20世紀の現代的英語学習方法
20世紀にもなると世界的に見て、地球規模での人的交流が増え、日本だけでない世界的にみて外国語習得の機運が高まり、いろいろな方法や考え方が次々と導入されました。

頭教授法(Audio Lingual Method)

1940〜50年代にFriesやLadoを中心に、アメリカ構造主義言語学と行動主義心理学とを理論的背景として提唱かつ実践されました。アメリカ構造主義言語学の影響を受け、話し言葉が重視され、母語と外国語の音声的相違を口頭練習により習得することに重点が置かれていました。
また、音声には音素が線状に存在するとの考えの基に音を体系的に捉えています。全ての学習が刺激と反応と強化により成立すると考えた行動主義心理学の影響を受け、刺激と反応により学習させる指導過程が組まれました。それらにはMim-MemやPattern Practiceが代表例です。入門期1ヶ月近く文字を見せないため学習効率の低下、言語の意味が軽視され成人学習者が飽きてしまうこと、言語操作の練習をさせてもコミュニケーション能力につながらないことなどが問題とされました。

認知主義教授法(Cognitive Approach)

これは口頭教授法の批判として提唱されたもので、認知主義心理学と変形文法理論をもとにしています。この方法は機能中心であり、思考中心であり、生徒中心的な手法です。これは認知主義理論(Cognitive Code Learning Theory)に基づいており第二言語学習において学習者自らが多くの文の中から規則を発見し、その規則を創造的に使用できるようになっていく能動的な過程であると考えています。教師は学習者に言語規則を説明し、習得すべき対象を理解して、認識させた後、それらの規則が使われるコンテキストを重視した練習を行い、習得した規則をコミュニケーションの中で使えるように理解と発話の機会を十分に与えます。教師の役割は、学習者が規則を発見し、それを意味ある場面で使用できるようになるよう手助けをすることです。

全身反応法(Total Physical Response Method)

直説法の一つとして、1960年代にアメリカの心理学者Asherが提唱しました。言語活動と全身動作を連合させることにより目標言語の定着をはかるものです。Asherは、幼児が母語を習得する際話す能力より聞く能力を先に習得する点に注目し、外国語学習においても聞く練習を優先させる方が効果的であると考えました。学習者は教師が発する命令文に対し、全身を使って反応することが求められました。身体を使いながらの楽しい学習ができ、学習内容も定着しやすいと言われ評価されている一方、使用される表現の多くが動作を促す命令文であるため初級者以外には適さないとも言われています。

ナチュラル・アプローチ( Natural Approach Method)

Krashenのモニター・モデルに基づきKrashenとTerrellが考案した教授法です。外国語教室における自然な言語習得の促進を目的とし、コミュニケーション能力を育てることを第一の目的としました。そして教室内では理解可能なインプットを大量に与え自然な言語習得を促進させます。
そして言語学習が進むにつれ学習者は自然に話すようになるので、その時期が来るまで無理に発話はさせませんでした。英語を話したり書いたりする練習の前に、読んだり聞いたりする練習を十分に行わせました。学習者の心理的不安や緊張を取り除き、学習意欲や動機付けを高め、学習者がより多くのインプットを蓄積できるよう配慮しました。意識的に学習した文法は、発話の正確さを監視するモニターの働きしかないので、文法知識を適切に使用できるよう指導する、という6つのガイドラインを持っています。

人間主義的教授法(Humanistic Approach Method)

コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(Community Language Learning)1970年の始めにC.Curranが提唱しました。外国語学習の際の不安や恐れといったマイナスの心理的要因が成功度を妨げる原因となると考え、学習者の心理状態を安定したものに保つことを念頭に入れています。教師はカウンセラーとしての役割を果たします。学習者は小グループを形成し、言いたいことを母語で発話した後、教師がそれを翻訳し、学習者に伝えます。学習者は他のメンバーに繰り返し発音します。この方法は教師の負担が非常に大きく、学習者の言語習得につながるかは不明です。

人間主義的教育(Humanistic Education)

1970年代に、知育偏重と人間性の疎外に疑問を投げかけ、新たな人間性の回復を目指した教育運動の一環として提唱されました。そして外国語教育を単に外国の言葉を教えるものとは捉えず、全人格的成長を促すものとみなし言語を教える方法です。これでは機能中心や思考中心や生徒中心となりました。

コミュニカティブ・ランゲージ・ティーチング(Communicative Language Teaching)

1970年代に生まれた、コミュニケーション能力の養成を中心目標にしたCLTと呼ばれる教授法です。この手法は一つの独立した教授法を指すのではなく、概念や状況中心となりました。相互交流し活動させました。専門的な教材の積極的使用してコミュニケーション・タスクの活用などの特徴を持つ教授法全般を意味します。
学習者に言語をコミュニケーションの手段として使用できるように訓練させることを目的とし、コミュニカティブな活動を中心にして言語を学習させる教授法です。特に確定した教授法は存在ませんが、授業をPre-、 While-、 Post-の3段階に分ける方法が主流です。
グループワークおよびペアワークを用いるなどのテクニックがよく使われます。日本の中学校ではこれの近い方法を取り入れる学校が多くあります。しかし、十分な会話力もない生徒にはあまり効果的ではなく、この手法にも修正が求められています。

タスク中心教授法(Task-based Language Teaching)

学習者のニーズに基づいてタスクを選定し、タスクを中心にシラバスを編成する近代的な教授法です。タスクに取り組むことにより学習者が目標言語を教室内で積極的に使用することが主眼となり、大学などで良く取り入れられています。

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