東日本大震災の災害廃棄物(震災がれき)処理問題で、環境省の山本昌宏廃棄物対策課長が秋田市で6日、同市が使っている溶融炉で焼却した場合、「がれきに含まれる放射性物質は40~50倍に濃縮されるとみられる」と説明していたことが分かった。岩手県の震災がれきの場合、同市の溶融炉で焼却しても国の焼却灰埋め立て基準を下回り、同課長は「処理しても問題ない」との認識を示した。
同市議会が開いた研修会での質問に答えた。岩手県の震災がれきには放射性セシウムが1キロ当たり104ベクレル含まれることが確認されているが、50倍濃縮しても同5200ベクレルで、国の焼却灰の埋め立て基準である同8000ベクレルを下回る。
秋田市は震災がれき受け入れの検討を進める中で、同市が使っている溶融炉は一般的な焼却炉よりも放射性セシウムの濃縮率が高まるとみられるため、溶融炉での処理に関する詳細なデータを国などに求めていた。市環境部は「初めてのデータが示されたが、40~50倍になるという確証は得られていない。参考にしながら検証したい」としている。
山本課長は研修会で、これまでのガイドラインには詳しく書かれていなかった溶融炉での処理について、データを示しながら講演。他都市の実績から、溶融炉から出てくるスラグに放射性物質がどの程度含まれるかなどのデータを示した。同市はスラグなどを再利用する業者へ販売している。【小林洋子】
毎日新聞 2011年12月8日 地方版
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