進化の繭
- 「俺のターン!ドロー!クリボーを生贄に、ブラック・マジシャン・ガールを召喚!」
マスターの呼び声と共に、私は彼の手札からフィールドへ召喚された。
ゆっくり目を開き、魔法の杖を一周振り回して、私は凛々しくポーズを決める。
魔導帽の下にある金髪は風になびき、青とピンクの魔女服が華奢な体にぴったりくっつく。
ミニスカートがひらひらと翻り、敵味方問わず心をくすぐる。
スカートとブーツの間に、健康的な太ももが露呈している。
私はデュエルモンスターズ界の魔法少女、みんなのアイドルマジシャンガール。
今日も元気よく可愛く、見参なのだ。
私は状況確認に、あたりを見回す。
味方の場には私しかいなく、対する相手の場に二体の昆虫族モンスターがいた。
一体はゴキボール。攻撃力1200の下級モンスター。
その外見も名前のとおり、でかくて丸いゴキブリだ。
そしてもう一体はインセクトクイーン。攻撃力2200で、
場の昆虫族モンスター一体につき100ポイント強くなる上級モンスター。
上級モンスターらしい巨体を持ち、毒々しい触覚や羽を展開している。
彼女の胸部から二つの乳房が垂れ下がり、下腹部は女王アリの卵巣のように膨らんでいる。
(はっ……それは!?)
私はふと、二体のモンスターの瞳が凶暴の赤色になって、額に禍々しい紋様が輝いているのに気付く。
それはまさにモンスターズ界を脅かし、世界を滅ぼそうとする邪神オレイカルコスの紋様だった。
そしてすぐに、私はフィールドのまわりにオレイカルコスの結界が張られたことを発見する。
よく見れば、マスターに立ち向かう相手のデュエリストも目を赤く光らせ、
額にあの邪悪な紋様が輝いていた。
オレイカルコスの結界を使用した者は、心の闇が最大限に引き出される。
その配下のモンスターも邪悪な力に支配され、パワーアップされてしまう。
私は気を引き締めて、敵の決闘者を見据えた。
マスターと対峙しているのは、眼鏡をかけて、
虫の絵柄が描かれた服を身に着け、目つきの悪そうな少年だった。
彼は私を見下ろし、
「ヒョーヒョヒョヒョ……そんなザコの五つ星モンスター出したところじゃ、何ができる」
うっ……いきなりすごく馬鹿にされた。
私はぷんぷんとピンク色のほっぺたを膨らませた。
あの変てこな格好と悪趣味の笑い声。
間違いない、彼はモンスターズ界で昆虫族使いと噂される決闘者、インセクター羽蛾である。
確かに昆虫族使いとしては凄腕らしい。
しかし、対戦者のカードを海に捨てたり、不利になるようにカードを事前に仕組んだりするなど、
卑怯な手を使う決闘者としても悪名高い。
過去において、彼は私のマスターに敗れたことがあるらしいが、
まさかまた懲りずに挑戦してくるとは。
私は少し不安げに私のマスターを見つめた。
彼は非常に不幸な事を経験したばかりで、その顔に憔悴の色が現われている。
そして、彼はまだ自分を強く責めているためか、
モンスターの精霊である私と心を通わすことができなくなっている。
(マスター……)
私は杖をぎゅっと握り締め、なんとかマスターを助けたい気持ちで一杯になった。
いつかマスターとの絆が復活することを信じ、今はマスターを助け、目の前の敵を倒すのみだ。
- 「だまれ、この蟲野郎!いけ、ブラック・マジシャン・ガール!ゴキボールに攻撃だ!」
「はーっ!」
私は魔法のステッキに魔力を集中させた。
ステッキの先端はまぶしく輝き、それが魔力弾に凝縮する。
「ブラック・バーニング!」
私が魔力弾を敵に向けて飛ばした。
激しい轟音と共に、ゴキボールは粉々に爆殺された。
「俺はカードを一枚伏せ、このターンを終了するぜ」
「ウィーン」と機械が作動する音が鳴ると、私の背後のゾーンにカードが一枚伏せられる。
目の前は私よりも攻撃力の高いインセクター女王がいる。
もし、マスターが伏せたカードは私を守る力が無ければ、
次のターン私が撃破されてしまうだろう。
それに対して、相手マスターは不愉快な大声で笑った。
「ヒョーヒョヒョ!その伏せカードはどうせ仕様も無い罠カードだろ?
そんなんで俺を倒せると思ってんのか?」
「くっ……」
「今までお前からの恨みを、じっくり返してもらうよ!装備魔法、『進化の繭』!」
「なにっ!?そのカードは、昆虫族モンスターを進化させるレアカード……!」
「そうさ。今まで散々負かされた屈辱を、このカードで返すぜ!」
「ふん、だが羽蛾。お前の場には、それを装備させる専用モンスターがいないみたいだぜ」
「なーに言ってんだ。俺が装備させるのは、お前の場のモンスターだ!」
「なんだと?」
「このオレイカルコスの結界の効果により、俺の魔法効果は増幅されるのだピョー!
