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オリンパス損失隠し:前監査役、元証券マン指南で財テク

 オリンパスの損失隠し問題で、不正経理を主導した一人とされる山田秀雄前常勤監査役(66)は80年代から資産運用を担当し、のちに損失隠しを指南したとされる国内大手証券会社の元証券マンと当時から親交があることが分かった。元証券マンは00年の出資金計上に絡むオ社の「飛ばし」や、損失隠しに利用したとされる06~08年の国内ベンチャー3社の高額買収に深く関与。オ社が設置した第三者委員会は、近くまとめる報告書に元証券マンらの関与を盛り込むとみられる。

 元証券マンは80年代半ばに大手証券会社の事業法人部でオ社の担当になり、営業のため度々オ社を訪問。当時の同僚は「うちにとってオリンパスは大事な顧客。エースを担当に充てた」と話す。対応したオ社の元財務部幹部は「頭が切れる印象だった。『こんなに資産を持っている会社なのに株価はこんなに安い。買いですよ』などと勧めていた」と振り返る。

 当時、オ社の「財テク」は社長直轄で、内容を知るのはごく一部に限られたが、山田前監査役はこのころ経理部係長として証券会社の営業窓口を務め、当時からオ社の資産運用に関わっていた。元証券マンは山田前監査役を通じて関係を築き、オ社の投資は上昇。保有する短期有価証券は82年10月期の51億円余から87年10月期に424億円余に膨らんだ。元証券マンの存在はオ社内でも知られ、元技術系幹部は「証券の運用に使う金があったら経費に回してほしいという声が社内で上がっていた」と明かす。

 元証券マンは、新宿ビル支店長として再びオ社の担当になったのを最後に98年に独立、コンサルタント会社を設立した。元同僚は「彼の考える資産運用方法は証券会社にいてはできなかった」と述べ、当時から非合法の疑いもある運用を発案していたと証言する。

 00年3月期、オ社は新事業の開拓を名目に事業投資ファンドに約300億円を出資金として計上。このファンドの運営会社となったのが元証券マンのコンサル会社だ。第三者委は、この出資に絡んで「飛ばし」が行われ、その仕組みにファンドが深く関与した疑いがあるとみている。

 さらに、オ社は08年までに国内のベンチャー3社を計734億円の高額で買収。その直後、約8割に当たる557億円を減損処理し、損失の穴埋めに流用していたとされる。この買収を提案したのも、元証券マンのコンサル会社が運営する同じファンドだった。

 一方、やはり損失隠しに利用したとされる08年の英医療機器メーカー「ジャイラス」買収では、同じ大手証券会社出身の別の元証券マン2人が関与したことが分かっている。

 第三者委は、山田前監査役が元証券マンらとの窓口となり、後任の森久志前副社長(54)とともに損失隠しの実務を担当、菊川剛前会長(70)や前任の岸本正寿元会長(75)に報告し指示を受けた可能性があるとみて、詰めの調べを進めている模様だ。【杉本修作、町田徳丈、山本太一】

毎日新聞 2011年12月3日 20時59分(最終更新 12月4日 0時49分)

 

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