東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故を受けて、教科書を発行する各社は、小中学校と高校で来年度から使う教科書のうち100冊余りについて、文部科学省に訂正の申請を出して原発関連の記述を見直しています。
ことし3月に起きた東日本大震災と原発の事故について、すでに文部科学省の検定作業が終わっていたため、教科書を発行する各社は当初、来年度から使われる小中学校と高校の教科書に盛り込んでいませんでした。しかし、福島第一原子力発電所の事故が深刻で、教科書の記述を見直す必要が出たため、教科書会社各社は文部科学省に訂正の申請を出し、これまでに106冊の教科書の記述を変えています。このうち清水書院は、中学校の社会の公民の教科書で原子力発電について、これまで「一度事故が起これば大きな被害が生じる危険性もあり」という記述を、「一度事故が起これば取り返しのつかない大きな被害が生じる」と変え、表現を強めました。また開隆堂出版は、中学校の技術・家庭の教科書で「原子炉は、コンクリートなどで出来た何重もの厚い壁で守られ」という表現を使わないことにしました。各社の訂正は、理科や社会はもちろん、保健体育や技術・家庭まで広い範囲に及んでおり、原発の深刻な事故が教科書にも大きな影響を与えています。