想ですよ」
ill 「そうだ、TOSHは酷いヤツだ! 資本家による搾取反対!」
TOSH「何ですかそれ。う〜ん、でもな〜、何でもやるって言っても限界があるし」

 リーダーはこの人だ。つまりTOSHさえ説得できれば全員を説得したも同じと言える。
「本当に何でもやります。来てくれるなら、その、身体を捧げても…いいです」
 いいわけはなかったが、あの恐怖を味わいよりはいい。本当にそう思えた。

TOSH「あはは、そいつは光栄ですね。でもナナさん、そんなことこのシステムの素晴らしさに比べればね〜。説明するより、試してもらえば分かるかな」
ill  「お、なんかやる気か」
HNA 「今回は予想できませんね」
TOSH「では早速」

 提案スペースでカーソルが点滅する。

【巨】
【乳】

ill 「ほほぅ、なるほど」
TOSH「どもども」

 え? 私には意味が分からなかった。巨乳の人を新たに呼ぶの? よく分からないが逆らっても仕方がない。
 全員一致で承認され、アンテナが光る。

HNA 「すみません、承認したものの僕よく分かんないんですけど」
TOSH「HNAさんはまだ2回目だっけ? 見てれば分かるよ」
HNA 「はーい」

 見てれば分かる? 私もカメラを見つめ無理やり微笑みつつ、目の端で誰が入ってくるのか扉を見ていた。二人で何かをやらされる? アクセス者は直接手を出せないから、女同士で何かをさせられるのだろうか。初めての人が女の人だなんて…。
「え?」
 その時、胸に違和感を覚え首を下に向けた。
 手の平の内側で乳房がうごめいていた。
「え? え?」
 思わず胸を隠していた手を外すと、充血していた乳首は元の小粒に戻りつつあったが、乳房は明らかに一回り大きくなっていた。

HNA 「なるほど、これはすごい」
TOSH「うちのナノマシン技術は国内トップですからね。これくらいは簡単です」
ill 「見栄はりおって、2ヶ月前に初めて成功したくせに」
TOSH「ちょっと、ばらさないでくださいよ〜」

 参加者たちは勝手に納得しているようだが、私は信じられない。
 だが肩にずっしりと今まで感じたことのない重みがあるのは確かだ。マッサージ器でも当てているように細かく震えている乳房は、まだ成長を続けているようだった。
「嘘? 嘘ですよね? そんなことって。私のおっぱいが大きくなってるなんて」
 直接そこにあるものと画面に映った自分自身を目が往復する。見間違いではなかった。重力に逆らうように前方へ突き出した楕円型は保ったままで、胸はますます豊かになっていく。
 桜色の乳輪も少し面積を増し、しぼんでいた乳首は収縮したまま大きくなっている。
 やだ、そんな…。私は制御を外れた右手がブラを脇の棚に置いたことを思い出し、慌てて引っ張り出して乳房にあてがった。

TOSH「ナナちゃんそれは無理だろ〜」

 TOSHの言葉が画面に踊った。以前は少し余裕があったCカップのブラを胸に当ててみると、上下左右に豊満な胸肉を余らせてしまう。

ill 「うむ、ミニ水着みたいでいいのお」
HNA 「うんうん、セクシーですねー」
TOSH「あはは、でも留められないんじゃないですか?」

、観客が言うように、背中に回した紐は強めに引っ張っても届くことはなかった。
「そんな…」
 私は引っ張りすぎて今にもちぎれそうなブラを棚に戻した。私の動きを追うように、双丘がぽよんと大きく揺れた。
「あんっ、そんなに揺れないで」
 私のつぶやきに、ギャラリーの歓声が上げる。

HNA 「ブラボー!」
TOSH「大きくて柔らかいのに張りがあって形も良くて、すばらしい胸だよ」
HNA 「ほんとほんと、その巨乳でナナさんますます綺麗になったと思います」
ill 「良かったな、少なくてもGカップはあるぞ、間違いなく」

