杉内巨人入り確実　栄光の背番号１８を提示

　ソフトバンクから国内フリーエージェント（ＦＡ）宣言した杉内俊哉投手（３１）の巨人入りが１６日、確実になった。代理人を務める酒井辰馬弁護士が東京都内で２度目の交渉に臨み、巨人の原沢敦代表兼ＧＭからエースナンバー「１８」を提示された。酒井弁護士は「週明けの早い段階で結論を出したい」と話し、１９日にも入団会見が行われる見通しとなった。

　熱い思いは伝わった。８日の交渉では４年総額２０億円とみられる金銭提示を受けたが、酒井弁護士が「野球人生すべてを受け止める覚悟を示してほしい」と異例の注文をつけていた。その答えが「１８」だ。１９３５年のスタルヒンに始まり、７８年を誇る球団史でエースナンバーを背負ったのは７人だけ。これ以上ない“誠意”だった。

　巨人も慎重な手順を踏んだ。第１回交渉後、原沢代表が原監督に相談し「１８番にふさわしい、価値ある選手」と快諾を得た。原監督は第５代である故・藤田元監督の節子夫人から内諾を取り、原沢代表は第６代の堀内元監督、先代の桑田氏から理解をもらった。長嶋終身名誉監督にも説明し、「絶対に欲しい選手」と後押しされたという。

　巨人の「１８番」と言えば、生え抜き右腕エースの代名詞。桑田氏が引退した翌年の０７年からは空位にしていたほど重みのある番号だ。原沢代表は「野球人生を懸けたいという彼に示せるものはこれしかない。５年間の空白を埋め、なおかつ新しい１８番の歴史をつくれる投手」と強調した。

　どれだけ大金を積んでも手に入らない“プライスレス”な条件提示に酒井弁護士は「お金以外で示せる最大限の思い。１２０％のお答えだと思う」と感無量。交渉中に電話で報告した杉内も「本当ですか！」と言った後に絶句したという。

　金銭プラス誠意。酒井弁護士は「野球人生が燃え尽きるまで巨人にささげる環境はできているのかな」とうなずいた。週末にも杉内本人と話し合い、最終決断を下す。１９日にも「巨人・杉内」が誕生する。（金額は推定）　（井上学）