首都圏を襲う地震の震源域の一つとされる房総半島南方沖では、たまっていく地殻のひずみが、マグニチュード(M)8級の大地震が起きても2〜3割しか解消されない恐れがあることが、国土地理院の西村卓也主任研究官の分析でわかった。ひずみが多く残される結果、1500〜2千年間隔とされる従来の想定よりも早い時期か、より規模の大きい地震が起きる可能性があるという。
この地域には相模トラフと呼ばれる海底地形があり、陸側の岩板が海側の岩板にくっついて地下に引き込まれ、ひずみが蓄積していることが、全地球測位システム(GPS)で観測されている。ほかに1923年の関東大震災(M7.9)が起きた震源域と、ゆっくりひずみが解放される房総沖の領域がある。
房総半島南方沖は1703年、関東大震災の震源域と連動してM8級の元禄関東地震を起こし、津波を伴って1万人以上の死者が出たとされる。この巨大地震が1500〜2千年間隔で繰り返すといわれ、地震によってひずみは解消され、次に起こるまでは時間があるとみられている。