さあ、お前の場の小娘をいただくぜ!」
「えっ?」
私はステッキを構えて、緊張しながら相手の動きを見た。
突然、私の足元にあの禍々しいな魔方陣が刻まれた。
次の瞬間、邪悪なオーラが私の体を締め付ける。
(きゃー!う、動けない……)
次の瞬間、相手の場に気持ち悪い巨大繭が現われた。
繭は不気味な白とピンク色を呈し、その下辺に生える多数の糸でがっしりと地面につながれている。
そして、繭の表面から一筋の触手が伸びて、私の足首を絡めた。
「ひゃっ!」
私は思わずバランスを失い、地面に倒れる。
そのまま、ずるずると相手側のフィールドに引き込まれる。
繭は表面に気色悪い膜が網目状に突起して、私を待っていた。
「マスター!」
私はマスターに助けの手を求めた。
しかし、彼はただ悔しそうに私を見送っていた。
その冷ややかな目線を見て、私の心が冷え切った。
(そんな……マスター……)
以前のマスターなら、どんな困難だろうと私達モンスターとの絆を信じ、颯爽と相手を倒せたのである。
しかし、闘気を失った今、マスターはただ情けない表情を浮かべて立ち尽くしていた。
私の心は絶望へと沈んだ。
- ついに、私の片足繭の中へ引き込まれた。
「ひゃっ!」
私は悲鳴を上げた。
ぷにぷにした柔らかい肉に含まれたような、気持ち悪い感触だった。
私はあがこうと、杖で地面を突いた。
しかし、繭に近づくに連れ、
そこからもっと多くの糸や触手が私の腕や胴体を絡み、中へと引き込む。
繭の表面がドロドロに溶け、その汁が私の太ももを覆い、同化しはじめる。
露出した肌に、ねっとりとした粘液が付着し、まるでガムのように貼りついて取れない。
ついに、腰までが繭の中へ溶け込んだ。
スカートの奥の下着から、べとべとした粘液が秘所やお尻へと流れ込む。
「きゃっ!」
私は顔を真っ赤にさせた。
恐怖の気持ちと共に、どことなくいやらしい気分になった。
「離してよ……このっ!」
私は繭の表面に両手を張り、繭から脱出しようとした。
しかし、力をかけた瞬間、手をかけた部分もドロドロに溶け、私の両腕を肘まで飲み込む。
ここまで来たら、後はもう中へ引きずられるのみだった。
繭全体は蠕動運動をはじめ、私の体を確実に中へ中へと押し込んでいく。
またたく間に、私の臍、胸、肩、鎖骨までが飲み込まれた。
「いやだ……こんなの、いやだよ!」
私は首を左右に動かし、最後の抵抗を試みた。
しかし、それもわずかな時間の無駄。
ついに頭が完全に繭の中へくい込まれ、視界を失った。
「うっ……」
繭の中はまるでべとべとしたジャムのように、私の体にねっとりと付着して包みこむ。
不思議なことに、息苦しいと感じることは無かった。
その代わりに、意識は段々と朦朧とする。
「ヒョーヒョヒョヒョ、遊戯、このカードの効果はな、五ターン後に装着したモンスターを、
俺の可愛いインセクトモンスターに変化させるのだ。
お前はそこでじっくりと、しもべが変わり果てる姿をたのしむがよい!」
私が……インセクトに?
なに、言ってるの……
朦朧の中、私は目を瞑ったまま、体を蠢かせた。
周囲のべっとりとした粘液は、私の服を溶解しはじめ、私の肌に直接触れるようになる。
粘液は段々と肉感のある感触に変化し、私の体を絡める。
邪悪なエネルギーが肌を通して、私の中を染める。
「あぅん……」
私は自然と口を開けた。
どろどろの肉汁は、いくつかの太い筋が捻り合い、密度の高い触手へ合成する。
その触手のうちの一本が私の口内へ侵入した。
訳も分からず、私はそれを口の中にくわえこんでしまった。
触手の先端から濃密な甘蜜が分泌され、それを私の体内へ送り込む。
「むん、うぅんっ!」
私はそれを吐き出そうとした。
しかし、弾力を帯びた触手に勝てず、ついついそれを飲み込んでしまった。
最初は不快でしかなかった。
だが、そのうち甘美な味が口の中へ広がり、違和感が無くなりかける。
- 「ううぅん!」
突然、私はくぐもった声を上げた。
一本の触手は、私の秘所を探索するように撫ぜる。
他の触手は私の足首を掴み、ゆっくりと両側へ開脚させる。
秘所にあてがう触手の鎌首は私の太ももを触れながら、
遠くから近くへ焦らすように、私の淫裂へ接近してくる。
「うんぐぅ、むうぅん!」
その異様な感覚に、私は涙を溢れさせ、足の付け根をもじもじさせた。
清らかな涙粒は、私の目尻から離れるとまわりの稠密な肉汁に溶け込み、同化する。
涙だけではない。
私の全身から放たれた汗も、肌に密着する肉液に吸収される。
段々と、私はどこまでが自分の肌で、どこまでが繭中の肉液なのか、
区別できなくなってしまった。
秘所へ近づく触手は、やがて私の大事な場所へたどり着いた。
触手の先端は、そのまま捻りこむように私の中へ入っていく。
「うぅんん!」
私の喉の奥から、悲鳴が上がった。
まだ性を知らない神聖な場所が、異形なモンスターに犯されようとしている。
触手は私の中で、少しずつ前進する。
(だめ……そんな太いの、入れないで!)
