中国で軽油不足、原因は“インフレ抑制”
今、中国の地方都市ではガソリンスタンドから軽油が姿を消すという現象が相次いでいます。実は、インフレを抑制しようとする中国政府の政策に原因がありました。
中国・重慶市郊外。客がひっきりなしに訪れ、ガソリンを入れていきます。見たところ、普通のガソリンスタンドですが、「ディーゼル(軽油)がない」という漢字が・・・。9月10日からこの店では一滴も入荷できていないということです。この店では毎月50トンのディーゼルエンジン用の軽油を販売していましたが、突然入荷できなくなったということです。
「農民が一番困ってます。農機具が使えず、作業ができないから」(ガソリンスタンド経営者)
「本当に不便だ。軽油不足で車が動かないんだから」(店の客)
この近くのガソリンスタンドも同じように軽油は売っていませんでした。
「軽油を売ってる店でも制限があって、長いときは8時間以上並びました」(トラック運転手)
「軽油不足で仕事が減りました。1日5回搬送できたのが、今は3回くらいです」(トラック運転手)
毎年のように起きているという軽油不足。原因は何なのでしょうか。中国ではガソリンや軽油の小売価格を中央政府が決めます。一方で、石油企業は購入した市場価格を反映させ、卸値を出しますが、政府の決めた小売価格がこれより安くなることがあります。物価が上がると民衆の不満が抑えられなくなるおそれがあるため、政府は原油の価格が高くなっても販売価格を無理やり安くするのだといいます。そうすると売れば売るだけ赤字が増えるため、石油企業は小売店への販売をストップしてしまうのです。
「売るか売らないかは石油企業の一存だ。彼らは市場を独占し、私たち民間企業のことなど考えていないんだ」(ガソリンスタンド経営者)
こうした状況は電力にも当てはまります。地方都市でしばしば起きる停電。政府が決定した小売価格が安すぎて発電会社が供給をストップしてしまうことが原因の1つとして挙げられています。
物価の上昇を抑制し、民衆の不満を抑えようとする中国政府。しかし、その政策は皮肉にも国民に別の不満を抱かせる結果となっています。(18日15:55)
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