ラジウム てこずる現場 世田谷のスーパー

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ラジウム入りの瓶などが見つかり除去作業が続くスーパーの敷地内=13日午後、東京都世田谷区八幡山1丁目、内田光撮影

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ラジウム入りの瓶が敷地内から見つかったスーパーの前の歩道は、今も通行止めのままになっている=13日午後3時30分、東京都世田谷区八幡山1丁目、内田光撮影

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ラジウム処理の流れ

 敷地から放射性物質のラジウムが見つかった東京都世田谷区のスーパーで、汚染された土の除去作業が長引いている。1カ月半がたった今も店舗は再開のメドさえ立っていない。ラジウムの持ち主は判明しておらず、億単位とみられる処分費用を誰が負担するのかも決まっていない。

■長引く土除去 持ち主は不明

 「安全の確認が出来るまで、休業とさせて頂きます」

 現場となったスーパー「パワーラークス世田谷店」の出入り口は固く閉ざされ、休業を知らせる紙が掲示されている。建物の出入り口付近は大きなビニールシートで覆われたままだ。ヘルメット姿の作業員が作業を続けている。

 11月に敷地内で見つかったラジウム入りの瓶や破片は取り除かれた。だが、瓶が割れていたことから、漏れ出たラジウムで汚染された土の除去が必要となり、店は営業を再開できないでいる。

 作業は当初、2週間程度とみられていたが、土の汚染が広範囲だったことや新たな破片がないかなどを確かめながらの作業となったことから、予想以上に長引いている。10カ所以上の汚染地点は手つかずのままで、年内の営業再開は難しい状況だ。

 スーパーを運営する「トーホー・パワーラークス」には、利用客から再開を問い合わせる電話が相次いでいるが、担当者は「メドが立たないので、お客様にも説明できない」。

 販売できなくなった商品や休業中の売り上げ補償の問題も全く進んでいない。「ラジウムが出た原因がわからないと、話をする相手が地権者になるのかどうかもわからない」

 スーパーが出来たのは1999年。地権者の全国農業協同組合中央会(JA全中)によると、以前は研修施設や駐車場として使われていたが、当時、この施設でのラジウムの使用は確認されていない。外部から持ち込まれた盛り土の中に混ざっていた可能性もあり、持ち主は特定できないままだ。

■処理の数億円、決まらぬ負担

 ラジウムが入っていた瓶や汚染された土はどのように処理されるのか。

 現在は医療や産業用の放射線源を扱う社団法人日本アイソトープ協会の施設で、鉛の容器やドラム缶に密封された状態で保管されている。最終処分場が国内に無いため、将来的に処分場ができた段階で地中に埋められる。

 処理費用を誰が負担するのかも確定していない。

 土の除去が長引くことで作業をする業者への支払い費用が膨らむ上に、大量の土の保管や処分で協会に支払う費用も発生する。最終的な費用は数億円規模になるとみられている。

 これまでも放射性物質が民家や企業などで見つかった例はあり、「原則として費用は土地や施設の所有者が支払った」(協会)。同時期に世田谷区の個人宅で相次いで見つかったケースでも、入手経路がはっきりしている1軒にはすでに費用を請求。もう1軒にも請求するという。

 放射性物質の廃棄について、国の原子力政策大綱は「所有者が処分する責任を持つ」としている。だが、文部科学省放射線規制室によると、所有者がわからない場合の費用負担について定めた法律や規定はない。過去に地権者が支払ったケースでは、見つかった放射性物質がその場所で使われた形跡などがあったという。

 今回、協会は「危険を取り除くのは地権者の責任。ラジウムの所有者がわかったとしても、その人に請求するかどうかはJA全中の判断になる」としてJA全中に費用を請求する方針だ。放射線規制室も「悩ましいが、現状では負担するのは地権者しかいない」としている。

 これに対してJA全中は、全ての費用を負担することに疑問を持つ。「自分たちがラジウムを出したのなら全責任を負うが、今回は使った形跡が確認できない」。地権者の責任がどこまで及ぶのかなどについて、今後、国などと協議したいとしている。(樫本淳)

     ◇

 〈世田谷区のラジウム問題〉 10月12日、弦巻5丁目の区道で毎時2.7マイクロシーベルトの放射線量を測定したと区が公表。隣接する民家の床下から、ラジウムが入った数十本の瓶が見つかった。夜光塗料用とみられている。28日には八幡山1丁目のスーパー「パワーラークス世田谷店」の敷地周辺で毎時170マイクロシーベルトを測定。ラジウム入りの瓶が撤去されたが、その後も破片や瓶が見つかった。11月2日にも上馬の個人宅で、紙箱に入ったラジウムが見つかっている。

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