私の身をよじり、開脚させられた両足を蠢かせる。
しかし、それはささやかな抵抗でしかなかった。
触手は私の膣中で、肉汁を分泌した。
(はぅ!なに、これ……熱いどろどろとしたものが、広がってくる!)
私の中は、すぐにぐしょぐしょとなった。
それと同時に、今まで感じた痛みが緩み、代わりに熱い甘美な痺れが生まれた。
その感覚はあっという間に体中へと広がる。
(あ、ああ!)
私はどうしていいか分からず、飲み込めなかった蜜とともに、よだれを溢れ出す。
もちろん、それらの液もすぐにまわりの肉液と同化した。
何本かの細い肉液が、私の体を撫でるように変形し、付着した。
私の豊満の胸を、中央へ円を描くように掠める。
滑らかの背中の左右に、ゴム状のねばねばした液が吸い付く。
うなじやわきの下がいやらしく舐めとられ、おへそあたりに粘液がぬめりと触れて悪戯する。
アンダーバストを持ち上げられ、優しく淫らに揉まれる。
所々から伝わるくすぐったい感が、やがて物足りない感へと変化し、
私を淫乱な女へと作り変える。
(お願い、やめて……これ以上やられると、変になっちゃう!)
私は心の中で悲鳴をあげた。
いつの間に、私の頭の中はいやらしいことしか考えられなくなった。
口の中のものはウネウネしたナメクジのように変化し、私の舌と絡めある。
少し前の私ならば、気色悪いとしか感じないだろう。
しかし、今の私は自ら唾液を攪拌させ、じゅばっとしゃぶていた。
- (ああぁっ!)
私は心の中で小さく呻いた。
無防備となった私のお尻の穴に、一本の触手がゆっくりと挿入した。
しかし、体がすでに火照ったこともあり、私はその触手をすんなりと受け入れた。
触手は淫液を分泌しながら進む。
それに連動して、淫裂の触手も中を動かす。
(はぁん、だめ……中をかき回さないで!このままでは……イッちゃう!)
私はただじっと蹂躙されるのを耐えるしかなかった。
しかし、やがて別の考えが私の頭を支配し始める。
私が絶頂寸前までのぼりつめると、触手はピタリと動きが止まり、体をそのまま放置する。
しばらくその繰り返しがすると、私の頭がおかしくなりかけた。
(はぁん……あぁん!)
両腕は肉液に絡め取られ、周りの汁が浸透しながら徐々に性感帯へと変化した。
渇きを追い求めるように、私は口の中に溢れる蜜を絶えず飲み込む。
そうして媚を売り続けると、触手は私の体が順応できると分析したのか、また大きな動きを見せた。
(はぁ……はぁああ!)
私は腰をうねらせた。
触手の先端が分裂し、更に数本とても細い紐状の触手が奥へ伸びる。
それらの触手が、やがて膣の突き当たりに衝突した。
しかし、触手の動きはそこで止まらなかった。
細い肉紐は更に奥へ奥へと進んだのだ。
(うぅ……ああああはぁ!)
言いようのない満たされた感が私を襲う。
細い肉紐は狭き入り口の中へ捻りこみ、子宮に入ってしまった。
肉紐はそのまま中で分裂し、表面積を広げながら子宮の中を張り巡らす。
自分の肉体の奥部が見知らぬ異物を挿入されることを考えると、恐ろしくてたまらないはずだ。
しかし、それに喜びすら感じる自分に背徳的な悦楽を覚える。
私が完全に抵抗の意志を捨て、繭の中の肉液や触手からの愛撫に体を委ねた。
どろどろ溶けた汁は皮膚からしみこみ、私の体の組成を作り変える。
繭の中の肉液は、ドクン、ドクンとリズミカルに躍動していた。
いつの間にか、私の心臓もその音に同調し、ドクン、ドクンと鳴り出す。
まるで、自分が繭の一部になれたような感じだった。
私はそれに喜びを感じながら、意識がまどろみの中に沈んだ。
一ターン目。
うっすらと目を開くと、まわりにピンク色の肉壁が輝いているのが見える。
いつの間にか、私は膝を抱きかかえた姿勢になっていた。
(私……どうなっちゃうの?いやだよ、虫になんかなりたくないよ。
マスター、たすけ……あれ、マスター?)
朦朧としている中、大事な人の顔が思い出せなくなっている。
ところどころ青黒のまだら模様が入ったその薄い壁は、私の体を優しく包み込む。
私の口の中や秘所には、触手が繋がったままだ。
肉壁との空間を満たすねっとりした肉液は、時々蠢いて私を心地よく愛撫する。
殻のような肉壁から、私の体のあっちこっちに筋が繋がり、栄養分を染みこませる。
その生温い感覚が気持ち良い。
(はぁ……このまま、沈んでいく……)
エンドフェイズと共に、私の意識が暗闇に落ちた。
- 二ターン目。
手を膝から離し、体をまっすぐに伸ばす。
私は朦朧とする中で、体を芋虫のように蠢かせた。
口の中から伝わる蜜を、一生懸命吸い続けた。
(はぁ……気持ち良い……)
秘所の中の変化が続き、時々快感の高波が全体へ広がる。
体は敏感となり、全身のくすぐったい感じが歯痒い。
いつの間にか頭の上から二本の触覚が生え、それが今も伸び続ける。
(なに、これ……触覚……?)
