韓国電力が大型停電事故を繰り返すワケ

 今年に入って大規模な停電事故を3回も起こしたことに対し、韓国電力公社(韓電)の内部では「度を越した経費の節減が、今日の事態を招いた」という声が上がっている。「李明博(イ・ミョンバク)政権が発足して以来、電気料金を長い間据え置いたため、韓電が累積赤字を解消しようと、度を越した経費節減や人材削減を断行し、これに伴う疲労が蓄積したことが、今日の事態の原因」というわけだ。韓電は、李政権の発足後に就任した金双秀(キム・サンス)前社長の在任中(2008年8月-今年8月)、経費節減のために、新たな設備の導入や既存の設備の維持・補修のための投資を30%ほど削減した。

 だがその一方で、韓電の放漫経営が原因だという指摘も少なくない。韓電は年俸が1億ウォン(約686万円)を超す社員が1000人近くおり、依然として「神の職場」といわれるほど給与が高い状況だ。

 今年9月、韓電に対する国政監査の際に提出された資料によると、韓電では936人、子会社の韓国水力原子力では625人の社員が1億ウォン以上の年俸を受け取っていた。ほかの子会社を含めると、その数は2449人に上る。韓電と子会社を合わせた社員数が3万5000人程度ということを考慮すれば、約7%の社員が1億ウォン以上の年俸を受け取っていることになる。それだけでなく、韓電は08年から今年まで、国営企業の予算編成指針に反し、大学に通う社員たちの子どもたちの学費として、1381億ウォン(約94億7400万円)を支給していたことが国政監査で明らかになった。

 韓電の社員・役員たちの給与がどの民間企業にも劣らないほど高い一方、設備の維持・補修は十分に行っていなかったというわけだ。しかも、重要な顧客である企業に対しては高圧的な態度を取ってきた。今冬の電力需給対策として、企業の反発をものともせず、冬の電力使用量を昨年に比べ無条件で10%削減するよう強制している。また、電力設備の補修を要望する企業に対しては「現金を先に持ってくれば、工事を始められる」「電気料金を(自動振替にせず)現金で持ってくるように」などと言い放っているとの証言もある。

 結局、自分たちが得るべきものは全て手に入れ、それに見合うだけの努力もせず、企業には圧力を掛けるという韓電の経営のやり方が、相次ぐ大規模な停電事故を招いた、というわけだ。

朴淳旭(パク・スンウク)記者
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