「で、この麻薬はどこへ運ばれて誰に手渡すはずだったの?」 金色の髪の女性が、机越しに対面した男性に問いかける。 だが、男は何も答えない。完璧な沈黙を保っている。 「トム、貴方がちゃんと話してくれないから、わざわざ私が呼ばれたのよ?」 トムと呼ばれた男は、先日麻薬大量所持で逮捕された重要人物だった。 彼自身は小さなマフィアの下っ端だったが、彼とつながるのは大きな組織であることは間違いない。 彼が証言さえすれば、大きな裏組織を一網打尽に出来るのだ。 警察は彼に自白させようとしたが、当然トムは何も語らない。 忠義心云々ではなく、もし話せば確実に命を奪われると知っているのだ。 「たとえ、あんたみたいに色っぽいねーちゃんでも俺は話さないぜ」 彼女が着るスーツの大きく開いた胸元を好奇の目で見ながら彼は言う。 色香を帯びたうなじを見せ付けるように、肩まで伸びたブロンドの髪をかき上げてみてもトムに隙は生まれない。 彼は一見ただのチンピラに見えるが、実際のところと無はかなり頭の切れる男であったのだ。 もちろん、警察も馬鹿ではない。 確かに彼女が美しいとは言っても、トムが色香で口を割るなどと初めから思ってなどいない。 警察側としては、裏社会の大きな一グループを一網打尽に出来るチャンスを自ら無駄にするような真似は出来ないのだ。 それ故、彼女を呼んだ。それだけのことなのだ。 「私、今休暇中なのよね。早くビーチに戻りたいから手っ取り早く済ましましょう?」 「・・・あんたのセックスはいつもそんな感じかい?」 不意に金髪の美女は立ち上がり、トムの側まで歩いていく。 トムの背後から背中越しに手を伸ばし、そして耳元で甘い吐息を吐く。 「まさか。私はゆっくりと愛を育むタイプよ?」 「へぇ。そりゃあ、ぜひともお目にかかりたいもんだ」 「残念。私の彼、浮気は許してくれないタイプだから」 そう言いながら彼女はトムの背中に大きな胸を押し付ける。 「へへ、でももし直接身体に聞いてくれるんなら―――考えてやってもいいぜ」 「あら、本当に?」 「何なら今からでもいいぜ。取調室で・・・なんて滅多に出来るもんじゃないからな」 「あら、せっかちね」 「へへへ、あんたエロい顔してるからな。相当の好き者だろ?」 「ええ、とっても大好きよ。・・・じゃあ、お言葉に甘えて身体に直接聞いてみようかしら。・・・・・・トム、貴方はいつどこに麻薬を運んで、誰に渡すつもりだったの?」 「さあ、知らないな。へへへ、胸を押し付けるくらいじゃぜんぜん足りないぜ」 トムはそっけなく吐き捨てる。 だが、彼女は満足したように微笑をたたえながら出口へと向かう。 「竜飛人・・・思ったより大きなマフィアとつながっていたのね」 扉の前へと差し掛かった時に彼女は、人差し指を真っ赤な唇に当ててぽつりと呟いた。 その呟きを聞いて、余裕を保っていたトムの顔に初めて焦りが生まれた。 彼女は背中越しにそれを感じ、くすりと笑うと楽しむように続ける。 「場所は西エリア、A−3倉庫前。時間は今日の―――ま、正確には明日の午前二時、と」 まるで心を読まれたようにずばり、の情報を口にする目の前の女を見つめながらトムは絶句する。 ますます楽しみながら、彼女は振り返り”当たってるでしょ?”とトムに言う。 「な、なんでそれを・・・」 「私、その顔とその言葉を聴くの”が”大好きなの。やっぱりこの仕事天職よね」 休暇を潰されたにもかかわらず、すこぶる機嫌のよさそうな彼女と、理解不能の窮地に絶句するトム。 結局彼女は質問に答えないまま、ウインクを一つ哀れな犯罪者に送ると、そのまま部屋を後にした。 「やあ、どうだったかねアリカ。