今まで無かった器官の感触が新鮮で、くすぐったかった。
下を見ると、乳房の二つの膨らみに、柔らかそうな青い毛が生えていた。
両腕や両足にも、同様の青い柔毛が溶液の中で漂う。
(いやだ、私……これじゃまるで、虫になったみたいじゃない……)
肉液の流れに従って、体を一本の棒のようにする。
(なんだか、芋虫になったみたい……恐いけど、嫌いじゃないわ……)
この体勢で、私は肉液との一体感を感じる。
エンドフェイズと共に、私はまた意識を失う。
三ターン目。
繭の中の肉液が凝縮し始めた。
外側が乾き、白い糸質へ変化する。
その代わり、私の近くにある肉液は一段と濃いものに。
凝縮の流れに沿って、四肢は自然と中央へすくめる。
(はぁ……いい気持ち……)
腕や足を覆う柔毛は硬質化し、光沢を反射する甲殻のようになる。
足には青のハイヒールブーツが形成される。
(うふふ、素敵ね……硬くなった毛束は私を守ってくれるわ)
頭部の触覚の上に、硬い螺旋模様の入った甲殻の帽子がかぶされる。
乳房を覆う柔毛だけ柔らかさを保ったままで、青の中に白い柔毛が混じり、より艶かしいものとなる。
(うふふ、うっとりしちゃう……これで男をいっぱい誘惑できるわ)
背中から、二枚の薄い羽が巻いたままの状態となる。
肉液は手足の表面に張り付き、そのまま固まる。
私の新しいマスターが高らかにエンドフェイズ宣言すると、私は凄艶な笑みを浮かべながら眠った。
突然、繭の外側から何かが突進した衝撃を感じた。
私は繭の隙間から覗くと、あちらの決闘者がモンスターを操っているのが見える。
誰だろう……彼は、私の方へ心配そうな目線を向ける。
でも、バカな人だな。
進化の繭に守られた私は、守備力が2000もある。
しかもオレイカルコスによって、それが強化されている。
少し攻撃されたぐらいで、くずれないのさ。
それに、私の今のマスターが、私を守ってくれるのよ。
彼は私を大事にしてくれるのよ。
だって、こんな気持ち良い繭をプレゼントしてくれたもん……
- 四ターン目。
ついに繭の中の肉液を吸い尽くしたのか、私のまわり薄い無色の粘液しか残っていない。
口や秘所に当てられた触手は萎縮して消えた。
私はゆっくりと目を開き、邪悪な微笑をこぼした。
背中に力を入れると、巻かれた羽が少しずつゆっくりと伸び始める。
私の目元は青い鱗粉が付着し、唇にも紅色のルージュが引かれる。
手の爪は赤いマニキュアが染まり、長く鋭く伸びる。
体表面に硬質化した物質が液体の中で自然と剥がれ、
その下から女性の魅力に溢れる肢体が現る。
手足を覆う青はタイツのようになり、表面に毒々しいピンク色のアクセントが入り、敵を挑発する。
青やピンクのまだら模様の鱗粉が体中を妖しく彩る。
腰の周りから秘所にかけて白の柔毛が覆い、高貴な演出でありながら、淫らな雰囲気が漂う。
頭の触覚はビクン、ビクンと跳ね、外の空気に触れたくて触れたくて仕方が無いという様子だ。
背中の羽が伸びきった。
更に神経を集中させると、羽に体液が循環しはじめ、美しい脈目を作り、鱗粉を生産し始める。
私は、羽化して成虫となった。
その時、マスターが嫌味っぽい口調で、エンドフェイズを宣言する。
ふふふ。
さすが私の新しいマスター、本当にいじわるい。
私は待ちきれない気持ちで、次のターンを待った。
そして、ついに五ターン目がやってきた。
「俺のターンだ!この瞬間、俺はフィールドの進化の繭を生贄にささげ、
新たなモンスターを召喚する!出でよ、ブラック・インセクト・ガール!」
ブラック・インセクト・ガール。
これが、私の新しい名前。
ああ、なんて素敵な響きかしら。
マスターの呼び声に、今まで朦朧としてきた意識は完全に覚醒した。
私は内側から繭の殻を突き破って出た。
「はぁ、はぁ……」
いきなり溶液から空気に出たため、私は少し息を切らした。
ハイヒールの履いた足の片方を殻の縁に乗せ、両手で繭をつかまって体を支えた。
ねばねばした粘液は私のうなじ、乳房、太ももから垂れ下がる。
ふふふ、見てる見てる。
私のかつてのマスターは、驚愕の視線でみつめてくる。
彼のフィールドには一体のモンスターがいた。
あら、いつも噛ませ犬役をやっているエルフの剣士じゃないか。
うふふ……彼も私の体をじろじろと見ている。
無理もないもの、今まで味方だった私が、こんな姿になったんだから。
それに対し、私の今のマスターは、嫌味っぽい笑顔を相手に向けた。
どうやらまた精神攻撃をかけているようだ。
左右には、さきほどいたインセクトクィーン、仲間を呼び寄せる代打バッター、
そして相手に直接攻撃できるレッグルが並んでいる。
なーんだ、断然こっちが有利じゃない。
やっぱりあいつはヘタレな男だったんだね。
- 私は地面に降り、私が所属する陣地に加わった。
ハイヒールのかかとコツン、コツンと心地よい音を叩きだす。
私の体から粘液が完全に乾き、胸部や腰を覆う柔毛はふさふさと膨らみ、可愛いラインを作る。
羽は鱗粉を製造し始め、敵を惑わす鮮やかなものとなる。
そして、私の額にも邪神オレイカルコスの紋様が浮かび上がった。
その瞬間、私は絶頂にのぼるような快感を覚え、秘所からいやらしい蜜が垂れた。
心はどす黒い邪悪な力が満ち溢れ、私をパワーアップしてくれる。
