経済

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診療報酬改定:決着見えず 厚労・財務相が会談へ

 12年度の診療報酬改定をめぐり、物価・賃金情勢に合わせて引き下げを求める財務省と、引き上げを求める厚生労働省のバトルが激化している。与党や業界団体も巻き込んだ論争に発展。安住淳財務相と小宮山洋子厚労相は週明けにも会談する方向だが、なお着地点は見いだせない。政府予算案が決まる今週末にかけて、神経戦が続きそうだ。

 「経済界、労働組合、市町村、中小企業、いずれも診療報酬を引き下げるべきだと言っている」。16日の閣議後記者会見で、安住淳財務相は強い姿勢で厚労省をけん制した。診療報酬のうち既に薬価引き下げは決定的。診察や検査、手術費、医師らの人件費である本体部分についても同省は1%の引き下げを求めており、厚労省は反発、12年度予算の大きな焦点となっている。

 公的医療保険制度では、医療費の14%を患者の自己負担、49%を個人や企業の保険料、37%を公費で賄う。医薬品や医療サービスへの対価である診療報酬の引き上げは医療費膨張につながり、国や患者、企業の負担増に直結。経団連や連合、健保組合連合会なども引き上げに反対している。

 厚労省は引き上げで、医師不足が深刻な勤務医や小児、救急などに手厚く配分すると主張。一時は「全体での据え置き」を落としどころと見ていた小宮山厚労相も、財務省の大幅引き下げ要求に態度を硬化させ、「医療崩壊を止める財源を確保する」と訴える。日本医師会など医療関係団体も働きかけを強めており、16日の民主党厚労部門会議は引き上げを求める意見書を発表、「引き下げなら予算案に賛成できない」との声まで出た。

 診療報酬は前回10年度改定で本体が1.55%引き上げられた結果、全体が10年ぶりのプラス改定(改定率0.19%)となった。しかし、デフレで賃金が低迷する中での医療関係者優遇には疑問の声もあり、11月の行政刷新会議の提言型政策仕分けでは、所得の多い開業医などから、医師不足の診療科に配分をシフトすべきだとの提言が出された。有力支持団体の賛否も割れる中で、24日予定される予算案決定までぎりぎりの調整が続きそうだ。【坂井隆之】

毎日新聞 2011年12月17日 20時27分(最終更新 12月18日 0時01分)

 

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