停電被害、今年だけで678万件

「後進国でもないのに」

ささいなことで繰り返される予告なしの停電に怒りの声

 「原材料の加工中に突然、電気がストップしたらどうなるか。芯が残るご飯のようになってしまったら使い物にならず、捨てるしかない。しかも、機械から取り出す作業や清掃作業も必要だ。停電による被害はとてつもなく大きい」

 今月6日に突然の停電に見舞われた蔚山市内の石油化学工場の役員らは、怒りを隠さなかった。SKエナジー蔚山工場では7日、停電から丸1日過ぎたにもかかわらず、工場の煙突からは数十メートルの上空にまで炎と真っ黒い煙が上がり続けている。工場がストップした影響で変質した原料や配管内に残った排ガスを燃焼させ、高圧の空気で外に排出する作業を行っているからだ。この工場は同日午後になってようやく、石油精製工場への原油投入を再開した。工程が非常に複雑な石油化学工場は、9日ごろにならなければ通常通りの作業を再開できない見通しだ。

 蔚山市内の暁星竜淵工場とハンファケミカル蔚山第1、第3工場、KPケミカル蔚山工場などでも、7日から徐々に工場の一部が稼働を再開した。しかし、どの工場も「稼働率が正常な状態を意味する“フルロード”になるまでは、1週間以上かかる可能性がある。生産への影響は非常に深刻だ」と嘆いている。

 これらの工場では、停電直後から非番の交代作業員全員を駆り出して作業に当たっている。配管の中に残って使えなくなった原料の化学物質や排気ガス、廃スチームなどを高圧の窒素ガスで排出しなければならないからだ。一部の工場では配管の温度を維持してきた摂氏100度以上の高圧スチームの温度が下がり、原材料と半製品が固まるなどの被害も発生した。工場関係者は「問題が発生した配管を分離し、超高圧ガスなどを使って配管の中に残って固まった原材料を破砕して除去するか、それができない場合は配管そのものを交換しなければならない」と説明した。

■企業は停電に打つ手なし

 産業の根幹である大規模な工業地帯で一斉に停電が起こった場合、企業にとっては打つ手がない。問題は、最近になってこの種の停電が大企業や中小企業に関係なく、各所で相次いで発生している点にある。

 韓国電力の内部資料や本紙の独自取材で7日までに明らかになったところによると、今年に入って停電による被害が発生した企業、住宅、商業施設は678万カ所に達する。韓電が電力を供給している施設は全国に1922万カ所あるが、およそ3分の1が突然の停電を経験したことになる。

 このように被害件数が増えた要因は、今年1月に麗水化学団地で発生した停電や「9・15大停電」をはじめ、今月6日に蔚山化学団地で発生した停電など、今年に入って大規模な停電が相次いで発生しているからだ。麗水と蔚山は韓国の2大石油化学工業地域だが、1年のうちに双方で停電が発生したのは今年が初めてのケースだ。特に蔚山での停電は、韓電が産業用の電気料金を引き上げた翌日に発生している。

扈景業(ホ・ギョンオプ)記者
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