もともと澄み切った瞳は禍々しい赤が宿り、私の性格が残酷なものへ変化したことを証明する。
「俺の場に昆虫族モンスターが増えたことにより、インセクト・クィーンがパワーアップする!」
と、マスターは宣言した。
そう、インセクトクィーン様は、場の昆虫の数だけ攻撃力が上がる効果がある。
私は女王様の側へ寄り、恭しく頭を伏せた。
『ほほう、魔法使い族の小娘か。このわらわに忠誠を誓うというのか』
同じ昆虫族になったからなのか、女王様のお言葉が自然と私の頭の中に浮かぶ。
「はい、女王様。今の私はインセクトガール、昆虫族の一員である。
私はマスターの忠実なしもべであるとともに、女王様の奴隷である。
今までのご無礼を、どうかお許しください」
『あーっははは、いいだろう。わらわに忠誠を誓う証として、そこで足を開き、跪きなさい』
「はい」
私はドキドキした気持ちで足を開き、地面に膝を突いた。
女王様の巨大な腹部から、妖しい管が伸びてきた。
彼女が求めるものをすぐに理解し、私は股間を覆うふさふさした毛を持ち上げ、オマンコを広げた。
そして、吸引管は私の淫裂へ挿入した。
「はぁん!」
私は色っぽい嬌声を上げた。
生まれたばかりの私の秘所は、昆虫族特有の蜜で濡れだった。
吸引管は私の蜜を吸い取る。
女王様に私の初めてを捧げられるのは、とても幸福なことであった。
『ふふふ……おいしいエキスだわ。ねばっこくて、いやらしく濃い味だ』
「ああん、お、お褒め頂き、あ、ありがとうございます!」
『そなたにも、わらわからのプレゼントを与えよう。わらわの下へ来なさい』
「はい!」
私は女王様の胸部の下へ歩んだ。
『わらわの乳に舌を這わせなさい』
「はい」
私は恍惚の表情を浮かべて、彼女の垂れ下がる乳をしゃぶった。
豊満なふくらみから、濃密な蜜の粘液が分泌され、私の喉を潤す。
「ふーん、ちゅば……っはぁん!ああ、とても素敵な味ですわ!」
『ふふふ……その調子で、わらわ達の敵を蹴散らすのよ』
「はい、女王様」
私は自分のモンスターゾーンへ戻った。
はぁ、なんと素晴らしい感覚だろう。
今すぐにでも敵を八つ裂きにして、敵の決闘者に直接攻撃したい気分だわ。
「このターンはまだ光の護封剣の効果が続いているから、俺は攻撃できない。
ブラック・インセクト・ガールに『インセクト・フェロモン』を装着させて、ターン終了だ」
- マスターがそう宣言すると、私のフィールを邪魔している光の剣陣が消えた。
あら、このターン攻撃できないんだ。つまんない。
でもその代わりに、マスターからすごい装備カードをもらった。
私は羽を伸ばすと、体中からいやらしい匂いが四散する。
それはちょうどメスがオスを誘う時に、オスを無理やり発情させるような芳しい匂いである。
ああ、素晴らしい気分。
こんな良いカードを私を付けてくれるなんて、やはり前のマスターと全然違うわ。
私はあざ笑うかのように、相手の決闘者や、その配下のエルフの剣士を見下ろす。
魅惑のフェロモンに影響され、エルフの剣士は恍惚の表情を浮かべていた。
彼の情けない表情をみて、私は悪戯っぽい笑みを作った。
(ふふふ……面白いわ)
私はわざと胸倉の柔毛を掴み、それを扇情的に少し引上げた。
その下から、私の下乳がちらりと見える。
案の定、エルフの剣士は私の胸に釘付けとなった。
彼の欲情した顔に、私は満足感を覚える。
本来、私達デュエルモンスターズは人間界の住人ではない。
ソリッドビジョンを通して、人間達は私達の姿を視覚的に捉えることが出来るが、
それは抽象的な光景であり、本物ではない。
だから、私達がバトルする時も、その詳しい事情を人間たちは見ることが出来ない。
私にとって、それは残念でしかなかった。
今の私のいやらしい姿を、もっと相手に見せ付けたかったのに。
「俺のターン、ドロー!エルフの剣士を守備表示にして……」
「そこでインセクト・フェロモンの効果発動!このカードが装備したモンスターがいる時、
それと異性である相手モンスターは、全て攻撃しなければならない!」
「なんだと!?」
相手の決闘者が焦ってる。
ふふふ、あなたが私のマスターに勝つなんて、百年速いわ。
エルフの剣士はアホみたいに、ふらふらと剣を掲げて走ってくる。
あ〜あ、可哀そうに。
攻撃力では私の方が断然上だというのに。
私はひらりと身をかわすと、エルフの剣士の背後を取った。
「ふふふ、私のフェロモンをたっぷり嗅ぎなさい!」
私は妖艶な笑顔で体を妖しくひねらせ。
太ももからお臍、全てに淫靡なメスの匂いが染みこんである。
相手の剣筋を余裕で交わしながら、
私は秘所を覆う柔毛を触ったり、舌を艶かしく舐めたりして彼を誘惑した。
そしてついに、エルフの剣士は欲望が抑えられなくなった様子で、
乱れた息で地面にひざまずいた。
「ふふふ……あなたはもう私の虜よ!」
私は彼を簡単に押し倒し、彼の上に馬乗りになる。
かつての味方が淫乱なメスになったなんて信じられない、という目付きで私を見上げる。
「あらあら、そんなに見つめちゃって。ここがこんな硬くなってるのに」
と、私は彼のズボンをずらした。
エルフの赤く腫れたチンポが、天を向かっていきり立つ。
- 「もうそんなになっちゃったね。あなたは今、私のいやらしい姿を抱きたくて仕方ないでしょ?