はは―――愚問だったかな?」 「こんにちは署長。内容は紙に、それとも口頭で?」 「面倒だが紙のほうで頼むよ。それが終わったら引き続き休暇に移ってくれ。良い休暇になることを祈ってるよ」 「ふふ、祈るだけじゃ神様は何もしてくれないけどね」 皮肉を言うアリカ―――――アンジェリカ=レドルに署長は苦笑を浮かべる。 「しかし、ESPも大変だね」 「そうね。まあ、私は好きでやってるからいいけどね」 そう言いながらアリカは署長の肩に手を伸ばし、軽く触れる。 「あら、本当に大変だと思ってくれてるのね」 「はは、もちろんだよ。しかし、私達にはない特別な力を持っているんだ、天命だと思ってあきらめてくれ」 「ありがと・・・でも、胸元のことはセクハラよ?」 「こりゃまいったな。はっはっは」 署長が困り顔で、笑ってごまかすのを聞きながらアリカはESP室へと向かう。 通称ESP。 何の事はない。 一般人とは異なった異能力を持つ者たちをそう呼ぶだけだ。 何も無い場所から水を溢れさせたり、分厚い壁の向こうを透視したりと、その能力は人によって様々なもの。 ただ、その存在は極秘とされており一般にはけして知らされない。 ESPの出生率はきわめて低く、なぜ能力を持つのかはいまだに全くの謎。 アンジェリカ=リドルもESPであり、能力を買われて今の職業に付いた。 彼女はESPの中でもかなりの特異種で、その能力は”他人と意識を同調させること” 先に見たように、意識を同調させれば相手の思考が覗き見れる。 こういったケースでは非常に有効とされ、彼女の休暇は邪魔されることが多い。 まともに休暇が取れないことは確かに難点ではあったが、それでも彼女はこの仕事を誇りにしていた。 だから、仕事についてから今まで一度たりとも辛いとも思ったことはなかった。 たとえ、これからどんなに辛い目に遭おうとも、アリカはこの仕事を続けようと強く心に思っていた。 それは、幼くして両親から拒絶されたアリカを、心を読まれることを恐れずに人間として、そしてまるで我が子のように接してくれた署長のためだった―――。 「あ、アリカさん」 と、若い婦警の一人がすれ違いざまにアリカに声をかける。 親しくは無いが、何度か目にしたことのある婦警である。 「何?」 「署長がすぐに資料室まで来て欲しいっていってましたよ」 「署長が・・・?」 「ええ」 「でもさっき会った時は何にも言ってなかったわよ?」 「なにやら、緊急だそうですよ」 「分かったわ。まあ、資料室にもパソコンはあるし・・・そっちに向かうわ」 「はい。じゃあ失礼します」 「仕事頑張ってね」 「はい。アリカさんも」 「ふふ、ありがと」 お互いににっこりと笑みを交わすと、二人はその場を後にする。 アリカは署長の態度の変容を不思議に思いながらも、婦警の言うとおり資料室の前まで辿り着いた。 そして、いつもそうするようにノックなしで扉を開く。 ―――――――――瞬間。 ビリッとした刺激が体を走る。 アリカは驚きの声すら漏らせない。 あまりにも予想外すぎた。 まさか、改造スタンガンなんて代物がドアの脇から伸びてくるなんて。 まさか、まさか署内に敵が潜んでいるなんて思っていなかった。 他人の考えが読める。そんな自分の能力を過信しすぎた。 倒れこむ体を支えきれず、アリカは自分の不注意さを呪った。 出来るだけの対処法を一瞬のうちに脳裏に浮かべたが、そのどれをも実行できないままに、ぶつりとアリカの意識は途絶えた。 「ん――――――――――――?」 瞼越しに、急激に眩しい光が飛び込んでくる。 そのあまりの眩しさに、目を開けたアリカは再び目を閉じる。 