重度の知的障害があって耳が聞こえず、過去19回服役した被告の男(64)が窃盗罪などに問われた裁判の控訴審判決が14日、福岡高裁であった。陶山博生裁判長は懲役10月の一審・福岡地裁判決を破棄。「更生環境が整い、改善の効果が表れ始めている」として被告に懲役10月、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役2年)を言い渡した。
前科のある被告に執行猶予が付くのは異例で、福祉による社会での更生を重視した判決といえる。国なども、居場所がなく犯罪を繰り返す障害者や高齢者の処遇に取り組み始めており、今後は司法判断の幅が広がる可能性がある。
陶山裁判長は判決理由で「空腹に耐えかねて犯行に至った動機は安易」と指摘。責任能力を認めた上で「障害に即した生活や更生のための環境がなかったことが、同種の犯行を繰り返す大きな要因だ」と述べた。
裁判長は、一審判決後に保釈された被告が更生保護施設に入所して生活指導や職業訓練を受け、コミュニケーション能力や善悪の理解に改善が見られることを重視。「今後の改善、更生や再犯予防につながる大きな変化であり、最大限尊重すべきだ」として刑の執行を猶予した。
判決後に記者会見した弁護人は「妥当な判決だ」と評価。「罪を犯した障害者を刑務所ではなく、社会で受け入れるということに社会全体が理解を深める必要がある」と述べた。同席した被告は手話通訳者を通じ「(刑務所に入らずに施設で)仕事ができるのでうれしいです」と話した。
被告は昨年9月、福岡市内の民家から現金3万円などを盗んだとして住居侵入と窃盗の罪で起訴された。今年6月の一審判決は懲役10月(求刑懲役2年)の実刑。保釈後は長崎県雲仙市の更生保護施設で生活している。
被告
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