ふふっ、私の匂いを嗅いで、もっといやらしくしてあげるわ!」
そう言うと、私は笑みを浮かべながら、胸の膨らみを彼の顔に押し付ける。
「むぐぅっ!」
「ふふふ……さあ、私の胸の中で息を吸ってごらん……
あなたはもう私のいいなりよ、私の言うことならなんでも聞くの」
「むぐっ、うぅん!」
エルフの剣士は完全にバトルを忘れ、私の体に夢中になる。
「ふふ、ではイカせてあげるね!」
私は羽を震わせ、おびただしい量の鱗粉を彼の体にばら撒いた。
噎せ返る香りが周囲を包み込む。
エルフの剣士はその匂いに陶酔し、最後に抵抗をやめた。
「うふふ、憐れな男ね。この毒鱗粉はお前の性欲を拡張しながら、体を溶かしていくのよ!」
私は魅惑な薄笑いをこぼし、おもむろに彼のチンポを私の濡れたオマンコにあてがう。
「うっ……ぐっ!」
オマンコは、ぬめりとその肉棒を飲み込んだ。
私の中で、チンポがずぶずぶとせり上がって来るのを感じる。
「はぁ……ああぁん!」
私は艶かしい吐息を吐き、自分の中が満たされていくのを耐えた。
快楽に浸った体から汗が分泌され、それがフェロモンを助長させる。
あたりに芳ばしい香りを散らしながら、男の更なる欲情をそそる。
エルフの剣士は両目の焦点が合わなくなり、獣のようなうなり声を上げた。
「ふふふ……そうよ、私の体で感じなさい!
フェロモンや毒鱗粉によって支配されたあなたは、もう私を犯すことしか頭に無いんだから!」
私はゆっくりと腰を上下に動かし始めた。
びしょ濡れになっているオマンコの中は、私の意のままに襞がビクつき、相手の肉棒を刺激する。
エルフの剣士は口から泡を吐き出し、私に合わせて下腹部を突き上げる。
ああ、なんて無様な格好。
これじゃ色狂いのケダモノ同然よ。
彼をあざ笑うかのように見下ろし、私は腰の動きを加速させながら、彼のオチンポを締め付けた。
「あぁん、いいわ!中がどんどん熱くある……はぁ、私の中に出して!」
私は気持ち良いあまりに涎を垂らし、せり上がる絶頂を感じた。
魅了状態に陥った惨めな男は、その下腹部から汚らしいザーメンをほとばしる。
「ああぁあ!……はぁ、はぁ……はぁ、ふふふ、まだまだよ。
あなたの体を全て搾り出されるように、欲望をぶちまけなさい!」
私はフェロモンを一段と濃くさせ、彼の欲情を促し続けた。
出したばかりのチンポはすぐに硬くなり、その中にある精液を私に貢ぐためにピンと伸びる。
彼の欲情しきった目付きと、絶望に染まった顔色は、私の邪悪な心を更に興奮させる。
「ふふふ……そのままじっとしてて、後は全部私に任せなさい。
一滴も残さず、搾り取ってあげるからね!」
彼が吐き出した精液は、粘っこいものから、やがてただの薄い体液となった。
精気を充分に吸い取った私は、ゆっくりと立ち上がった。
私のオマンコから淫らな匂いと発し、白く濁ったものが太ももに沿って垂れ下がる。
それを指でこぼさないように掬い取り、私は口の中へ入れた。
「んむぅん!さすが剣士だけあって、最後までおいしかったわ」
吸い尽くされたエルフの剣士は、ただやせ細った体で息を絶え絶えに漏らす。
- 「ふふっ、最後はせめて苦しくないように殺してあげるわ!」
私は豊艶な乳房を持ち上げ、エルフの剣士に向けた。
両の乳首から鋭い毒トゲが発射され、彼の躯体に打ち込んだ。
「ぐわっ」
情けない断末魔を上げると、彼の体はみるみるうちに溶け出し、
最後は緑色の剣士服だけ地面に残った。
「エルフの剣士……撃破!」
私は邪悪な笑みを浮かべて、そう宣言した。
私の陣地へ戻ると、そこにいる昆虫族の仲間達が私を迎え入れてくれた。
微笑みながら会釈すると、私は突然嬌声を上げ、両膝を地面に突いた。
体の中からいやらしい波動が広がり、オマンコの奥から未知の悦びが込み上がる。
マスターは眼鏡を整え、不敵に笑う。
「この瞬間、ブラック・インセクト・ガールのモンスター効果を発動!