ゆっくりと、おそるおそる瞳を開けていく。 「ここは・・・、それに私・・・・・・?」 強いライトで照らされた部屋だということは分かる。 あとは眼前に鏡が張り巡らされている。おそらくはマジックミラーなのだろう。 部屋の事についてそれ以外はよく分からない。 あと、強いてあげるなら自分が硬い椅子に座っていて、手足が革のベルトで固定されていることくらいだろうか。 簡潔に言うと、状況は最悪ということだ。 「ああ、おはようございます。アンジェリカさん」 不意に背後から声がかかる。 鏡越しに見ると、そこには少しやせ細った背の高い男が立っていた。 アジア・・・中国人だろうか? 細められた目から除く眼光は、まるで蛇のようでアリカは気に入らなかった。 「いい目覚めだわ。これで拘束されていなかったら一層、ね」 「なぁに、すぐに外してあげますよ。とは言っても・・・あなたが私の同士になった後ですがね」 「あなたはマフィアの人?」 「ああ、自己紹介が遅れました。私”竜飛人”と申します」 アリカは心のどこかでやっぱり、と思った。 スーツに身を包み、言葉遣いも丁寧だが、まとう雰囲気は常人のものとかけ離れていたからだ。 「目的は、あの麻薬?」 「いえいえ、あんな物くらい後からどうとでもなりますよ・・・どうとでも、ね」 飛人の細められた目からは、どんな感情も読み取れなかった。 だが、アリカはその奥に隠された眼から寒気を誘う、何かを感じた。 「じゃあ――――――」 「貴女ですよ。アンジェリカ=レドルさん。私の目的は、貴女です」 アリカが尋ねる間もなく、飛人はきっぱりと言い切った。 「・・・私をどうするつもり?お得意の薬でも使って、洗脳するとか?」 「まさか。そちら側のESPが薬物訓練されているくらい知ってますよ」 「言っておくけど、私は今の仕事を誇りに思ってるから」 「ええ、存じてます。でも私はどうしてもあなたと貴女の力が欲しいんですよ」 「死んでもお断り。私には向こう側に素敵な彼もいるし、ね」 飛人は、足音を立てない奇妙な歩き方でアリカの目の前まで歩み寄った。 目の前で見る彼の顔、いや、雰囲気はますますアリカを不快にさせた。 「実は、私も異能力者なんですが・・・私の能力はとても弱く、限定されているんですよ」 「へえ、どんな能力なの?」 「あなたと逆ですよ。他人に自分の意識を押し付ける力です。しかし弱すぎて”婦警一人に伝言を伝えさせること”くらいしか出来ない」 「・・・・・なるほど、ね。あれはそういう事」 「はい。そういう事です。まあ、油断させるには最適でした」 「それで、その弱い力でどうするつもり?」 「貴女を書き換えます」 そう言いながら飛人はアリカのグラマラスな体を値踏みするように、舐め回すように見つめる。 アリカは、眼前に迫った飛人の顔に唾を吐きつける。 そして、自分が不利な立場にある素振りは見せずにふてぶてしく笑う。 「あはは、何を馬鹿なことを言って――――――」 「果たして、本当に馬鹿げた事でしょうか?」 「!」 「私に書き換えられた貴女が、悪へ寝返る――――――ぞくぞくしませんか?」 「そんなことがありえると思う?」 「ヒヒ、知ってますよ。強すぎるあなたの力は触れられるだけで、自分の意思とは関係なく相手と同調してしまうんですよね」 「っ!」 飛人は自分の顔に吐き付けられた唾を指で掬うと、それをそのまま自分の口内へと運ぶ。 「とても甘いですねぇ」 「この・・・変態・・・」 「最高です。あなたが反発的な態度を取ってくれればくれるだけ私はうれしい」 また、ヒヒっとひねくれたような笑い声を上げて飛人の手が、アリカの額に触れる。 