 たしかに、画面に映るやっと成長が止まったらしい私の胸は大きくてつややかで、乳首もつんと上を向いていて自分でも綺麗だなと思った。でも…。
「勝手なこと言わないでください。これじゃ肩が凝って大変だし、街を歩くのも恥ずかしいじゃないですか」
 ずっしりとした重量感。巨乳の人って、こんなに重い物をぶらさげて毎日生活していたのか。

TOSH「ははは、恥ずかしがることなんかないじゃない。見せびらかしてあげれば、みんな喜ぶよ〜」
HNA 「そうですね。すれ違っただけでドキドキしちゃいます」
ill 「ブラは通販で買えばいいのがあるぞ」
 他人事だと思って、言いたい放題だ。
「そんな…。そりゃ少しは、嬉しいですけど」
 もしかするとかなり嬉しいかもしれない。

TOSH「あはは、良かったね〜。ナナちゃんもこのシステムの素晴らしさが分かったでしょ? 」
 このシステムでしかできないこととはこれのことか。
「はい、確かにすごいと思います」
 すごいと素晴らしいは微妙に違うわけだが。

TOSH「だろだろ〜、お望みなら肌や瞳の色だって数十秒で安全に変えられるよ。リクエストある?」
「いえ、遠慮しておきます」
 これ大事な身体をいじられるのは堪らない。
TOSH「そっか〜。ナナちゃんはもう充分過ぎるほど綺麗だからいいか。その気になったら整形もあるしね。そうそう、整形じゃできないこんなこともできるよ」
 また提案スペースにカーソル。私は唾を飲み込む。

【天】
【気】
【話】
【=】
【性】
【感】

 天気話=性感? なんのことだろう。

ill 「助詞を省略しやがって、せこい奴じゃな」
TOSH「いいんです、通じれば」
HNA 「よく分かんないけど賛成します」

 承認3、棄権1。
 提案は議決されました。
 非情な画面の表示。
 PCから送信アンテナ、体内のナノマシンへ。得体の知れないデータが飛ぶ。

 アンテナの発光は止まったが、身体に違和感はなかった。ささやかな安心と未来への不安が入り混じる。

HNA 「何がどうなったんですか?」

 HNAが私の疑問を文字にした。

TOSH「さあね〜、ところでHNAさんの方は、最近の空模様はどう?」
HNA 「へ? どうって、TOSHさんの所とそばじゃないですか。変わんないっすよ」
TOSH「いいから答えて」
HNA 「んと、今週はずっと晴れてて、温かい日が続いてるかなー」

 ずっと晴れ…。その文字を脳の言語野が解釈した瞬間、下腹部に熱が生まれる。

HNA 「そんなに外歩かないからわかんないですけどね。ぽかぽかして気分がいいんじゃないですか」

 あ…!? 晴れで、ぽかぽか…。子宮を柔らかい筆でなぞられたような快感が奔り、あそこが熱くなっていく。
「はぁ…。どうしてなんですか? 私、変です…」
 触ってもいないのに、性器を撫でられているような感覚。

HNA 「あれ? ナナさんどうしたの? 顔赤いですよ。息も荒いし」
ill 「おまえのせいじゃろ。わしの方は、雨がしとしと降ってるぞ」

 あぁ…雨が降ってるんだ…。雨だなんて、たまらない。想像しただけで、陰唇が湿り気を帯び、ぐっしょりと濡れ始める。

HNA 「雨ですか、大変ですね〜」

 雨。雨がざんざん降ってる、私のあそこを水滴がびちゃびちゃ落ちてくる。
 自分でも理解できない興奮が身体を焦がしていく。
HNA 「あ、ナナさんの内股、溢れてきてますよ」
ill 「乳首もエロく尖ってきたぞ」
 見ると、乳房にあわせて成長した乳首は充血をはじめていて、私のものとは思えない大きな赤豆がそこにあった。
「私、どうなっちゃてるんですか? とっても変なんです、ふわぁ」
 荒い呼吸に合わせていやらしい吐息が漏れてしまった。

