政治

文字サイズ変更

日韓首脳会談:野田首相、慰安婦問題は「決着済み」

京都迎賓館の中庭を散策する野田佳彦首相(左)と韓国の李明博大統領=京都市上京区で2011年4月18日午前10時11分(代表撮影)
京都迎賓館の中庭を散策する野田佳彦首相(左)と韓国の李明博大統領=京都市上京区で2011年4月18日午前10時11分(代表撮影)

 野田佳彦首相は18日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と京都迎賓館(京都市)で約1時間会談した。大統領は旧日本軍の元従軍慰安婦の賠償請求権問題について「両国関係の障害物となっており優先的に解決しなければならない」と解決に向けた首相の政治決断を強く求めた。これに対し、首相は「我が国の法的立場はすでに決まっており決着済みだ」としたうえで、韓国の市民団体がソウルの日本大使館前に設置した元慰安婦を象徴するブロンズ像の撤去を要請した。

 大統領が日本の首相との会談で、慰安婦問題解決を具体的に迫ったのは初めて。韓国国内で元慰安婦の賠償請求問題が再燃していることが背景にある。韓国側の説明によると、会談のうち約40分が慰安婦問題に割かれた。

 会談では、冒頭のやりとりの後、首相が「経済、安全保障の話をしたい」と水を向けたのに対し、大統領は「経済問題の前に慰安婦問題の話をしなければならない」と切り返し、「日本政府が認識を変えれば、すぐに解決できる問題だ」と強調。元慰安婦の女性が高齢になっていることから「今しか解決できない」とし、「首相の大きな次元での政治決断を期待する」と迫った。

 日本政府は、65年の日韓基本条約に伴う請求権経済協力協定で慰安婦問題などは法的に解決済みとの立場。首相は大統領に対し、日本の立場を伝えたうえで、「これからも人道的見地から知恵を絞っていく」と述べた。

 一方、首相はブロンズ像について「誠に残念だ」として早期撤去を要請した。これに対し、大統領は「日本政府が少しでも(慰安婦問題に)関心を見せたなら起こらなかったことだ。誠意ある措置がなければ第二、第三の銅像が立つ」と述べ、日本側の対応がまず必要との認識を示した。

 また、首相は日韓両国が領有権を主張している竹島(韓国名・独島)を念頭に「日韓間には、日本側が提起している問題を含めて困難な問題がある」と指摘した。首相は、交渉が中断している日韓経済連携協定(EPA)や、北朝鮮問題、安全保障協力などにも触れたが、大統領が慰安婦問題に繰り返し言及し、議論は深まらなかった。【横田愛】

毎日新聞 2011年12月18日 19時28分(最終更新 12月18日 19時39分)

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

ビジネスが進化「みんビズ」の可能性

ウェブサイトが15分で簡単作成、しかも無料で

東京モーターショー 注目のクルマ

クルマの最先端が集結

東海大学:ソーラーカーレースで連覇!

学生は社会で必要とされる力を身につける

毎日jp共同企画