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【女子】
母の病状悪化の知らせを受け帰国した浅田真央不在となった大会は、可憐(かれん)な大輪を一つもがれた感じがした。国際スケート連盟のチンクアンタ会長が会見し、補欠を登用せず5人で開催された。
カロリーナ・コストナー(イタリア)は得意の3回転トーループ+3回転トーループをスピードと流れの中で大きくアーチを描くように跳んだ。続く2つのジャンプ要素も無難に収めた。3つのスピン要素は全て最高のレベルとはいかなかったがステップはレベル4で、曲想を受け取りながらのステップワークは大人のそれと感じさせた。しかし、いつもの演技の中での緩急がなく、要素、要素を追いかけ、確実にこなすという感じは否めなかった。SPは1位と好発進。5選手の中でミスがなかったのはコストナー、ただ一人だった。世界でも一番スピードのあり、スケーティングの質にも定評がある。今季の調整の良さと、けがとの付き合い方、さらにはコーチとのユニゾンはいい感じに進んでいる。フリーでは、彼女の持っているスピードを上手く利用し、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第27番」を十分に表現できる演技と要素構成で臨んだ。金メダルを目の前にやや緊張が見られたものの、しぶとく出来ない純粋さを持つコストナーには、いつも好感が持てる。序盤の3回転トーループ+3回転トーループのジャンプコンビネーションは高さ、飛距離、幅、そして曲想を上手く取られた効果的な演出には、長年組んできている振付師、ローリ・ニコル氏の影響が大だ。姿勢もポジションも行き届き、余裕のある格好だ。きれいなキャメル・ポジションを随所に入れ、プログラムに華を咲かせた。スピンもポジションがしっかりしていて、曲想に調和し気持ちが良い。技術評価点でも加点を貰えるのも彼女ならではというところもある。ジャンプでは3回転フリップで手を着く場面があったり、アクセルがシングルになったりはしたが転倒せず、彼女の良さを出しながら苦手なルッツは回避し、得意のジャンプで勝負してきた。トラディションも独特のものが入り、また素敵なコストナーを見ることが出来た。5コンポーネントの価値を生かし1位。初めてのGPファイナルの優勝者に輝いた。
真央不在で寂しい日本勢は、鈴木明子一人の肩に重荷がかかった。いつもはマイペースの鈴木だが、公式練習ではコンビネーションジャンプを集中的に練習するなど余念がなかった。本番は少し慎重になったのかもしれない。3回転フリップの後がオバーターン、そして3回転ではなく2回転トーループとなり、本来予定していた3回転―3回転はならず。減点はマイナス1~3と、点数を稼げる所で取りこぼしをしてしまった。しかし、スピン要素はすべてレベル4と鈴木らしい演技。通常レベル4を貰えるステップは3になり、明子流は少し控えめになったように思えた。しかし、一段と上手くなったスケートを見せ、スピード感が、一つ一つの要素に生き生きとして映っていて、自信のある演技につながったのだろう。フリーに期待がかかる位置で、SPは2位スタート。試合前の公式練習でも精度を上げてきていた鈴木だが、フリーでは意気込みすぎたのかもしれない。緊張もあっただろう。プログラム冒頭の3回転ルッツはステップアウト気味で前かがみのランディングとなり少し減点。後半に移ってからの3回転ループと3回転ルッツのステップアウトで次のジャンプがつけられず、ジャンプシークエンス扱いになってしまった。鈴木の今季のスケートの上手さは、演技にも十分生きていたし、それがジャンプの確実性にもつながってきた。今回、多少のジャンプミスはあったものの、プログラムの流れ、レベルの高いスピン、ステップ、技術点では高いマークを確保できたことはスケートの質の向上が生きてきたのだろう。曲想を生かせることも学んでの今季、トップスケターの位置を確実なものにして3位。総合2位で、日本チームのリーダー格を全うした。
急上昇中のアレーナ・レオノワ(ロシア)は、見せ場の3つ続けてのジャンプ要素が映えなかった。ランディングが不自然で流れが足りなかった。ニコライ・モロゾフ・コーチがリンクサイドに立っていないからだろうか? スピン、ステップと何とかレベルは合格点だが、評価点では今一つのような気がする。曲想と体がスムーズになってない感じと一体感に欠けていると思った。スピンの回転にも速度がなく、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の海賊の荒々しい元気さも影を潜めていたが、3位。フリーは映画「レクイエム・フォー・ドリーム」の曲想に沿って演じた。冒頭の3回転トーループ+3回転トーループはスピード感の中で力強くはじけた。技術評価点は+2だが、ずらりと並ぶ加点。しかし2つ目の3回転ループが2回転に、3回転ルッツでは転倒。中盤からのジャンプでも加点がなかなか付かない状態の中、ストレートステップシークエンスではニコライ・コーチの味付けが効いてのステップ、ターン、フリースケーティング・ムーブメント。動きは定番だが、人が変わるとテーストも違ってくる。漕いでいるようなスケーティングと体使いはまだまだで、力で滑るスピードでは限界がある。もう少しコントロール出来るスケートの質の向上は求められるがスピン、ステップの要素の技術点を積み重ねていけるように計算、さらに工夫されていることは、ニコライ・コーチの経験値だろう。しかし、今一つの演技力がまだまだ必要だ。フリー4位。追い上げてくるフリー2位のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)を振り切り、総合3位でメダルを手にすることが出来た。
トップランキングで迎えたソチの星の一人、14歳のトゥクタミシェワは、フリーでは力のあるところを見せてくれた。一見の価値ある未来のスターだ。序盤、難易度の高い3回転ルッツ+3回転トーループを軸が通っていて、流れ、高さ、回転の速さがあり、きれいなジャンプだ。曲にピシッと合わせてくるあたりは、「女子版プルシェンコ」だ。3回転ルッツのステップアウト、ダブルアクセル+3回転トーループの第2ジャンプでのオバーターン以外は、ほぼパーフェクトの演技。小さい顔立ち、手足の長い体とフィギュア・スケーター向きだ。ロシアの子供たちは、小さい時に基本としてバレエとピアノをやるそうだが、それがきっちりと体の芯に入っていて、頭から足の先まで神経が行き届き、音を外すこともない。5種類の3回転を持ち、現在トリプルアクセルも練習中。跳べる形にしてきていることも、日本にとって脅威となる一人であることは間違いないだろう。このまま細い体を保てるならば、チーム・ロシアとしても期待がかかる選手であろう。
(2011年12月14日16時19分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
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