「――――――――――」 アリカは短い悲鳴を上げた。 得体の知れない何かが、自分の中に入ってきた錯覚を覚える。 まるで蛇のように、グネグネと這い回るそれは、アリカの大事な部分を見つけてはちろちろと細い舌で舐め上げる。 それは悪へ対する憎悪とか、自分が持っていた仕事への誇りとか、価値観とか、アリカがアリカであるための大事なもの。 「だ・・・駄目・・・や、やめ」 蛇がアリカの中の決定的なものを捉えた。 「い、嫌・・・”それ”に触れない・・・でっ」 細い舌がちろり、と心を舐める。 「んん、はぁんっ」 アリカの身が悶える。 飛人はアリカに顔を近づけ、自分の長い舌で端正な顔をべろりと舐めた。 それと呼応するように、イメージ上の蛇は大きく顎を開き、鋭く尖った牙を突き刺した。 「んっ・・・ん゛んああああああぁああ゛あああああああ」 白目を剥きながら、体をがくがくと震わせる。 同調、なんて甘いものじゃない。 暴力的なまでに激しく、甘く自分の脳内が黒い物に包まれていく。 「あ、が・・・・・・・・!!」 拘束具がガチャガチャと激しい音を立てる。 甘い毒が、アリカの精神にゆっくり染み渡っていく。 涙で溢れた虚ろな瞳が目の前の男を捉える。 それが誰なのか分からなかったが、すぐに頭の中が真っ黒に染まって、誰なのかを認識させられる。 「う・・・あ・・・・・・あ゛ーー、う゛あーー」 自分が書き換えられている、苦しくて、苦しくて苦しくて苦しくて―――けれど。 アリカはぞくぞくと背筋が震えるほどに、不思議な恍惚感が自分の体の中にゆっくりと満ちていくのを感じた。 「じゃあ、拘束具を外してあげます」 「・・・はい・・・ありがとうございます」 「ああ、その前にあなたに尋ねておきたいことがあります」 「はい、何でもお聞きください・・・」 「あなたは警察とこちら側どっちに属するつもりですか?」 「・・・当然、警察は敵です。必ず崩壊させて見せます」 「しかし、あなたの恋人はどうするんですか?」 「・・・殺します・・・絶対に殺します」 蜂蜜色の瞳には、以前彼女が警察側から見せていた敵意よりもはるかに強い敵意が覗いていた。 思っていたよりもはるかに強く、彼女の精神は蝕まれていた。 「結構です。じゃあ、もう少し私好みに精神を弄ってから拘束を解いてさしあげます」 もう一度、飛人はアリカの額に手を置く。 「ん・・・ふっ・・・」 今度は瞬時にアリカに変調が訪れ始めた。 もうアリカは自分の飼い主が自分の意識を書き換えることに抵抗を示さなかった。 むしろ、自分から意識して受け入れた。 目の前の男が満足そうにうなずいた後、自分の戒めを解いていくのを大人しく眺めていたが、その顔は性的な興奮に満ちている。 悦びと、羨望と。 大きな胸の谷間にはすでに玉のような汗が浮かび、流れ落ちる。 全ての拘束具がはずされると、アリカは自分から嬉々として飛人の足元へ跪いた。 大きな谷間を覗かせながら、飛人が何を言わずとも飛人の好み通りに、黒い革靴に熱い口付けを交わした。 そして真っ赤な舌を大きく這わせ、それでいて嬉々とした表情を浮かべる彼女の姿はまさしく雌犬。 媚を振るように熟れた雌尻を振る彼女には、プライドは残されていなかった。 その様子を満足そうに眺めて、飛人はアリカに声をかける。 「アリカ、上も頼みます」 「ちゅばぁ・・・はい・・・」 スーツのボタンを外すのももどかしい様で、最後は無理やり引きちぎるアリカ。 ボタンが飛び散るのも構わず、次いでブラをも引き千切った。 弾かれるようにして飛び出た大きな胸が、卑猥に揺れる。 そしてアリカは膝立ちで、器用に口と舌だけを使い、飛人の一物を露出させる。 