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温室ガス「50年に半減」見送りへ MEF、新興国反発

2009年7月10日3時9分

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 【ラクイラ(イタリア中部)=南島信也、ローマ=星野眞三雄】主要8カ国(G8)に新興国などを加えた主要経済国フォーラム(MEF)が9日午後(日本時間同日夜)、ラクイラで開かれ、地球温暖化対策について議論した。温室効果ガスを「世界全体で2050年までに半減」とする長期目標には新興国の反発が強く、前日にG8で合意した数値目標は盛り込まれない。

 MEFには、G8などの先進国に加え、中国やインドなど新興国の首脳らが参加。9日夜(日本時間10日未明)に共同宣言を採択する予定だ。

 最終的な宣言案では「産業革命以前からの気温上昇を2度以内に抑える」との認識を共有。だが、これまでの宣言案に入っていた「世界全体の温室効果ガスを50年までに50%削減」と「先進国全体で50年までに80%以上削減」という長期目標は盛り込まれていない。「50年半減」で合意すれば、新興国も一定量の削減が必要となるため、今後も経済発展が予想されるインドなどの新興国が強く反発していた。

 G8が8日採択した首脳宣言は、昨年の北海道洞爺湖サミットで合意した「世界全体で50年までに半減」を再確認したうえで、「先進国全体で50年までに80%以上削減する」と打ち出した。新興国が長期目標で合意することを促すため、まず先進国がより厳しい削減目標を掲げたが、反発を和らげることはできなかった。世界全体で半減するには新興国の参加が不可欠のため、G8首脳宣言の長期目標部分は「空文化」する。

 9日午前には、G8と新興国の首脳会合が開かれ、世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)などを議論し、初めて共同宣言を発表。ドーハ・ラウンドについては10年中の交渉妥結をめざし、9月に米ピッツバーグで開かれる第3回金融サミット(G20)の前に閣僚会合を開くことなどを宣言に盛り込んだ。

 ドーハ・ラウンドは昨年、米国と中国・インドの対立で決裂。首脳会合のたびに早期妥結を打ち出し、総論では一致しているものの、各論では先進国と新興国との溝は深い。今回の共同宣言を受けて9月に開かれる予定の閣僚会合で、具体的な項目で歩み寄れるかが焦点となる。

 会合では、国際通貨制度改革についても議論され、宣言に「通貨の競争的な切り下げを回避し、安定し良く機能する国際通貨システムを促進」と盛り込んだ。この新興国を含めた会合をさらに2年間継続することで合意した。

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