TOSH「あはは、面白でしょ? ナナちゃんにとっては、天気の話が性感になったんだよ。天気の話題をしたりされたりされるのが、クリトリスを撫でられるのと同じくらい気持ちいい快感なんだ」
 TOSHが答えてくれた。

HNA 「へー、そりゃすごい。だからですかー」
ill 「イギリス人とは会話できないのお」
TOSH「うは、実際のイギリス人は天気の話なんか滅多にしませんけどね〜」
ill 「いや、ウェールズの奴らはするんじゃって」
TOSH「ほんとですか〜?」

 観衆は気楽でいいが、当事者の私にとっては一大事だ。
「そんな、私そんな変態みたいな人間じゃありません」
 私は精一杯叫んだつもりだったが、喉から出てきたのは細く弱々しい声だった。

TOSH「そうだよねー。ナナちゃんは真面目ないい娘だもんね。ところでナナちゃん、事務所の周りは曇りのち時々雨の降水確率40%だけど傘持ってきた?」

 背骨に電流が奔り、身体が痙攣する。曇り。のち。雨。降水確率…。TOSHの言葉は私の肉体に蛇のように絡みつき、乳房を揉み陰核をまさぐる。
「きゃふぁっ! もう…止めて…。私を犯さないで…ください」
 私が狂わされる。私のすべてが蹂躙される。

ill 「チャットの文字、それもどうでもいい天気の話に犯されるなんて、変態みたいじゃなく正真正銘の変態じゃな」
HNA 「うーん、天気フェチなんて聞いたことないですねー」
TOSH「別に僕らは犯す気なんてないんですけどね。ただナナちゃんにこのシステムの
素晴らしさを知ってもらいたかっただけで」

 この人たちは、どこまで私をもて遊べば気が済むのだろう。
 私は涙と涎れを溢れさせながら、再び懇願した。

「何でもします…。何でもしますから、もう許してください」
 TOSHが反応する。

TOSH「う〜ん、ナナちゃんにそこまで言われちゃね。僕らも鬼じゃないから、天気の話は今後しないよう気をつけますよ」
ill 「そうじゃな、窓の外で異変がおきればつい手が滑ってしまうかも知れないがな」
HNA 「illさんひどいです。僕は絶対しませんよー。それより何でもしてくれるなら、頼みたいことがあるんです」

 今日のお客たちの中では一番若そうなHNAが言った。
「はい…。何でも遠慮なく言ってください」
 私は頬を流れる水滴を指で拭ってから答えた。

HNA 「わーい、じゃあですねー、巨乳化記念に前屈みになって手でよせてみてください」
 若者かと思っていたHNAも実際はエロオヤジだった。だが、ここで機嫌を損ねるわけにはいかないので、恥ずかしさを我慢して素直に応じる。
「えっと、こうですか?」
 二の腕で挟むように乳房を寄せ、腕の先で下乳を持ち上げる。カメラに向かって前屈みのポーズ。
 画面で確認してみると、汗ばんだ深い谷間とこぼれそうな量感が自分でも驚くほどセクシーだった。

ill 「おおー!」
HNA 「あ、もう僕ダメっすよ」
TOSH「うん、いいね〜。じゃあ、次は自分で揉んでみて」

 TOSHの発言。
「えっ?」
 予想できないことではなかったかも知れないが、そうなるとは思っていなかった私は驚きの声を上げてしまった。

TOSH「当たり前だろ〜。そんなに素敵なものを持ってるのに使わないのはもったいないよ」
HNA 「マジっすか? もう僕ダメっすよ」
ill 「直接しゃぶれないのが残念じゃがな」

