岐路 大間はいま
【インタビュー】中.金沢満春・大間町長 (2011/12/07 函館版)
「工事の早期再開を求めていきたい」と話す金沢満春大間町長 |
略歴 かなざわ・みつはる 大間町出身。大東文化大卒業後、民間会社を経て大間町役場に入庁。企画調整課長、助役などを経て2004年の町長選で初当選。現在2期目。1963〜74年に町長を務めた故金沢幹三氏の長男。 |
電源開発(東京)による建設が中断し、今後の行方が不透明な大間原発。立地する青森県大間町の金沢満春町長(61)に受け止めや原発政策の考え方を聞いた。(聞き手・内本智子)
原発誘致 豊かになる基盤
−−東日本大震災後、大間原発の建設工事が中断したことで大間町の影響は。
「雇用の場がなくなったり、町内から工事関係者が離れたことで消費が減ったりと、町の経済にかなりの影響を及ぼし、非常に厳しい状況だ」
−−町民から原発に対する不安の声も聞こえる。
「建設を考え直すように、といった声は今まで私のところに入ってきていない。逆に、早く再開できるようにという声が圧倒的に多い。この地域は三十数年間、日本の原子力政策を支持しながらやってきて、それに誇りを持つ町民も多い」
−−函館や周辺の首長、議会は建設凍結や中止を求めている。このまま建設再開なら函館市長は「法的措置も辞さない」という考えだが、受け止めは。
「各自治体の長が、地域の住民の声を聞いて判断していることに、私からどうこう言うものではない。建設凍結を求めているからといって、函館市が大間町を批判しているわけではなく、私がやめてほしいと求めるものでもない。法的措置については、どのような手段があるのか。趣旨もよく分からない」
−−国は防災対策の重点実施地域を広げ、半径30キロ圏を緊急防護措置区域(UPZ)とする方針で、大間の場合は函館も入るが。
「原子力発電所の稼働の判断に関する安全協定と、万が一の事故の際の避難などに関わる安全協定は別物だ。稼働に関する協定は、今は立地自治体と県、事業者で結ぶことが考えられているが、今後どうなるか分からないのでコメントはできない。防災に関する協定は、必要が生じれば(函館市と)お互い協議し、進めていかなければならないと思う」
−−11月に青森県の原子力安全対策検証委員会が「県内の原子力施設の緊急安全対策は妥当」とする報告をまとめた。
「今までも議会で答弁してきたが、私は(原発)推進派だ。早く工事再開できるよう、国や県に求めていきたい」
−−福島の事故の深刻さを見ても、なお、まちづくりの起爆剤は原発でなければならないのか。
「企業を誘致し、まちづくりを進める自治体はたくさんあり、それと同じ。発電所に関わる財源を使って終わりではなく、それで、いつまでも町が豊かになる基盤をつくることが大事だ。また、日本は原子力に頼らないで本当に電力の安定供給ができるのか。町だけでなく、日本の経済は電力がないと立ち行かない。原子力発電所が担う役割をきちんと果たすための地域でありたい」