青森市に住んでいた40代夫婦(現在は山形市在住)が、不妊治療を受けられなかったのは診療拒否に当たるとして、弘前大と医学部付属病院の産科教授を相手取り140万円の損害賠償を求めた訴訟で、弘前簡裁(齋藤健一裁判官)は「病院が実質的に診療を拒絶したと解釈できるが、拒絶には正当な理由がある」として原告の訴えを棄却した。原告代理人は青森地裁に控訴する方針。
判決などによると、夫婦は08年から同病院で不妊治療を受診。培養器のトラブルで同年10月に人工受精卵5個が成育不能となったのは病院の過失だとして10年8月、同大に慰謝料など1830万円の支払いを求める訴訟を地裁弘前支部に起こした。病院側は翌9月、妻に転院と診療延期を求める文書を通知したため、夫婦は「医師法19条(応招義務)違反の診療拒絶に当たる」として11年4月、弘前簡裁に別の訴えを起こした。
齋藤裁判官は「不妊治療は予約なしにできず、実質的に診療を拒絶したと解することができる」とした上で、「先行する訴訟で信頼関係が失われ、患者の治療に緊急性がなく、不妊治療を行う別の病院もあることから、病院には診療拒絶できる正当な事由がある」と述べた。先行する訴訟は審理が続いている。【松山彦蔵】
毎日新聞 2011年12月17日 地方版
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