アリカは羨望のまなざしでそれを見つめると、先ほど飛人が甘いと称した、蜂蜜のような唾液を惜しげもなく胸にたっぷり垂らす。 ローションのようにどろりとした唾液を胸になじませると、飛人のものを挟み込む。 ぶじゅる、ぶじゅるとぬめった、卑猥な音を立てながらの懸命の奉仕。 アリカ自身には経験がなかったが、それは飛人のイメージが為し得た事だった。 ふくよかな胸で挟み込まれた飛人のそれ。 強く挟み込まれながらピストンを繰り返すと、飛人のそれはアリカの谷間を突き抜けるほどに勃起し始めた。 うっとりとした眼差しでその様子を見つめ、やがてアリカは堪え切れずに妖しく濡れた唇でそれを飲み込んだ。 「じゅる、んんごぽっ・・・んぶじゅるっ」 アリカは夢中だった。 大きく勃起したものから流れ出すカウパー液と、濃厚な唾液が口内で陰茎をべとべとにする。 ついには唇の端から流れ出し、自分の顔をぬめらせるほどになったがアリカは気にせず行為に没頭した。 「アリカ・・・出ますよ」 飛人がそう言うと、アリカはますます興奮し、行為を激しくする。 たまらずに飛人は射精の瞬間に、アリカの後頭部を両手で押さえつけ、喉元にまで押し付ける。 んぐぅ、とアリカは苦しそうな声を上げたが、それでもその表情は至福に包まれていた。 精液が喉奥に叩き付けられる度に、体は味わったことのない快楽に満たされていく。 「素晴らしいですアリカ。私たちは思った以上に相性が良い」 蕩けた表情でぐちゅぐちゅと放出され尽くした精液を、飲み込まずに何度も口の中で反芻するアリカを見つめ飛人は言う。 「さあ、次は肉壷のほどを試してみましょう」 唇の端を醜く歪ませ、飛人はまたアリカの額に手を触れる。 飛人の意思がまたアリカの精神を侵す。 ―――こんなに便利な能力はない、と飛人は思った。 アリカが第三者に触れ、精神を同調する。 そのアリカに自分が触れ、アリカを媒体として精神を押し付ける。 目下の目標は、どこまで応用できるかどうか。 だが、思ったよりもはるかに強いアリカの能力は飛人の期待を満たしてくれるだろう。 「さて・・・もういいでしょう」 飛人がそう言うや否や、まだだらしなく口から精液を垂らしたままのアリカは、自分から犬が服従するかのように仰向けに寝転ぶ。 視線は飛人のものに熱く注がれ、他の何も映らない。 もはや今は飛人とセックスをすることしか考えられないのだ。そのように書き換えられた。 その証拠に、ストッキングの裏に隠された、扇情的なランジェリーは大きな染みが出来始めていた。 それだけではない。 待ちきれないといったようにアリカが上着と同じようにストッキングを破り、下着を脱ぎ捨てると男を誘う陰部ははもう匂い立つほどに上気していた。 とろとろ、と蜜を流しだすそこを、両手で大きく広げる。 「はぁー、はぁー」 荒く息をついて、今か今かと待ちわびるアリカの肉壷を目指し、飛人の男性器がゆっくりと近づいていく。 先端が女性器に触れ、アリカは歓喜の声を漏らす。 飛人が焦らしながら、円を描くように先端をなすりつけると、見る見るうちにアリカの白い肌から愉悦の汗が浮かびだす。 しばらくアリカの様子を楽しむと、飛人は長い剛直を根元まで一突きに挿し込んだ。 「ひゃあああんっ、うう、うううあん」 まるで少女が初めて絶頂を知ったような声を上げ、腰の辺りを中心にアリカの全身ががくがくと震える。 性経験は決して少なくはなかったが、この衝撃は味わったことがないものだった。 もはや今は恋人の顔も、名前さえ頭に浮かばないアリカはこの男に従属するしかなかった。 たとえ逃げても直接精神に流れ込む意識を避ける術はないが、もうアリカは逃げようとも思わない。 