芳賀町祖母井の民家で6月、ビニール袋などに包まれた女性の遺体が見つかった事件で、死体遺棄罪に問われた女性の次男で住所不定、無職、寺門誠被告(45)の初公判が2日、宇都宮地裁(崇島誠二裁判官)で開かれた。検察側は懲役1年6月を求刑し、即日結審した。寺門被告は中学卒業後に引きこもりとなり、ただ一人頼りにしていた母の死を認めたくなかったと遺棄の理由を説明した。16日に判決がある。
起訴状などによると、寺門被告は1月12日午前8時ごろ、芳賀町祖母井の自宅で母マサさん(当時84歳)が死亡しているのを発見。同日夜、遺体をビニール袋や毛布に包み、押し入れに隠して遺棄したとしている。
検察側は冒頭陳述で、寺門被告が中学卒業後に引きこもりとなったと説明。マサさんの死後「死体の扱いに困り、隠すことを決意した」とした。その後、東日本大震災の安否確認のため訪れた芳賀町職員の面会を「(マサさんは)寝ている」とうそをつき拒否していたことなどを明らかにした。
被告人質問で、寺門被告は「ずっと2人で暮らしてきた母の死を認めたくなかった」と、葬儀をせずに遺体を押し入れに隠した経緯を述べた。遺体のそばに供え物をしていたという寺門被告だが、崇島裁判官が遺体が激しく腐敗していたことに触れ「母を大事にするとはどういうことか」と質問すると口ごもる場面もあった。
論告で検察側は「死者に対する畏敬(いけい)の念を感じさせない悪質な犯行」と指摘。弁護側は最終弁論で「事件を深く反省している」とし、刑の執行猶予を求めた。【岩壁峻】
毎日新聞 2011年12月3日 地方版
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