 もたもたしていると何をされるか分からない。
 さきほど自慰をさせられた時の手の動きを思い出しながら、手の平で大きな乳房を掴むようにしてゆっくりとこね始める。大きすぎて手に収まらないので先ほどのようにはいかないが、段々とコツを掴んでいく。乳房の中腹を掴むようにして双丘が左右対称に回転するように大きく動かしていく。巨乳に沈んだ指が心地よい弾力に押し返される。画面に映った美しい乳房がぐにゃぐにゃと形を変えながら弾むように揺れる。
「こうですか?」
 上目づかいにカメラを見上げながら質問する。私の都合などお構いなく、アクセス者たちに満足してもらえるまでこの宴は続くのだ。一度は収まった身体の疼きが少しずつ復活してくる。

TOSH「おお、いいね〜」
HNA 「柔らかそうでもうたまらんすー」
ill 「うん、上手いぞ。ワシから褒美をやろう」
TOSH「褒美? また変なことを」

 提案画面が点滅し文字が表れる。

【淫】
【乳】

 提案語が確定された。

TOSH「淫乳?」
ill 「そうだ。巨乳は性感が鈍るというではないか。それではナナ殿が可哀想だからな」
TOSH「へ〜。illさんにしては気がきいてますね。コンピュータがその言葉をどう解釈するかも興味深いですし」
HNA 「前みたいにハングアップしないだろうな?」
TOSH「あ〜、それは言わない約束じゃないですか」
ill 「そうだったか。あんな興醒めはもう御免じゃぞ」
TOSH「もう完璧ですよ、ええ。(ドキドキ)」
HNA 「では投票しましょう」

 勝手に話がまとまる。私は無駄なあがきだと分かっていながらも拒否。
 承認3、反対1。よって議決。

 PCの駆動音がいつもより長い。
TOSH「あはは、考えてる考えてる」
ill 「本当に止まらないだろうな」
TOSH「だから大丈夫ですって。多分始めてのキーワードなんで、末端命令の生成に時間がかかっているだけです。…と思いたい」
HNA 「えー!?」

 システムのハングアップ…。男たちの言葉によって生まれた私の微かな期待を、アンテナの発光が粉々にする。
 体内のナノマシンへ命令が注入されていく。何も感じない恐怖の刻。
 背中がびくっと痙攣する。
「はうっ」
 最初に感じたのは、熱。蕩けそうな熱さが胸の内側で起こり、激しい疼きが乳房全体を包む。
「おっぱいが、熱い…」
 吐息と共に言葉が漏れた。

ill 「始まったな」
HNA 「ナナさん頑張れー」
TOSH「どうなるのかな〜」

 乳房の疼きは胸中を駆け巡りながら頂上の乳首へと集約されていく。
「はうぁ」
 蕩けそうな乳首を囲む桜色の乳輪がぷっくりと大きく浮かび上がってくる。

HNA 「おお! 乳輪があんなに浮いてる」
ill 「乳首を引き立たせるようじゃな」
TOSH「乳房の上にもう1つ小さなバストがあるみたいですね〜」

 乳輪の中心にある乳突起が急速に充血し、大きく成長していく。
「乳首が痺れて、たまらない…」
 指で擦るたびに乳首は脈打つように膨張し、すぐにミニトマトより大きくなった。括れた根元の上で丸く膨らみ、先端の乳穴は針を刺したように窪んでいる。ひくひくと物欲しそうに蠢動し、弄られることを自ら求めているようだ。

HNA 「うわー、大きくていやらしい形の乳首ですねー」
ill 「しゃぶってやりたいのぉ」
TOSH「PCもなかなかやりますね」
ill 「たしかに見た目は淫らだな」
HNA 「中身もいやらしいんでしょうか」