今はただ肉欲の快楽に溺れるだけだ。 「やっ、あっ・・・うあっ、ひあぁっ!!」 勢いに乗せてパンパンと肉が弾ける音が響き、それに混じってアリカの悩ましい嬌声が響く。 だが、アリカも突かれっ放しではなく、みっちりと飛人のそれを締め付け、出来る限りの快楽を味わおうとする。 「うあぁっっ、あああっっ、っぅ、んんんんんんっ!!」 子宮の先を激しく突かれ、限界以上に淫らになるように精神を上乗せされた。 そんなアリカは、断続的に体を激しく震わせ、くねらせ、狂ったように頭を揺さぶる。 それでいてグニグニと熱い肉壁が締め付けるので、飛人も二度目の絶頂感が近づいてくるのを感じた。 「またぁ・・・・・・・・イクううううううう」 一際強い締め付けに、飛人の目の前がちかちかと白く霞む。 そして気がつくと、容赦なく雌壷の奥に熱い精液を叩き付けていた。 何度も何度も子宮を打つ熱い精液。 出し尽くしてなおアリカの肉壁は、まだ硬さを誇る飛人のそれを求め、圧迫を続ける。 「少々淫乱にしすぎましたねぇ。・・・まあいいです。あなたには、これからゆっくりと私の精神を受け入れてもらうことにしますよ」 飛人はまたヒヒっと笑い、少し名残惜しそうにしながらも、まだ締め付けるアリカの蜜壷から自分のものを抜く。 アリカの肉壷からは、飛人の精液が勢い良く、ごぼっと零れだす。 アリカはただ自分を蹂躙した証拠であるそれを、愛しげに眺め続けていた。 「やあ、アリカ。休暇はどうだったかね」 「こんにちは署長。素晴らしいものだったわ・・・とても」 格好は普段どおりだったが、一瞬見せた熟練の娼婦のようなアリカの表情に署長は大きく胸を打たれた。 「アリカ・・・何というか、今日はとてもセクシーだね」 「そう?」 表情だけでない。 大きく開かれた胸元からも、ミニスカートから長く伸びた足からも、いやアリカは全身匂い立つほど大人の色香に包まれていた。 正直、自分の娘のように思っていた署長だが、今日は一人の女性としてアリカを見ていた。 「あ、アリカ。この前は残念だった。君の報告通り、倉庫の前に行ったんだが連中の姿はなかったよ」 「あら・・・そうなの」 「ここだけの話だが、警察内部にも彼等と関わりのあるものが数人潜んでいるかもしれない」 「それは・・・大変ね」 「そこで、だ。君の力を借りたい」 「ふふ、そんなこと意味が無いのに?」 「・・・なんだって?」 署長が大きな体を椅子から持ち上げる。 その瞬間に、アリカは太ももに貼り付けたホルスターから拳銃を取り出し、自らの親とも呼べる署長の腹を、ためらいなく撃つ。 人を呼ぼうとした署長の肩を狙い、もう一発。 呻き声を上げて、署長は地面へと倒れこむ。どうやらまだ意識は残っているらしい。 「あ、アリカ・・・どういう・・・」 「ふふ、安心して署長。あなたは殺さないわ」 アリカは冷笑を浮かべながら、父のように慕っていた署長の元へ近づいていく。 「でもこれからは、竜様の操り人形になってもらうわね」 「まさか、君は・・・」 「さーて、どうかしら。うふふふ」 署長が言葉を続けようとするのを無理やりキスで遮る。 呼吸困難を起こすまで、濃厚なキスを続け、気を失ったところでようやく唇を離す。 糸のように伸びた唾液がぷちんと切れた、その瞬間。 入り口の扉が、勢いよく開かれる。 そこから現れたのは―――――以前の恋人。 「署長ッ、今の銃声は・・・!?」 パンッ。 彼が状況を飲み込む前に、四発目の乾いた銃声が響く。 続いてもう一発。 両膝を撃ち抜かれた元恋人は、何が起こったかわからないままカーペットの上へ倒れこんだ。 「アリカ・・・君、何を・・・?」 