「この紋所が目に入らぬか!」の名せりふで親しまれた時代劇「水戸黄門」(TBS系)が、19日の放送で42年の歴史に幕を下ろす。ご老公一行が全国を歩いた距離は計約10万9千キロ。番組存続を求める声が上がる中、惜しまれつつ世直し旅を終える。
「水戸黄門」は1969年8月に第1部がスタート、第43部まで続いた。水戸光圀役を務めたのは、初代の故東野英治郎から里見浩太朗まで5人。諸国漫遊の道中で、葵の御紋の印籠を見せ、悪人たちをやっつけるのが定番だった。
中尾幸男チーフプロデューサーは「人間愛と勧善懲悪を貫いてきた。マンネリと指摘されたが『忠臣蔵』同様、視聴者は期待していた」と話す。
11月には、水戸市長と市民団体が番組継続を求める全国約10万6千人分の署名をTBSに提出。時代劇とゆかりの深い京都府と京都市も、東京の民放キー局に連続時代劇の制作を要望した。
放送評論家の松尾羊一さんは「子どもからお年寄りまで、お茶の間で安心して見ることができた。東日本大震災後、人との絆が見直されているときに番組が終わるのは残念だ」と話す。
最終回は、うっかり八兵衛を演じた高橋元太郎や女忍者役で人気だった由美かおるら歴代レギュラー出演者が多数登場、にぎやかにフィナーレを飾る。(共同)