厚生労働省と全国知事会など地方側代表は12日、「国と地方の協議」を開き、生活保護受給者の自立・就労支援策の強化などを柱とする生活保護制度改革案の「中間とりまとめ」を行った。月額10万円の給付金と無料の職業訓練をセットにした求職者支援制度に関し、職業訓練中の受給者が理由なく訓練をやめた場合に加え、就職が見込めるのに訓練の申し込みをしないケースも新たに生活保護打ち切りの対象とすることを盛り込んだ。
10月にスタートした同制度を最大限活用するため、中間案では理由なく訓練をやめた場合など、生活保護の打ち切りを検討する対象を初めて示した。厚労省は「訓練の強制ではない」と説明するが、受給者を支援する弁護士らは「保護から不当に締め出されかねない」と早くも懸念の声を上げている。
他の見直し案は運用改善策中心で、検討していた生活保護受給者の医療費に自己負担を導入するといった抜本改革案は影を潜めた。柱の就労支援強化策では、年齢などに応じた支援策を国が作り、期限を定めて集中的に実施するとした。清掃など直接就職に結びつきやすい技能訓練に取り組む自治体には、財政支援などを検討する。
保護費の半分を占める医療費の抑制策については、電子レセプト(診療報酬明細書)のチェックを強化し、医療機関の過剰診療を防ぐことを挙げた。
不正受給対策では、国による告発基準の策定、保護申請時に暴力団員でないとの申告を求めることや、申請書類に顔写真を添付する案を示した。地方側が要望していた保護費の全額国庫負担は「中長期的な課題」として事実上、見送った。
12日の協議には、小宮山洋子厚労相ら同省政務三役と、地方側が推薦した石川県知事、川崎市長、高知市長、広島県坂町長が出席した。地方側は「年金の支給額よりも保護費が上回り、保護を抜け出す意欲を阻害している」と保護基準に注文をつけた。【石川隆宣】
・年齢などに応じた就労支援パターンを国が策定し、期間を定め集中的に実施
・就労に結びつきやすい技能習得訓練の実施(例・清掃、警備など)
・貧困の連鎖を断つため、子どもや親への養育相談・学習支援などの充実
・正当な理由なく求職者支援制度を受講しない場合は保護の停廃止も検討
・電子レセプト(診療報酬明細書)を活用した医療扶助適正化に向けた地方自治体の取り組みを支援
・金融機関への資産調査の際、本店に一律照会できるよう要請
・ケースワーカー業務の外部委託の検討
・国3、地方1の現行の費用負担のあり方は中長期的な課題
毎日新聞 2011年12月12日 23時06分
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