東京電力福島第1原発事故で、政府は16日、3月の東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所の原子炉について、放射性物質の放出が大幅に抑えられた「冷温停止状態」に至ったと宣言した。
野田首相は、同日開催された原子力災害対策本部の会議で、同原子炉が「冷温停止状態に達し、発電所事故そのものは収束に向かったと判断される」と述べ、「事故収束に向けた工程表『ステップ2』が完了した」とした。
首相は同日夕、記者会見を開き、原発の外の被災地域ではいまだに多くの課題が残されているとしながらも、原発自体に関しては、「安定して冷却水が循環し、原子炉の底の部分と格納容器内の温度が100度以下に保たれ、万一トラブルが生じても、敷地外の放射線量が十分低く保たれる」状態が技術的に確認された、と語った。
同時に、首相は「原発事故との戦いがすべて終わるわけではない」とし、事態の安定を目指した段階から廃炉に向けた段階に進む、と述べた。
政府は、冷温停止状態の達成を受けて、原発周辺の警戒区域や計画的避難区域などの区分を見直す方針。野田首相は、帰宅困難区域について、「国として責任を持って中長期的な対応策を検討しなければいけない」と述べた。また、首相は、除染費として今年度予算と2012年度予算案などで1 兆円超を充てる方針を明らかにし、土地の買い上げを含めて対応するとした。