こうした状況で李大統領が訪日することは、むしろ逆効果なのではないかと懸念する声も上がっている。大統領府(青瓦台)は、李大統領が17、18の両日に日本の京都を訪問し、野田佳彦首相と首脳会談を行うことを14日に確定し、発表した。大統領の外国訪問日程が4日前に確定するというのは極めて異例のことだ。通常は、警護やセレモニー、議題などの調整に準備期間が必要なことから、首脳会談の日程は少なくとも数週間前には決定する。
だが、李大統領は今回の訪日をめぐり、最近まで頭を悩ませていたという。大統領府や韓国政府内部ではこれまで「日本政府が元慰安婦の賠償請求権をめぐる交渉に否定的な立場を貫いている状況で、あえて訪日する必要があるのか」との意見が出ていた。
韓日自由貿易協定(FTA)の推進に対する両国の温度差も、訪日スケジュールの決定が遅れる一因となった。日本は韓日FTAに積極的な姿勢を示す一方、韓国は経済的な実益がさほど大きくないとの判断から、時間をかけて推進したいとの立場だ。また、国会の催涙弾騒動などで来年の予算案の処理が遅れていることも影響したとみられる。大統領府の関係者は「(国内の政治が混乱している状況で)大統領の訪日がどう映るのか、悩んでいたのも事実」と打ち明けた。
こうした状況で李大統領が訪日を決めたのは、今回の首脳会談では大きな成果が見込まれないにしても、韓日間の協力関係を強化するという次元でシャトル外交を定着させる必要があると判断したため、と大統領府の関係者は話している。