 男たちの期待通り、内部の神経もナノマシンによって作り変えられてしまったようだ。
 乳房を軽く揉むたびに陰唇をなぞられたような快感が生まれ、巨大な乳首は全体がクリトリスのような敏感さになっていた。乳首を指で転がすだけで耐えられないほど巨大な快楽が身体中を突き抜ける。
「あはぁ!? どうなってるの、この胸、気持ちいい、気持ちいいの」
 ナノマシンに強制されているわけでもないのに、私の手はおっぱい弄りをやめることができない。
「見て、あれ母乳ですよね、白いの出てますよ!」
「そうじゃな、飲みたいのぉ」
 誰かの操作により、画面は私の胸がアップにされていた。むにゅむにゅと形を変形させている乳房の上で、ちぎれそうなほど膨らんだ乳首の先端からは白い液体が染み出ている。
「そんなの…いやぁ! 赤ちゃんもいないのにミルク出ちゃうなんて…」
 慌てて乳首の中心を指で強く押さえると、爆ぜるような快感がほとばしる。
「あはぁぁっ! もうたまらない、もうダメなの、ふぁ、もうイク、イクゥ!」
 直接触ってもいないのにとろみのある泉ができていた陰唇から愛液がしたたり落ち、椅子の足をつたって床に水溜まりを作る。

ill 「胸だけでイッたか」
HNA 「すごい迫力ですね。でもミルクが先っぽからプシャーって出なかったのは残念」
TOSH「それは【噴乳】ってやればなるよ」
HNA 「なるほどー。今度やってみますね。しかし、ナナさん完全に自分の世界に入っちゃってますね」
TOSH「お〜い、起きてるかい、ナナちゃ〜ん」

 TOSHの呼びかけに夢を見ているようだった意識が呼び戻される。
「はい、すみません」
 もう謝るしかない。抵抗する術を私は持たないのだから。

HNA 「わーい。ナナさん大丈夫ですか?」

 HNAの言葉。画面の向こうの男たちには私が大丈夫に見えるのだろうか。
「心配かけてすみません」
 大丈夫ですとは答えられない私。

HNA 「うんうん。それは良かった」

 何が良いのやら分からない。外に出せない怒り。

HNA 「じゃあ僕も、そろそろ初提案行ってみようかな」

 その言葉が怒りを恐怖に変える。

TOSH 「お、HNAさん初挑戦ですか?」
ill 「よし、行け!」
HNA 「どうもです。ではチャレンジしてみますね。えっと、こうかな」
TOSH「頑張れ頑張れHNA!」

 頑張って欲しくはないが、提案スペースにカーソルが点滅する。

【爆】
【乳】

 これはすぐ意味が分かった。本気なの? 私の額が汗ばむ。

TOSH「ふ〜ん、そうきたか〜」
ill 「さらなる飛躍を狙うとは、貪欲な奴め」
HNA 「えへへ。だってどうせ自分で揉めないし、ならもっとって思うじゃないですか」
ill 「俗人よの。だがそれもありじゃ!」

 何がありなんだ。私は拒否を選択したがやはり無意味だった。
 賛成3、反対1、可決。
 【爆乳】の文字が青く点滅する。

HNA 「頑張れ頑張れナノマシン〜」
TOSH「わくわく」

 淫らに体組織を書き換えられた私の乳は、一度イッただけでは切ない渇きが満たされることはなかった。
 内側から溢れ出る疼きはすぐに乳房中を満たし、乳首はいやらしく勃っていく。
「ふぁあ…。おっぱいが変…。乳首も痺れて、熱くて、溶けちゃいそう」
 乳房が汗と先程溢れた母乳でテラテラといやらしく輝き、乳房の張りがさらに強くなった。だがそれは単なる張りではなかった。
「ああ!? おっぱいが熱くて沸騰してる、沸騰して膨らんでくの、またおっぱいが膨らんでる、これ以上大きくなるなんて、どうなっちゃうの…」
 元々Gカップはあった乳房が目に見えて成長していく。

