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日中韓FTA、交渉入り提言 産官学の共同研究終了

2011/12/16 20:52
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 【平昌(韓国東部)=島谷英明】日中韓3カ国は16日、昨年5月に始めた自由貿易協定(FTA)の産官学共同研究を終了し、交渉入りを提言する報告書をまとめた。3カ国政府は来年前半に開く首脳会談での早期交渉入りの合意に向け調整を加速する。ただ3カ国の貿易自由化を巡る利害は交錯しており、日中韓の広域FTA交渉は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉も絡み、難航する可能性がある。

 「共同研究の指摘を念頭にFTAの進展方向を協議していく」。韓国外交通商省の崔晰泳(チェ・ソクヨン)FTA交渉代表は16日、共同研究の最終会合終了後の記者会見で、日中韓FTAの早期交渉入りに向けて努力する考えを表明した。

 14日から韓国東部・平昌で開いた会合は、日中韓FTAの意義を確認するのが目的だった。報告書は「3カ国のFTAは実現可能で、3カ国すべてに経済的メリットがある」と指摘。「3カ国の貿易量はFTAで拡大する潜在力が大きい」として、各国にFTA推進に向けた行動計画を決めるように促した。

 考慮すべき点として(1)包括的で高い水準(2)世界貿易機関(WTO)のルールとの一致(3)利益の均衡(4)国内産業への影響が大きい敏感分野への配慮――などを列挙した。

 日中韓は来年前半に中国で開く首脳会談で、共同研究の報告書を土台にFTA交渉を協議する予定。だが、韓国の崔FTA交渉代表は、具体的な交渉入りの時期については「(共同研究会合では)協議されておらず、言及するのは時期尚早だ」と述べるにとどめた。

■膨らむ対日赤字

 報告書は日中韓FTAのメリットを指摘したが、特に日本への恩恵は大きいとみられる。野村証券の川崎研一主席研究員の試算では、日中韓FTAによる実質国内総生産(GDP)の押し上げ効果は0.74%。TPPの0.54%を上回る。ただ日中、日韓、中韓の貿易関係を個別にみると、FTA締結に向けたハードルは多い。

 例えば韓国の対日貿易収支は3兆2000億円の大幅赤字。日本からハイテク製品や自動車の部品を輸入し、金額ベースで6割の品目に関税をかけている。関税を撤廃すれば対日赤字がさらに膨らみかねない。

■農産物が流入

 日本にとって最大の貿易相手国である中国の場合、建設機械(関税率8%)など中国向け輸出の7割に関税がかかっている。関税撤廃は日本の実質GDPを0.66%押し上げる見通し。中国にとっても経済効果は大きい。

 だが中国はコメの生産国で、価格差は縮まったものの日本より2割強は安い。日中の貿易自由化には農業団体などから慎重論が強まる可能性もある。日本企業の中国での投資を保護する投資協定の改定も課題となる。

 中韓のFTAは、かねてアジアの自由貿易圏構想の主導権を狙う中国側が積極的に働き掛けている。韓国側は自動車などの工業品の輸出拡大にメリットが大きいと見ている半面、ニンニクなど低価格の農産物流入の影響を懸念。中韓両国は「敏感品」の取り扱いを巡って実務レベルでの事前協議を続けている。

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