郵便不正事件:国賠3770万円認める 村木元局長請求

2011年10月17日 11時49分 更新:10月17日 12時47分

 郵便不正事件で無罪が確定した村木厚子・元厚生労働省局長(55)=現内閣府政策統括官=が「不当な逮捕や起訴、公判立証で精神的苦痛を受けた」として国や大阪地検特捜部の元担当検事ら3人に計約4100万円の賠償を求めた訴訟の第4回口頭弁論が17日、東京地裁(堀内明裁判長)であった。国側は違法捜査の責任を全面的に認める「認諾」で請求を受け入れ、うち約3770万円を賠償することを明らかにした。無罪事件に伴う国賠訴訟で国が認諾するのは極めて異例。【野口由紀】

 国はこれまで「村木さん側の具体的主張が不明」として認否を留保していたが、証拠の改ざんという事態の特殊性を考慮した。一方で「捜査情報を報道機関に『リーク』し、名誉を毀損(きそん)された」との主張部分(請求額は約330万円)に対しては訴訟を続ける。

 元局長は国のほかに▽証拠改ざん事件で実刑判決が確定した前田恒彦元主任検事(44)▽取り調べを一時担当した国井弘樹検事(36)▽大坪弘道元特捜部長(58)=犯人隠避罪で起訴、公判中=の3人も提訴。3人は、職務中の不法行為について公務員個人に賠償責任は及ばないという最高裁判例を基に争っている。

 ◇「真相を期待していたのに」

 この日の弁論の終了後、元局長の代理人の弘中惇一郎弁護士は「無罪事件での国賠訴訟で国が認諾するのは前代未聞ではないか」と驚きの表情をみせた。弘中弁護士によると、村木元局長は「裁判を通じ、真相が明らかになると期待していたのに、このようなことになり、驚いていますし、残念です」と話しているという。

 国側は「前田元検事による証拠改ざん行為など事案の特殊性に鑑みた」と認諾の理由を説明したが、弘中弁護士は「積極的に議論をしたくなかったのだろう。税金(賠償金)を支払うことで真相解明の機会を放棄した」と疑問視した。次回の口頭弁論(11月28日)までに検事3人の責任など残りの請求への対応を決める。

 訴訟を担当する法務省は今回の手続きを検事3人とは調整せず決めたとみられる。3人のうち元検事の改ざんを隠したとされる大坪元特捜部長は無罪を強く訴え、懲戒免職の取り消し訴訟を起こすなど複雑な関係にある。ある幹部は認諾に対し、「解決できる部分は迅速に終わらせようということ」と話した。

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