米通商代表部(USTR)のカトラー代表補は15日に都内で記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への日本の参加を巡る日米間の事前協議で、米国産自動車の対日輸出の拡大が一つの焦点になるとの見方を示した。「日本の自動車市場について懸念を示すだけでなく、いかに米国車に市場開放できるか提案したい」と語った。
カトラー代表補は日本担当の局長級高官で13~15日まで日本に滞在。経済産業省や外務省の幹部と日本のTPP交渉参加などで意見を交わした。
日本がTPP交渉に加わるには、米国や豪州など交渉中の9カ国すべてが認める必要がある。とくに米国は2~3カ月の事前協議を経たうえで、交渉開始の90日前に議会に伝える仕組みになっている。代表補は「できるだけ早く手続きを進める」としながらも「どのくらい時間がかかるかは率直に言ってわからない」と述べた。
USTRのカーク代表は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)での記者会見で、日本との事前協議で自動車、簡易保険、牛肉が対象になるとの見方を示した。代表補は米国車の対日輸出拡大について「(事前協議で)カギとなる重要性がある」と指摘した。
ただ、日本は乗用車に関税をかけておらず、1995年にまとまった日米自動車協議の後は輸入車の市場占有率も上昇した。「欧州車は売れている」との指摘もあり、経産省では「何が障壁なのかわからない」と戸惑う声もある。
保険については、郵便局での簡易保険の販売比率が高い点を事前協議で取り上げる可能性がある。代表補は「公平な競争環境を整備してほしい。カナダ政府や欧州連合、日本国内の保険会社も同じ見方だ」と語った。
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