ブラック・インセクト・ガールが戦闘によってモンスターを破壊した時、
場に一体のプチモストークンを召喚する!」
「はぁああん!」
私は大きな喘ぎ声を上げた。
さきほどの受精により、私の子宮から卵子が膨らむ。
下腹部が見る見るうちに膨らみ、心を捻るような快楽が私の心身を襲う。
やがて、体内で生成された異物は、私にオマンコをゆっくりとすり抜けている。
何かが生まれる。
私は母性的な優しさと期待をこめて、指で自分のオマンコを広げて下腹部に力を入れた。
オマンコはぬめりと濡れていて、やがて一つの緑色の卵の先端が見える。
「あああぁぁ!」
卵がポトリと、地面に産み落とされた。
疲れ果てた私は、その卵を愛おしそうに見つめた。
卵の中にうっすらと蠢く生命体の影が見える。
ああ、あれが私の子供なのね。
なんて可愛らしい子だろう。
私は暖かいそれに優しく頬ずりをした。
「くっ……」
かつて私のマスターだった者は悔しそうな表情を浮かべ、
「ならば、俺はクィーンズ・ナイトをおもて表示で召喚してターンエンドするぜ」
「ウイーン」と機械音が作動すると、彼のフィールド上に一体の女モンスターが守備形式で召喚される。
真紅の鎧を身にまとい、美しい金髪を後ろへなびかせる。
手に持っている剣と盾を構え、守備体勢を取り地面にひざまずく。
ふふっ、確かに同じ女型モンスターなら、私のフェロモンは効かない。
ヘタレながら、考えたじゃないか。
クィーンズナイトは私の姿を確認すると、驚いた表情を浮かべ、
「ブラックマジシャンガール!あなた、一体なぜそんな姿に……!
どうして、あなたが敵のフィールドにいるの?」
私とクィーンズナイトがまだ仲間だった時、
同じ女性モンスターだということもあって、私達の仲は特に良いのだ。
- 「ふふふ……私は新しいマスターの力によって、生まれ変わったのよ!」
私は妖艶な肢体をくねらせた。
煽情的なフェロモンを嗅いだのか、彼女は眉をしかめる。
「そんな……あなたは相手にコントロールされてしまったのね!
待ってなさい、必ず助けてあげるわ!」
「コントロール?ふふ、そんな安易なものではない。
私はもう身も心もオレイカルコス神のものであり、今のマスターのものなのよ!
あなたにも、この快感を分けてあげるわ」
その時、私のマスター宣言する。
「ブラック・インセクト・ガールの効果発動!ライフを1000ポイント払うことで、
このカードと同性の相手モンスターを寄生卵に変えることができる!
ゆけっ、ブラック・インセクト・ガール!」
「はいっ!」
私は命令されたとおり、羽をブーンと振動させ、一瞬のうちクィーンズナイトの側へ飛びついた。
クィーンズナイトは剣で私の体を切りつけようとするが、私は簡単に彼女の攻撃をかわした。
「おとなしくしなさい!」
私は彼女の剣や盾を弾き飛ばし、彼女の華奢な体を押し倒した。
「ブラックマジシャンガール、目を覚まして!」
「ふふっ、私はもうその名前ではない。今の私は、ブラックインセクトガールよ!」
彼女がみにつけている鎧を剥ぎ取ると、その大人めいた魅力的なバストが露出する。
「うっ……」
クィーンズナイトは私を睨みつけ、顔を赤らめた。
「ふふふ、すぐ気持ちよくさせてあげるわ!」
私は自分の乳房を持ち上げ、彼女と乳首を合わせた。
その淫靡な行動に、クィーンズナイトは顔を真っ赤にさせながら、驚愕の目線を向ける。
乳首が完全に重ね合わさったとき、私の乳首から二つの小さなトゲが伸び、
彼女の乳首をチクリと刺した。
「いーっ!」
クィーンズナイトは悲鳴を上げた。
しかし、すぐに彼女の凛々しい顔は恍惚なものとなり、小さく口を開き浅い呼吸を繰り返した。
私が彼女に注入した毒は、エルフの剣士に使った溶解液ではない。
今度の毒はどんな屈強な女でも、いやらしい淫女に変える媚薬であった。
淫毒は瞬く間に彼女の体中に周り、きめ細かい肌は色っぽく火照り始めた。
私は更に彼女の秘所に当てられたアーマーを取り除いた。
ピンク色のオマンコが愛液を漏らしながら、ビクビク蠢いていた。
「ふふっ……どう、私の淫毒は?もうほしくてほしくてたまらなくなったでしょ?」
「そんな、やめて……あなたは、そんなことをする人じゃないはずだわ!」
「もう何を言っても無駄よ!今の私は、昆虫族モンスター、昆虫の繁栄を手伝う女モンスターよ!
