ネットバッシング

December
03
2011

メール、掲示板、チャット、SNS・・・インター ネットは誰でもが情報を発信することが可能な半面、匿名性が非常に強く、噂話、悪意、営業妨害等々ダークな利用がイージーであるという側面も持ちます。そ れを面白半分または意図的に使うことで、真実を捻じ曲げ、人の心を傷つけ、企業の営業を妨害する行為や、サイバー攻撃などの戦略的な陰謀行為までが日常茶 飯に行われています。私は、過去に「星野金属工業株式会社」という父親が代表を務める会社の役員をしており、仕事を覚え、社会人として何とかやれるように なるまでを学びました。しかし、メインバンク(足利銀行)の破綻とともに取引不可能となり、資金繰りに行き詰まり倒産させてしまいました。この単純にして 明快な倒産経緯でさえ、ひとたびインターネット上に載れば、曲解され、揶揄され、本質とはかけ離れた暴論の餌食とされました。私は、弊社製品の委託生産先 である同社の再建に奔走し、自らの会社のすべてを持って危機対応を行いました。その結果、私の会社は同社に対して四億円以上の負債を抱えることになりまし た。その後、筆頭債権者であるにも関わらず、膨大な量の風説を流布され、WiNDyに関するネガティブな情報は、業界と自作PCファンを騒然とさせまし た。数限りないバッシングを受け、誹謗と中傷をされ続け、遂にはその命脈を絶つ結果となりました。小さな業界であっても「トップブランドの崩壊」という事 件を、業界やファンが放置するはずもなく、某掲示板には当事者でも知らないようなデタラメな情報が跋扈していました。

 

私は この経験を通じて、インターネットのダークな性質を味わい尽くすこととなり、改めて様々な問題点を体感することになりました。インターネットという情報イ ンフラは、今日では世界中に浸透し、個人や企業の行動に大きな比重を占めています。しかし、プライバシーの保護や基本的人権の尊重、風説の流布に対する規 制のなさ、匿名性がもたらす攻撃的情報の流布は、正直個人の人格を蹂躙し、企業の存続を危うくし、膨大な経済損失をもたらしています。インターネットには 明確な規則が存在していません。匿名性であるがゆえに、余計に人を傷つけますが、その事実を認識したとしても罪の意識をほとんど感じることが無いのです。 社会に法律があるように、道路に交通規則があるように、ありとあらゆる社会生活に道徳と規範があるように、インターネットにも教育を通じた道徳観作り、一 定レベルの規範と法が無くてはならないのは明白です。しかしながら「表現の自由という楯」に守られた現在のインターネットの在り様は、無規則・無秩序な状 態であると言わざるを得ません。そして私はこの状態に極めて深刻な不安を感じています。

 

また、インターネットは長期間ログ (記録)を保持するという性格を持ちます。一度アップロードされると、ほぼ永遠にレッテルが張られることになります。そしてその情報が、誤報であれ誹謗・ 中傷であれ、憶測であれ、どのような形であっても、長期間付きまとわれてしまいます。これが、如何に個人を、企業を、傷つけてしまうのかを再考する必要が あります。さらには、情報の真偽を確かめる手段が極めて限定されることも、大きな問題となっています。情報リテラシーの余り高くない人々は、検索エンジン で上位検索されただけで信用してしまいます。そして一度其の事実が心に入り込むと、修正することは容易ではないのです。

 

私 は自らが考案した製品を作り、ブランド化し、インターネットを利用しながらある程度の成功を手にしました。しかし、メインバンク破綻という極めて不測の事 態で父親の会社を失い、また自らの会社を失うというプロセスにおいて、すでに7年以上バッシングをされ続けてきました。意を決してネットを覗けば、極めて 無責任な事実無根の誹謗・中傷があふれ、実名を使いながら私やスタッフを攻撃していました。しかし、私はお客様を最優先に考え、星野金属工業倒産時にも、 また私の会社が倒産した時も、一人のお客様にも損害を与えることはありませんでした。すべてのお客様に製品をお届けするか、返金をするか、キャンセルを受 け、実害を「ゼロ」とすることに奔走しました。債権者の方にはご迷惑をおかけいたしましたが、それでも、信用調査会社から「極めて稀な最小限の事例」と評 価を受けたほど、真摯に取り組んできました。そのかいがあって、現在でも星野アイエヌジー株式会社として地元でブランドを継承し、営業を続けていられるの です。それがどういう意味なのか、ネットで誹謗・中傷を繰り広げる人々には理解してもらえないのでしょう。

 

いまでも、弊社 の社名を検索すれば、様々な中傷記事が結果表示されます。あろうことにWIKIPEDIAにも、極めて信用性の低い憶測記事として弊社が掲載されていま す。笑えない話ですがWIKIPEDIAの記事は、当事者の私ですら容易に訂正できず、また掲載クレームも付けられないものなのです。普段便利に使ってい るWIKIPEDIAでさえ、極めて投稿者の私見に満ちたもので、客観性に欠けたものであると言うことが分かります。きっと、FBに参加されている方の中 にも多少のそのようなご経験をお持ちの方がいるのではないかと思います。

 

私は、FACEBOOKに参加してたくさんのお友 達を得ることができました。お友達の中には、検索エンジンで再検索して弊社や私に対してネガティブなイメージを発見した方も多いと思います。しかし、大多 数のお友達が私のリクエストにご快諾いただき、WALLにいらしてくださいます。実際のところ、実名登録をうたうFBですら本当の処は分からない部分も多 いでしょうが、少なくとも実名を原則とする、という規範があればこそ、このような極めてクリーンなコミュニケーション空間が保たれているわけで、それは今 のネット社会にあって「突出した素晴らしさ」であるに違いありません。政治も、経済も、これからの社会を変えてゆく努力をしなければなりませんが、私に とってまず第一の課題とは、このインターネットに道徳や規範を導入することだ、と思っています。ネット社会は成熟期を迎えています。いつまでもくだらない 利用に終始するのではなく、また人間性の劣る人々のツールとしてではなく、悪意に満ちた利用から真に有益な利用を考えるときです。私や弊社は、いくらバッ シングされても決してへこたれません。そしてもしかしたら、日本一、打たれ強い企業になれるのかもしれませんね^^)。

Posted by hoshino | この記事のURL |