HNA 「僕の【爆乳】がやっと発動したみたい」
ill 「すでに充分爆乳だったと思うがな」
TOSH「いやいや、さっきまではコンピュータの解釈では【巨乳】の大きさだったんですよ」
HNA 「コンピュータ最高!」
TOSH「S−LINKシステムがこれほど楽しめるとは私も思いませんでした」

 乳房と共に卑猥な形の乳首や乳輪もますます大きくなっていく。
 淫肉がたっぷり詰まった肉饅頭はスイカサイズを優に超え、さらに成長していくが感度はまったく落ちず、左右の乳房が擦れただけで視界が白むほどの快感が発生する。たまらず乳首を親指と人差し指で撫でるとそれだけでイってしまう。乳首からは白い母乳が泉のように溢れ、乳山をゆっくりと流れていく。巨大な双山の谷間にミルクの川ができる。
「はぁ、はぁ、はぁ、私の胸、どうなってるの、もうダメ、もうおかしくなっちゃう、助けて、あん、あん、あはぁ、はひぃ」
 重さに耐えかねて椅子から降り下を向くと、勢いよく揺れた乳首が冷たい床にこすれ、身体中を快感が突き抜ける。
「はふぁぁぁ!!」
 たまらず胸を床から離して椅子に座りなおす。

ill 「お、またイったか」
HNA 「それにしても大きなバストですね」
TOSH「いや〜、もう別の生物が寄生してるみたいだよ、たっぷんたっぷん揺れまくってて」
ill 「それでも垂れてないのはすごいな。この柔軟さで綺麗な釣鐘型を保ってるのは奇跡的じゃ」
TOSH「それはもう、ナノマシンが頑張りましたから」
HNA 「ナノマシン分かってるー!」
ill 「これじゃさっき行ってた通り、外を歩けないかもな」
HNA 「電車乗ったら、その車両だけ最大乗客数減りますね」
TOSH「その車両乗りて〜」
ill 「しかしナナ殿は自分だけで楽しみすぎじゃ」
TOSH「そうですね、我々を何だと思ってるのやら」
HNA 「でも助けて欲しいそうですよ」
TOSH「じゃあ最後はいつものやつで締めましょうか」
ill 「そうじゃな」
TOSH「さすがTOSHさん、分かってるー! いつものって何ですか?」

 カーソルが点滅する。

【淫】
【乱】

 賛成3、棄権1。可決。

 はぁ、はぁ、はぁ。もうお金なんてどうでもいいから、早くここから逃げなきゃ。このままではおかしくなってしまう。
 ここにいてはいけない、生物としての直感にもっと早く従うべだった。わずかに残る意識の中で私はそう決意していた。
 その時、視界の端で送信アンテナが光るのが見えた。
 はぁ、はぁ、はぁ。もう気持ちよくて、たまらない。このままではおかしくなっちゃう。
 だから、もっと気持ちよくなりたい。今まで知らなかった生物としての快感をもっと楽しまなきゃ。
 そのためには、あの人たちの力が必要。遠くから、でも確かに私を見ているいやらしい男たち。あの人たちの視線があそこに突き刺さってるみたいで、それだけでもイっちゃいそうなの。もっともっとあの人たちのHな気持ちを引き出して、もっと気持ちよくなりたい。遠くから私を犯して欲しい。ああん、考えただけであそこが溢れちゃう。

