安定志向はノー。チェンジ、チャレンジ|東京電力社長

「いる社員、いらない社員」有名社長のわが本音

2009年 7月 7日 (火)

小山唯史=構成 的野弘路=撮影
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――社長自身、出向も経験され、人材としては異色だと評されてきました。

40代でケーブルTV会社に出向し、大変なカルチャーショックを受けました。外に出てみて初めて東京電力がいかに「お役所」かということに気づいたのです。前例主義、たらい回し。コスト感覚も、メーカーから出向してきたほかの同僚とは全く違う。これまでのやり方は通用せず、ちょっと慌てましたね。

そのときにも、前述の禅の言葉を思い返して、「いや、仕事の表面上のやり方や職場の体質は違っても、仕事の基本は変わらないはずだ。今自分がすべきことは何か」と自分に言い聞かせました。ジタバタしそうなときほど足元をしっかり固めることが大切だと痛感しました。

 

変革期に必要な「3Cの精神」とは

――かつては役所的な体質だったとのことですが、現在の東京電力が求める人材像はどんなものですか?

00年に電力の自由化が行われたため、これが最大のインパクトとなって、求める人材像が変わってきました。

自由化とは、当社にとって、規制産業だったものが市場のメカニズムによって競争するようになるということです。そのため仕事を徹底的に見直す必要がありました。自由化に向かう時期、私は資材部長として発電所施設の部品・部材の一品一品の価格や調達方法まで徹底的に調べる方向に舵を切り、コスト削減を図りました。それまでは必要なコストを積み上げてから利潤を上乗せして料金設定していたので、コスト削減といっても従来とは内容が全然違います。

現在では、こういった自由化・市場化の時代に向けた人材が求められるようになっています。

ただ、企業像を考えた場合、うちは公益事業であることが最上位にきます。電力の安定供給。嵐になれば現場にみんな駆けつける。パブリックユーティリティであるという点が会社のDNAです。その組織の原動力となる人材には高い倫理観や社会的使命感が求められます。

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