2011年1月20日11時13分
【北京=吉岡桂子】中国国家統計局は20日、2010年の国内総生産(GDP)が、物価上昇分を除いた実質で前年と比べて10.3%増えた、と発表した。前年の9.2%を上回り、3年ぶりに2けた成長を回復した。10年の名目GDPは39兆7983億元(約5兆8812億ドル)で、日本を抜き、米国に次いで世界2位になることが確実になった。日本は1968年に西ドイツ(当時)を追い抜いて手にした「世界2位の経済大国」の看板を下ろすことになる。
日本の10年10〜12月のGDPは2月14日まで出ないが、10年1〜9月段階で、日本と中国は3兆9千億ドル台で横一線に並んでいた。20日発表された中国の10〜12月が前年同期比9.8%増と高かったことで、日中逆転となる。国際通貨基金(IMF)の予測を基にした内閣府の試算では、日本の10年は5兆4023億ドルとなる。
世界銀行によると、中国の11年の実質成長率は8.7%に減速するものの、世界平均(3.3%)を大きく上回る成長が予測されている。
IMFは、15年には中国の名目GDPが日本の1.5倍、米国の半分を超えると予測している。英国の銀行などは、20年には米国も抜いて世界首位となる、と予測している。
ただ、人口で割った1人当たりのGDPをみると、中国は日本の約10分の1で、順位は世界100位以下になる。貧富の格差や資源の浪費、公害など成長のひずみも目立つ。
中国政府は、いずれも成長の継続を妨げるばかりか、社会不安につながりかねないとして、11年からの5カ年計画では、経済成長と同じペースで家計の増収をはかるとの目標を盛り込むほか、省エネや環境保護への対応も急ぐ方針だ。