停電被害、今年だけで678万件

「後進国でもないのに」

ささいなことで繰り返される予告なしの停電に怒りの声

 その上、被害の規模も大きい。1月の麗水化学団地での停電では26社で800億ウォン(約55億円)以上の損失が発生し、6日の蔚山石油化学団地での停電では135社に1000億ウォン(約69億円)以上の被害をもたらしたと推定されている。「9・15大停電」では、慶尚北道の亀尾産業団地だけで80社以上が被害を被るなど、政府が把握している被害額だけで610億ウォン(約42億円)に達した。今年になって発生した3回の大規模な停電により、企業だけで最低でも2000億ウォン(約137億円)を上回る被害が発生したことになる。

 しかしこれらの停電被害は、発電所から変電所に至る送電・変電施設の故障に伴う停電だけを対象に集計したものだ。韓電の関係者は「変電所と使用者をつなぐ配電部門での停電事故は、最初から集計できないため、被害額の算定は事実上不可能だ」と話す。

 先月27日には全羅南道の麗水国家産業団地内にある麗河NCC第3工場が、停電の影響で4日間にわたり稼働をストップした。この工場ではエチレン、ベンゼン、トルエンなど石油化学製品の原料を生産しているが、今年だけですでに3回停電が発生した。

 釜山市のノクサン工団に位置する鉄鋼メーカーのテヨンメタルでも、9月15日に突然1時間以上に及ぶ停電が2回発生した。鉄を溶かす高炉がストップしたため、修理などに2億2000万ウォン(約1510万円)の損失を被った。同社のカン・ドンヒョン副社長は「韓電には9月22日に被害届けを出したが、今のところ補償関する連絡は何もない」と話す。この工団内の別企業の社長は「韓国は後進国でもないのに、最近は電気がストップすることを懸念しなければならなくなった。考えるだけでも情けないことだ」と嘆いた。

 予告のない突然の停電に対する企業の不安も高まっている。現代製鉄仁川工場も先月4日に突然の停電に見舞われたが、同社の関係者は「0.06秒ほど電気がストップする瞬間的な停電だったが、もしこれが1分以上続いていれば、大きな被害が発生していた」と話す。首都圏で半導体部品メーカーを経営するP社長は、2カ月前に突然発生した停電のことを思い出すと、今も背筋が凍るような思いだという。P社長は「停電は幸い20分ほどで終わったが、これ以上長引いていれば、納期に間に合わせることができなかっただろう」と話した。

■被害の補償は受けられるのか

 停電が起こると企業では損失が発生するが、その補償を韓電などに求めることは、事実上不可能な状況にある。蔚山と並ぶ石油化学団地を抱える麗水で1月に発生した停電について、政府の合同調査チームは「韓電が事前に対応することは困難だった。技術面の限界故に発生した事故」との結論を下し「韓電には責任がない」との調査結果を発表した。GSカルテックスの関係者は「電力供給を独占している韓電を相手に訴訟を起こすことは非常に負担だ。そのため対応を取りやめた」とコメントした。

扈景業(ホ・ギョンオプ)記者
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