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飯舘村:分散避難で世帯数増える…1700→2697世帯

ひとりで仮設住宅に住む高野芳子さん=福島市内で小林努撮影
ひとりで仮設住宅に住む高野芳子さん=福島市内で小林努撮影

 東京電力福島第1原発事故で全域が計画的避難区域に指定されている福島県飯舘村の世帯数が、震災前に比べ大幅に増加した。通勤や通学の都合で、家族が離れて避難している世帯が多いことが理由とみられる。震災前の1700世帯が、村内に残った114世帯と、村外の2583世帯で、計2697世帯(11月25日現在)まで増えており、原発事故のため、家族が分かれての生活を余儀なくされている実態を数字が物語る。【長野宏美、川崎桂吾】

 ◇離ればなれで避難生活

 「通勤通学を考えたら、家族が離れ離れになってしまった」。飯舘村の兼業農家、高野義一さん(51)の家族は、3世代4人が3カ所に分かれて避難している。高野さんは妻雅子さん(52)と2人で福島市飯野町の仮設住宅に移り、母芳子さん(77)は同じ集落の友人が多い同市松川町の仮設住宅で1人暮らし。高校2年の次男裕(ゆう)さん(17)は学校が飯舘村から福島市に移転するのに伴って寮生活を始め、週末だけ親元で暮らす。

 飯野町にしたのは、雅子さんの通勤や裕さんが仮設住宅に来るのに便利だと考えたからだが、高野さんが勤務するのは飯舘村の東隣の南相馬市。事故前に比べ通勤距離は2・5倍になった。

 高野さんは1人で暮らすことも考えたが「さすがに4人ばらばらはいやだ」と遠いのを我慢している。通勤途中、自宅前を素通りするのがつらい。「夜は村中真っ暗で寂しいよ。いずれ飯舘村は地図から消えるんじゃないか」という。

 分散生活は光熱費を別々に払うなど、出費もかさむ。村が村民6177人の避難先を調べたところ、県内が5514人▽県外が530人▽村内の老人ホームなどに居住が133人だった。若い世代が仕事場や学校に近い借り上げ住宅などを選ぶ一方、高齢者は知人の多い仮設住宅への入居を希望する傾向にあり、分かれて住む家族が増えたという。

 高野さんが住む仮設住宅は4畳半2間で、週末に3人分の布団を敷くと狭さを感じる。

 「いつになったら一緒に住めるんだろ」。芳子さんは毎年、11月生まれの自分と裕さんを囲み、家族で誕生会をするのが楽しみだったが今年はできなかった。芳子さんは言う。「ばらばらで集まるのは大変だから仕方ない。来年はできるかな」

毎日新聞 2011年12月13日 11時53分(最終更新 12月13日 12時40分)

 
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