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堺の2事件、結ぶ線は 主婦不明と象印元副社長強殺

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堺市内で起きた二つの事件

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二つの事件の関連場所

 堺市内で11〜12月に起きた主婦の行方不明事件と、象印マホービン元副社長の強盗殺人事件。いずれも金目当ての犯行とみられるが、手口や状況はそれぞれ異なる。大阪府警は主婦の行方を捜すとともに、二つの事件の関連を慎重に調べている。

■マスク姿、バイク、裕福な人狙う

 行方不明事件は11月5日、泉北ニュータウン(堺市南区)のショッピングセンター(SC)で起きた。買い物客でにぎわう週末の土曜日。主婦は近くの田村武子さん(67)で、買い物を終え、駐車場に戻った後、消息を絶った。

 強盗殺人事件は12月1日、SCから北に約9キロの堺市北区の住宅街で発生した。一人暮らしの尾崎宗秀(そうしゅう)さん(84)が自宅2階の納戸で手足を縛られ、ラップや粘着テープのようなもので顔を何重にも巻かれた状態で見つかった。前夜は月末。自宅近くで賃貸マンションを経営しており、集金したばかりの家賃収入約70万円が見つかっていない。

 両事件に共通するのは、裕福そうな女性や資産家が狙われた点だ。田村さんは夫と息子が歯科医で、SCには高級外車で訪れた。車に戻る際、駐車場で襲われたとみられている。

 尾崎さんは三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)の取締役を経て、象印マホービンの副社長に。自宅の敷地は約1千平方メートル。近くにマンションのほか、戸建て住宅などの不動産を持つなど、地元では資産家として知られていた。

 行方不明事件では、発生翌日の11月6日、都市銀行の現金自動出入機(ATM)で田村さんのキャッシュカードが使われ、預金5万円が引き出された。府警は銀行の防犯カメラの映像を公開。黒っぽい服装で、キャップ帽とマスクで顔を隠した男が映っていた。

 同じような姿をした男は、強盗殺人事件の発生当日、同じ北区内の農協支所にも現れた。尾崎さんのカードで現金を引き出そうとしたが失敗していた。

 いずれの事件でも、カードが使われたのと同じ時間帯、周辺の防犯カメラにバイクの男が映っていた。

■異なる犯行手口

 2事件の関連場所は堺市内に集中し、犯人に土地勘があることをうかがわせる。その一方で、手口は異なる。

 田村さんが行方不明になったSCでは、数日前から不特定多数の客の後をつける不審な男が目撃されていた。SCを出る田村さんの車は、出口を探すように一方通行の場所を逆行するなど不自然な走行を繰り返した。犯人が運転していたとみられ、用意周到さはうかがえない。田村さんはたまたま狙われたとみられる。

 これに対し、尾崎さんが襲われたのは自宅内。無理やり侵入したり、土足で立ち入ったりした形跡もなく、府警は顔見知りの人物が手足を縛るために結束バンドを用意し、計画的に犯行に及んだとの見方を強めている。家賃の集金状況も事前に知っていた可能性が高い。

 主婦不明事件にからみ、府警が今月6日に窃盗容疑で逮捕した西口宗宏(むねひろ)容疑者(50)は、かつて尾崎さん宅の向かい側にある家で暮らしていた。「私には知らないことです」。田村さんの口座から預金を引き出したとする逮捕容疑を否認しているという。

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