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温室ガス半減させても…日本の被害、年11兆円超の増加

2009年5月30日7時2分

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 地球温暖化が進んだ時の日本の被害額予測が29日、公表された。2050年に世界の温室効果ガス排出量を半減させたとしても、洪水や熱中症による死者の増加などによって、今世紀末には温暖化による被害額が年間11兆円以上増えると推計した。削減努力をしないケースでは17兆円増になる。削減にかかる費用が論議されているが、被害額も巨額になることがわかった。

 国立環境研究所など14の研究機関でつくる環境省の「温暖化影響総合予測プロジェクトチーム」(リーダー、三村信男・茨城大教授)が、包括的な数字を初めて出した。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書が示した温室効果ガス濃度と気温上昇のシナリオに沿って予測。洪水、土砂災害、高潮など6項目で20世紀末と比べた被害額を算出した。農業・食料や水資源分野は計算されなかった。

 昨年の北海道洞爺湖サミットでは、G8が世界の温室効果ガス「50年半減」で合意した。削減努力が最も厳しいケースだが、それでも気温は1.6度高くなると推計。集中豪雨で河川がはんらんする被害が、特に関東、甲信越、北陸で増え、年5兆1千億円の被害に。台風の強大化や海面上昇による高潮被害(西日本)では、被害者が32万人増え、被害額も年5.4兆円になる。

 ブナ林の生息に適した地域が36%、砂浜が29%なくなり、損失はそれぞれ年間1325億円、273億円と試算された。山などの斜面崩壊の発生率は4%上がり被害額は年6500億円増。人が熱中症によって亡くなるリスクも2.1倍になる。経済損失は、計約11兆3600億円に及ぶ。

 排出削減が少なくなるほど被害は拡大する。対策をとらないと気温は3.2度上昇するが、河川のはんらんで8.3兆円、西日本の高潮で7.4兆円など、6項目で被害額は計約17兆円に増える。(平井良和、須藤大輔)

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