外務官僚の天下り
発行日:10/22
崩壊日誌by田中良太 2002年10月22日(火)
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ご意見・ご感想をお寄せ下さい。
筆者・発行者=田中 良太
メールアドレス=TQ8R-TNK@asahi-net.or.jp
URL=http://www.asahi-net.or.jp/~tq8r-tnk/
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◆外務官僚の「天下り」
21日国連本部で行われた国際司法裁判所(ICJ)判事の選挙で、元次官、小和
田恒(70)が当選した。外務省の幹部たちは「ようやく達成できた」と肩の荷を下
ろした思いであるはずだ。
小和田は皇太子妃、雅子の父である。順調にいけば天皇の祖父となる(生きている
うちに孫が即位するかどうかは疑問だが)わけだから、退官後もおろそかには扱えな
い。小和田の処遇は、外務省の最重要マターだった。
外務次官在任中(91ー93年)にすでに、小和田を国際司法裁判所判事に押し込
もうという方針があった。前回選挙は93年だったのだが、小田滋判事(77)=元
東北大教授=を退陣させて、小和田に差し替えるというのである。
小田はそのときすでに2期目の任期満了を目前にしていた。「2期やったから、も
ういいだろう」というのが外務省の判断だったのだが、案に相違して小田は「3期目
もやる」と言い張った。このため外務省は、小田についての「悪い噂」を流し、小田
はますます反発した。国際舞台で内輪もめの恥をさらしたのである。この騒ぎは週刊
誌沙汰にもなった。
どの省庁でも同じことだが、人事担当の官房長は、次官の行く先を考えなければな
らない。他省庁では天下りだが、外務省だけは駐米大使など現役のポストが用意され
ている。小和田次官が国際司法裁判所判事を目指すという方針も、当時の官房長が小
和田本人に報告、了承を得ているはずである。
現職の小田を「辞めさせる」という強引な手法は、外務官僚の抜きがたい官尊民卑
意識による。小田が判事選挙で当選できたのは、外務省が集票活動に力を入れたから
だ。だから外務省出身の適任者がいれば、小田は退陣すべきだ、という論理なのだ。
今回、小和田の得票は安保理で満票の15票、国連総会では投票総数183票中1
69票で、ともに最多得票だったという。この場合の得票は、自動的に「入ってくる
」ことはない。「集める」からこそ入ってくるのである。
日本はこの類の選挙に、もっとも熱心な国として知られている。日本の国連大使あ
たりが、ある国の外交官に小和田への投票を依頼する。その相手が目端の利いた外交
官なら、「他の候補者への義理がある」といった理由で難色を示す。そこで日本の外
務省はODA(政府開発援助)という「切り札」を切る。少なくとも総会の最多得票
は、ODAという買収資金をふんだんに使った結果なのだ。
小和田だけではない。UNESCO(国連教育科学文化機関)事務局長の松浦晃一
郎も同じような手口で当選できた。仲間の天下り先確保のため国民の税金を使うこと
など、「当然」と考えているのが外務官僚なのである。
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