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'11/12/16

大和主砲造った旋盤 健在



 旧日本海軍の戦艦「大和」が呉市の旧呉海軍工廠(こうしょう)で完成して16日で70年。大和の主砲を製造したドイツ製の大型旋盤が今も、兵庫県播磨町の機械加工メーカーの工場に予備機として置かれている。当時、世界最大の主砲を削った旋盤は戦後、造船業などの発展に貢献。ものづくりの現場に座り続ける。

 大和の製造に使われ現存する主要機械は、強度試験機を除くとこの旋盤だけ。ドイツの機械メーカー、ワグナー社製。一部分解されているが、組み立てると長さ約20メートル、重さ約150トンになる。

 現在、船舶用や発電所用の大型部品の加工を手掛けるメーカー、きしろ(兵庫県明石市)の播磨工場にある。棒状の鋼材を軸を中心にモーターで回転させ刃物を当てて削る。

 旧日本海軍は1938年、旋盤を輸入し、旧呉工廠に設置。長さ21メートル、口径46センチで直径は1メートルを超える大和の主砲身の外側を削った。大和は主砲9門を搭載して完成した。

 主砲を製造した旋盤十数台は戦後、占領軍が破壊し、1台だけ産業用として残された。53年に神戸製鋼所に払い下げられ、兵庫県高砂市の高砂製作所で大型船の主要部品であるクランク軸の加工に使用。きしろが96年に借り受け船や発電所の大型部品の加工に使い、その後、買い取った。

 新型機の導入で一昨年から予備機になったが、きしろの藤田義信常務播磨工場長(63)は「いつでも動かせる状態にしてある」と巨大な旋盤を見つめる。

【写真説明】大和の主砲を製造した大型旋盤。動かせる状態で工場に置かれている(兵庫県播磨町)




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