東京電力福島第1原発の原子炉が「冷温停止状態」になったと日本政府が宣言したことについて、国際原子力機関(IAEA)や米国などは評価する声明を発表した。その一方、海外メディアは「原発の安全が確保されたわけではない」などと宣言を疑問視し、日本の原発事故対応に厳しい目を向けた。
IAEAは16日、宣言を受け、事故収束に向けた工程表のステップ2を日本政府と東電が「計画通り年内に終えた」と評価した。
来日中のナイズ米国務副長官(総務担当)も「復興へのステップの一つ。非常に喜ばしい」と歓迎し、次の課題となる周辺地域の除染に米国企業が参加を望んでいると述べた。
これに対して、英BBC、米CNNが野田佳彦首相の会見を生中継するなど関心の高さを示した海外メディアでは、懐疑的な見方が主流となった。
AFP通信は冷温停止状態について「安全が確保されたという意味ではない」と解説し、ルモンド紙(電子版)は「原子炉の解体、環境の回復には相当の時間を要する」と長期的な取り組みの必要性を強調した。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)も宣言について「年末までに冷却システムを回復させるとの日本政府の約束を反映させたにすぎず、原子炉が依然として抱える危険から注意をそらせる恐れがある」と指摘した。
福島第1原発事故を受けて「脱原発」を決めたドイツでは、DPA通信が「フクシマの原発の廃虚が制御された」と速報したが、「まだ安全な状態には程遠い。これで冷温停止を宣言するのは意図的なウソと紙一重。日本政府は国民の判断を誤らせている」と批判するオーストリアの専門家の見方も紹介した。
韓国の聯合ニュースは「事故の収拾作業が峠を越えたことを内外に示す意図がある」と分析した。
毎日新聞 2011年12月16日 23時36分
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