環太平洋経済連携協定(TPP)の参加交渉に臨む野田政権が13日、交渉チームの枠組みを決めた。省庁横断で50人を集め、交渉だけでなく、情報発信にも力を入れる。ただ、交渉の矢面に立つ政府代表は空席で、本格的に始動するのは年明けからになりそうだ。
「国民への説明が不足しているとの指摘を踏まえ、政府を挙げて一層の情報提供に取り組む必要がある」
13日のTPPの第1回関係閣僚会合で、野田佳彦首相は、積極的に情報を公開する姿勢を強調した。
交渉チームは、9カ国との協議を担当する「国別協議チーム」、省庁間の連絡を担当する「国内連絡調整チーム」、TPPの情報を発信する「国内広報・情報提供チーム」の3チーム体制。3チームを束ね、政府代表や関係副大臣で構成される幹事会が「司令塔的機能」(藤村修官房長官)を担うとしている。
首相は11月11日の交渉参加表明に合わせて「交渉するスタッフは先例にこだわらずに選抜する」として、藤村氏や古川元久国家戦略相にチームの早期編成を指示。ただ、今回決まったのは枠組みだけだ。藤村氏によると、50人のメンバーは「今からお願いするところ」、政府代表も「もう少し時間をかけて慎重に検討する」という。
この日はチームを束ねる閣僚会合の議長に古川氏が就くことも決まったが、政権内には「調整役で普通の大臣より格上の官房長官がトップに就くのが望ましかった」(経済産業省幹部)という声もある。
米国、豪州など交渉9カ国は、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で大枠に合意。先週もマレーシアで会合を開き、来年7月の実質合意をめざして関税の撤廃や引き下げの本格協議に入った。
出遅れている日本だが、政権内の危機感は薄い。この日の閣僚会合で議論の中心になったのは、首相が指示した情報提供のあり方だ。「(TPP関連のシンポジウムが)反対派ばかりの集会になっては意味がない」といった意見や「そもそも交渉参加が前提ではないはずではないのか」と、交渉参加自体に疑問を呈する意見も出たという。
藤村氏は13日の会見で、米国がこの1カ月間、日本との事前協議に入る前提として国内で意見聴取をしていることを挙げ、「いま、交渉という話にはならない。各国の情報収集をする時期だ」と、出遅れはないとした。だが、TPPの旗振り役の省庁からは「交渉参加という大きな一歩を踏み出したのに、二歩目が出てこない」(経産省幹部)といった声も出ている。