おかわり３年１０億円　「西武で優勝したい」

　今季４８本塁打、１１６打点でパ・リーグ２冠王の西武・中村剛也内野手（２８）が１５日、西武ドームで契約更改交渉に臨み、出来高含め３年総額１０億円の大型契約にサインした。来季の年俸は倍増の２億５０００万円で再来年以降の年俸は変動制。球団にとっては、生え抜き選手との複数年契約は異例中の異例。順調にいけば来季中に国内フリーエージェント（ＦＡ）権を取得する主砲を、なりふり構わず引き留めた形だ。

　中村が選んだのは「西武の４番」の座だった。会見の途中。質問が途切れたタイミングで、自ら口にした。「お伝えしたいことがあります。来年（の年俸）は２億５０００万円で、３年契約を結びました。インセンティブを合わせると１０億円の契約をしました」。突然のカミングアウトだった。

　最近４年で３度の本塁打王、２度の打点王に輝いた。言わずと知れた球界随一の長距離砲だ。早ければ来季中に国内ＦＡ権を取得。宣言となれば、複数球団による争奪戦は必至だった。国内ＦＡまであと１年というタイミングでの３年契約。「ビックリしました。多少は悩んだけど、西武で優勝したいので、そういう契約をしました」と胸を張った。

　統一球導入元年。おかわりくんの価値は増しに増した。４８本塁打こそ自己最多タイながら、２位のソフトバンク松田は２５本止まりと大差をつけた。それだけに、引き留めにも熱が入った。鈴木葉留彦球団本部長は「中村は特別ということ。これだけ本塁打、打点を残せる打者は、日本では彼一人」とうなった。

　ただ、中村本人は成績に納得していない。「４８本っていう中途半端な数字だった。５０本と言わず、５５本以上を近い将来の目標にしたい」と王貞治（現ソフトバンク球団会長）の日本記録超えを宣言した。「１カ月に１本多く打てればいける」と自信にあふれる。

　「中島さんが抜けるけど、少しでも穴が埋まるように頑張りたい。クリ（栗山）が選手会長でキャプテンだから、選手会副会長の僕は、副キャプテンのつもりでやっていこうと思います」。満面の笑みで立候補したおかわりくん。来年も、西武の顔はこの大砲だ。　（谷光太郎）

（金額は推定）