HNA 「ナナさん、大丈夫?」

 男が画面を通して声をかけてくれる。でも、大丈夫かどうかなんてほんとは気にしてないくせに。彼が熱い視線を向けているのは私の身体。この大きくていやらしい最高のおっぱいだってこと、私には分かるの。
「もうダメですぅ、だから、よく見てください」
 私は男に微笑を送ってから、片方のおっぱいを両手でつかんで自分の口に含んだの。口内の温かさとべちゃべちゃした感触だけでイッちゃいそうだけど我慢して、男の人の物を想像しながらいやらしくて大きな乳首を舌で舐めたわ。
「はぁん、美味しい。おっきくて硬くて、ピクピクしてる」
 時々乳首を口から出して糸をひいたまま舌で乳首の周りと片側を丹念に嘗め回したりしながら、首を大きく動かして乳首をしごいていく。もうダメ、乳首が気持ちよすぎて爆発しそう。
「ねぇ、私の胸どうですか? あなたの期待通りの淫乳ですか? 大きすぎませんか? それともまだ小さいですか? 早く、しゃぶってください」
 今度は反対側の胸を持ち上げて乳首を口に含み、ちゃぷちゃぷと音を立てながら口でしごく。

HNA 「ナナさん、素敵だよぉ」
ill 「俺のもしゃぶって欲しいな」
TOSH「胸もいいけどあのいやらしい顔がたまらんです」

 画面には映らないけど、男たちの肉棒が大きくなってるのが見える。固くて太いので、私のここを…。
 椅子に座ったまま足をカメラに向けてV字に開き、充血した陰唇を指で広げ、真っ赤な淫襞を見てもらう。ふやけた陰唇から愛液が流れ、椅子をてらてらと輝かす。
「ねぇ。私の肉壷もうこんなに洪水なんです、早く、あなたの固くて太いの、早く挿れて、突いて、激しくしてください…」
 人差し指と中指、薬指を膣に突っ込み、内壁をかき混ぜながら出し挿れしていく。
「はぁ、はぁ、はぁ、いいの、私の中温かくて、きつくて、内襞が吸い付いてきてとっても気持ちいいの。あん、あん、あなたのぶっといのが、膣に入ってきて、すごくいいの」
 カメラを上目遣いで見ながら指3本をピストンさせる。
 拡げた足をMの形に閉じて狭い椅子の上に足首を載せ、腰を浮かせた。
 陰唇内部を犯す指がより深く刺さるように、腰を大きくグラインドさせる。
「あぁん、入ってくる、入ってくるの、あなたのおちんちんが私のまんこに刺さっての、もっと見て、いやらしい私を見てください…」

 画面では卑猥なほど大きな乳房が、左右対称に回転しながら揺れ動いている。
 愛液をお漏らしのように滴らせながらくちゅくちゅと出し挿れされる指。
 肉付きのいい尻を震わせながら、腰が僅かに楕円を描き淫靡な前後運度を繰り返す。
「あはぁ、もう、我慢できない、膣がたまらないの、奥に当たっちゃう、奥が突かれてるの、あん、イッちゃう、イッちゃいそうなの、一緒にイって欲しいの!」
 身体の芯から湧き上がる快感の波動。どこまでも膨らむ快楽の蠢動。

HNA 「ナナさん、最高です!」
ill 「ああわしもう駄目」
TOSH「僕もイッちゃう」

 堰を切った快感が、一気に爆発する。
「あふぁぁ!もうイク、イッちゃう、イクぅぅぅぅぅ!!」
 身体が浮かぶように痙攣し、頭が真っ白になった。
 全身の力が抜け倒れるように椅子から落ち、私自身が作った水溜まりの中で意識が薄れていく。


  ――――――――――――――――――――――――――――――


TOSH「今回も気絶しましたね」
ill 「ああ。しかし、この娘の反応は何度見ても飽きないのぉ。遊んでるやつじゃこうはいかんからな」
TOSH「楽しんでもらえて光栄です。出資の方も宜しくお願いしますよ」
ill 「次回までには考えとくよ」
TOSH「え〜、先週もそうおっしゃいませんでしたっけ」
HNA 「ほんとに初めてじゃないんですか?」
TOSH「え〜とね、我々にとっては違うんだけど、この娘にとっては本当に始めてだよ。この娘はナノマシンの作用を100%受けてくれる稀少な被験者だからね。では次回の準備をしとくか」

【昨】
【日】
【に】
【戻】
【る】


 
 
< 終わり >


 

 

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