他の種族のオスを食い、養分を搾取する。
そしてメスを昆虫族に変え、私と同様に昆虫族を繁殖させるのよ!」
「うっ、そんな……ああぁん!」
クィーンズナイトは潤いだ目線で私のいやらしい体を見回し、心の中が葛藤になっているようだ。
「我慢しなくて良いんだよ。私と一緒に気持ちよくなろうね!」
- 私は秘所に手を伸ばすと、そこから一本の排卵管を摘み出した。
それを彼女に見せ付けるように、ゆっくりと彼女のオマンコのなかへ挿入する。
「うあああぁ!」
一際大きい呻き声。
クィーンズナイトは体をくねらせ、私の蹂躙やそこから生まれる快感を耐え続けた。
私は彼女の両腕を押さえつけ、二人の結合部分を円を描くように動かす。
そして、彼女のあいた口に唇を重ね合わせ、彼女の舌をしゃぶりつくす。
「ううーん、むぅん!」
クィーンズナイトは目を瞑り、私が送りつけた快楽に身をゆだねた。
やがて、彼女のオマンコがいやらしくビクンと跳ねると、
私の排卵管から大量の卵子が送りつけられる。
卵子が彼女の子宮に定着するのを待ってから、
私はゆっくりと彼女から離れ、その変化を見届けた。
「はあぁぁぁー!」
彼女は大きな悲鳴を上げた。
次の瞬間、彼女の秘所からおびただしい白糸が吐き出された。
白糸はすぐに彼女の体をまといつき、丸い繭を形成する。
それは、まるでかつて私を捉えたあの繭のようだった。
クィーンズナイトの姿が徐々に薄くなり、やがて完全に白繭に覆われた。
「ふふふ……その中でじっくりと進化しなさい!」
私は嬉しく呟いた。
そして彼女の繭を優しく持ち上げ、私の陣地へ持ち帰った。
「くっ……」
あのマスター、すごく悔しそうな表情をしていた。
ははあん、なんて間抜けな顔かしら。
そうやって、自分の仲間がどんどん敵のしもべになっていくのを、見ているがいいわ。
このターンの終了時、さきほど私が産み落とした卵が孵化し、
中から一匹の可愛い幼虫が這い出た。
彼の全身が緑色の皮膚に覆われ、生まれたばかりの体は卵のねっとりした粘液がこびりついた。
私の心から優しい気持ちが湧き上がり、いとおしそうに彼を抱き上げた。
これが母性本能だろうか。
ついさっきまで少女だった私は、今では我が子を慈しむ母親に変貌した。
私は自然と彼を胸のほうへ持っていった。
幼虫は本能的に、私の胸の先端にしゃぶりついた。
「はぁん……」
私は心地よい嬌声を上げた。
胸が吸われるのを実感できる。
さきほどエルフの剣士を吸い尽くした生命力は、
私の体内で子を育むミルクへと作り変えられ、子供に与えられる。
しばらくすると、幼虫は満足したかのように眠りに陥った。
彼の体表面は徐々に硬くなり、蛹の形へ進化する。
- 「俺のターン!……カードを二枚伏せ、ターンエンドだ!」
「ヒョーヒョッヒョッヒョ、もう打つ手が無くなったのか?まだまだだぜ、俺のターン、ドロー!
この瞬間、寄生の卵が孵化する。出でよ、インセクト・ナイト!」
さきほどクィーンズナイトを包んだ繭が変化した。
繭の一箇所に亀裂が走り、その亀裂がやがて周辺へと拡散する。
どろりとした溶液が、亀裂から溢れ出る。
一本の腕が伸び、殻をから破り出る。
「はあぁ〜」
気だるい声とともに、一人の女性モンスターが中から出てきた。
彼女の全身は真っ赤の甲殻に覆われていた。
背後に赤い翅が伸び、手には毒々しい剣と怪しいまだら模様が入った盾を持っていた。
頭から長い触角が伸び、ピクンピクンと周囲を探知する。
彼女はぼうっと周りを見渡し、そして私の姿を捉える。
「ふふふ……気分はいかがかしら、インセクトナイト」
彼女はしばらく考えた後、やがて私を思い出したかのように、妖艶な笑みを浮かべる。
「はい、インセクトガール。あなたのおかげで、
私はこんな素晴らしい姿に変身できたわ」
インセクトナイトは邪悪に口元を吊り上げる。
彼女の額も私と同じオレイカルコスの紋章が浮かび上がり、そして瞳は凶暴な赤へ変化した。
「これから一緒にマスターのために、がんばろうね」
「はい。この手にしている剣で敵を刺し殺し、昆虫族の養分にしてくれるわ!」
そして、インセクトナイトも女王様の側へ寄り、彼女をパワーアップさせる儀式を行う。
勝負はもう決めたのも同然。
オレイカルコスの結界が発動されているため、
私のマスターは上限を無視して好きなだけモンスターを召喚できる。
後は、あの間抜けな敵デュエリストのモンスターを次々と餌食にし、
フィールドに昆虫族モンスターを埋め尽くせば良い。
(ふふふ……お師匠様、あいつが負ける前に速く出て来てね。
私の変わり果てた姿を見せてあげるから)
自分の愛弟子がこんな邪悪なものに変貌したと知ったら、どんな絶望の顔を浮かべるだろうか。
それを想像しながら、私は赤い唇を艶かしくなめずった。