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きょうの社説 2011年12月13日
◎金沢一斉初売り 消費を刺激する商圏一体化
今年の正月に初めて実施された金沢中心部の一斉初売りが、来年はさらに規模を拡大し
、同じく1月2日午前9時に一斉スタートすることになった。今年の初売りは百貨店や専門店が軒並み、前年超えの売り上げを記録し、開店時間の足 並みをそろえることでイベント効果が高まり、消費意欲を刺激することが確かめられた。香林坊の路面に人気ショップの集積が進んだことで、2年目の正月は隣県からの集客を含め、さらに盛り上がりが期待できるのではないか。 片町・香林坊地区と武蔵地区では、独自に運用していた駐車場割引サービスのシステム を来年2月から統合するなど、商圏の一体化をめざす動きも広がってきた。 香林坊大和、めいてつ・エムザが集客を牽引する百貨店を軸とするライバル関係の時代 から、セレクトショップなどの人気店も加わり、地区全体、さらには商圏同士がスクラムを組む時代へと変わってきているのだろう。 一斉初売りの継続、拡大も、そうした流れを後押しする望ましい動きといえる。買い物 客の利便性を高めるサービスや情報発信でもさらに工夫を凝らし、商圏一体化の相乗効果を引き出してほしい。 今年の初売りでは、バーゲンと同時開催になったことや天候に恵まれたこともあり、開 店前に百貨店やファッションビルにそれぞれ3、4千人規模の行列ができる熱気となった。金沢駅と中心部を100円で結ぶ「まちバス」も初売り開始に合わせて運行時間を繰り上げ、増便した。 小売業界だけでなく、交通機関も巻き込んで実施することは、初売りを地域全体で支え る大きな意味がある。金沢商圏が足並みをそろえれば、とりわけ隣県からの誘客に効果的であることが裏付けられた。他の公共交通機関や施設なども連携を強めてほしい。 大型店では従業員確保の難しさから、開店時間を合わせるのは難しかったが、歩調を合 わせたことは商圏活性化の大きな一歩である。一斉初売りを金沢の正月行事として盛り上げるなら、華やかさを引き出す統一感のある演出や、定番の福袋以外の買い物サービスにも知恵を絞ってほしい。
◎H2A成功率95% 衛星ビジネスに弾みを
日本の基幹ロケットであるH2Aロケットの打ち上げ成功率が、国際的な信頼を得る基
準とされる95%に達した。これにより、国産ロケットによる国際的な衛星ビジネス参入に弾みがつくことが期待される。宇宙航空研究開発機構と三菱重工業が政府の情報収集衛星(IGS)を登載して打ち上 げたH2Aは20号機目で、これまでの失敗例は03年の6号機だけである。技術的な信頼度で米ロの主要ロケットと肩を並べるまでになったが、世界のロケット・衛星の打ち上げ実績で日本は、米ロや欧州、中国に大きく水をあけられている。 外国からの商業衛星打ち上げの受注はまだ、来年に計画される韓国の衛星1機だけとい う状況で、欧米中心の市場に日本がくい込むのはそう簡単ではない。H2Aのさらなる信頼性向上と価格低下を図る方策はむろん、次期基幹ロケットの開発をどう進めるかも考えなければならない。 宇宙開発の国際情勢も大きく変化している。日本も参加する国際宇宙ステーションは徐 々に老朽化が進み、2020年に廃止の予定である。米国はスペースシャトルを引退させ、有人宇宙船開発の比重を民間に移している。一方、中国は無人宇宙船のドッキングに成功し、有人宇宙ステーションの建設に大きく踏み出した。 現状では、20年以降に有人宇宙施設を保有するのは中国だけということにもなりかね ない。米国の方針転換に伴い、同国に追随する形で進められてきた日本の中長期の宇宙開発戦略も根本的見直しを迫られているのである。 米ロは宇宙開発予算の確保が課題になっているが、日本も同様である。来年度の宇宙関 係予算は概算要求で約2700億円となっており、今年度より約360億円少ない。09年度策定の宇宙基本計画は、宇宙産業を電子・電機産業、自動車産業に次ぐ21世紀の戦略的産業に育成するとうたっている。計画対象期間は13年度までの5年間であるが、中間点を過ぎた今、H2Aの商業利用の戦略立て直しなど、基本計画を柔軟に見直す必要もあるのではないか。
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