静岡県磐田市の小学校の新任教諭の自殺をめぐり、遺族が公務外と認定した地方公務員災害補償基金の処分の取り消しを求めた訴訟で、静岡地裁は15日、「公務と自殺の因果関係がある」と述べ、処分を取り消す判決を言い渡した。山崎勉裁判長は「着任以降、公務で強いストレスにさらされ、適切な支援も受けられなかった」と認定した。
訴えていたのは、2004年に亡くなった木村百合子さん(当時24)の遺族。判決によると、木村さんは同年4月、新任教諭として市立小学校の4年生を担任。授業中に大声を出すなど指導が難しい児童の対応に追われた。先輩教師や教頭からなじられて5月ごろからうつ状態になり、9月に焼身自殺した。
山崎裁判長は当時、複数の児童の問題行動が頻繁に発生し、学級運営が円滑に進まない状況が常態化して、授業が機能しなかったと指摘。06年8月に「本人の性格などが原因となって自殺した」として公務外と認定した基金の判断は誤りだったとした。
遺族は04年12月に同基金県支部に公務災害の認定を請求していた。木村さんの父親の憲二さん(62)は「やっと一区切りついたなと感じた。(娘は)ずっと全力で突っ走っていたので、お疲れさんと言ってあげたい」と話した。