声を発した瞬間、右肩を撃ち抜かれる。 弾を装填し直しながら、アリカは床に倒れこんだ物体へと近づいていく。 その表情は、まるで汚らしいものを見るように嫌悪に満ちていた。 「あ、アリ・・・カッ!!?」 真っ赤なハイヒールの踵が右肩に重く押し付けられる。 アリカは一言も言葉を発することなく、ただ怒りに満ちた表情でぐりぐりと傷口を抉る。 「アリカっ・・・な、何を・・・止め・・・ぐあぁぁああ!!」 「気安く名前を呼ぶなッ!!」 ぶつりっと肉の千切れる音が部屋に響く。 一際大きく悲鳴が上がった瞬間、彼が入ってきた入り口から数人の警官と、一人の男が入ってくる。 警官の中には、先日アリカに声をかけた婦警も混じっていたが、彼らはいずれも床に倒れこんだ仲間には目もくれない。 彼が言葉を発しようとするが、その度傷をひどく抉られて、それは言葉にならなかった。 「アリカ、仮にも元恋人なのだからもう少し優しくしてやったらどうですか」 無表情で気絶した署長を運び出していく警官の横から、男の声がかかる。 それは神の声だった。 完璧に”調整”されきった、今のアリカにとってそれは絶対だった。 男がアリカの横に立ち、顔を近づける。 とたんにアリカは表情を悦楽に歪ませる。 男が舌を突き出すと、アリカは当然といったように男の舌に自分の舌を絡ませる。 それだけで、アリカの蜂蜜色の瞳からは涙が零れた。 「アリ・・・カ・・・ぐうああああ!!」 アリカはディープキスを繰り返しながら、床に転がる物体に向けて力の限り足で踏みつけた。 ハイヒールの踵が、肉にのめり込むのを感じたがどうでもよかった。 ただ、叫び声が不快だったので、何度も何度もハイヒールの底を力を込めて叩き付けた。 それを見て神は自分の口から顔を離していく。 「まるでゴミみたいですね」 「いいえ、ゴミです竜様」 美貌を忌々しげな表情に歪めながら、すでに骨が砕けている男の肩を踏みつける。 男は自分の恋人の力を知っていた。 だから、だから左手でアリカの足首をつかんだ。 アリカの目が大きく開かれる。 足の下の男の精神が自分の中に入り込んで、男が自分を想う気持ちがどんどん入り込んでくる。 たまらなく―――――――吐き気がする。 アリカは男の手首に銃弾を放った。 骨が砕ける音が鈍く響き、男の手が自分の足首から離れる。 すかさず、アリカは全力で男の顔を蹴り潰す。 ごろごろ、と壁のほうまで男の体が転がっていく。 それを冷たい瞳で見つめながら、それに撃てる限りの銃弾を浴びせる。 男の体は壁にぶつかり、赤いカーペットに赤い染みを作っていく。 もはや僅かな動きしか見せなくなった男の体にもはや怒りの感情すら浮かばなくなったのか、アリカは自分の愛しい人へと身を寄せる。 「これでこの署内は制圧を終了しましたね。ご苦労様でしたアリカ」 「もったいないお言葉ありがとうございます」 アリカが心底うれしそうに言葉を返すのをみて、飛人は満足したようにうなずき返す。 飛人が乱暴に服を引きちぎり、アリカの大きな胸をむしゃぶり始めてもアリカは抵抗一つしない。 ただ、愉悦の表情を浮かべたまま、飛人の為すがままになっている。 「ああ、竜様・・・アリカの心を犯して下さい・・・。アリカはあなたの思うとおりに受け入れます」 アリカ虚ろな顔で呟く。 実際これからも飛人が望どおりの考えをするようにアリカの精神は改竄されるだろう。 アリカはそれを想像して―――――――――股に張り付いたパンティーに淫苑の形をくっきり浮かび上がらせた。 < 終 >
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