伊東市の観光会館(同市和田)で23日、県民俗芸能フェスティバルが開かれた。会場では東日本大震災で被害を受けた岩手県大船渡市立末崎(まっさき)中の生徒たちが生産・加工した「ワカメ」を、伊東市の中学生がボランティアで販売する姿があり、中学生同士の思いを込めた三陸のワカメは飛ぶように売れていた。
同フェスティバルは県文化財保存協会などが主催。年1回、県内各地で持ち回り開催されている。16回目の今年は、伊東市の郷土芸能祭も兼ねる形で実施された。東北地方で多くの無形民俗文化財が被害に遭ったことから、「支援」の色彩が強いイベントとなった。
大船渡市末崎町はワカメ養殖の発祥の地といわれ、末崎中では02年から「海に生きる」をテーマに、総合的な学習の時間で生徒たちがワカメの養殖を行っている。毎年の修学旅行先でも販売体験を重ねてきた。ところが、大震災で末崎町も大きな被害を受け、修学旅行は延期に。震災前に収穫していたワカメの販売機会が失われた。
そんな時、同フェスティバルに招待された末崎町の関係者から、静岡県教育委員会に「会場で中学生のワカメを販売できないか」と問い合わせがあった。県教委は伊東市教委を通じて協力を呼びかけ、伊東市立北中学校の1、3年生13人が販売のボランティアを引き受けた。
ワカメは1袋200グラム入りを300袋用意したが、販売開始から間もなく売り切れた。1袋600円で、うち200円が被災地の支援金に充てられる。
同中3年の大河航太朗君(15)は「少しでも役に立ちたいと思って参加した。多くの人に買ってもらえた。被災地にいい報告ができると思う」と笑顔で話していた。
今回のフェスティバルは「神の舞競演」をテーマに掲げ、末崎町の虎舞振興会と芸能保存会が招待された。地元からは北川鹿島踊(東伊豆町)、下賀茂籠獅子(南伊豆町)、湯川鹿島踊・御船歌(伊東市)の3保存会が出演、華やかに競演した。【鈴木道弘】
毎日新聞 2011年11月24日 地方版
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