二〇〇七年にJR西日本社内で起きた性暴力事件を問う控訴審の判決が一一月四日、大阪高裁で出され、坂本倫城裁判長は、被害者に対する性暴力を認め、加害者Aに一〇〇万円の賠償を命じた。

 一審神戸地裁龍野支部では、被害者とAとの間で交されたメールが一見親しげなことから「性暴力とは認められない」としていたが、坂本裁判長は、Aが欲望のはけ口として最初の性暴力に及んだと認定した。ここまではよい。

 しかし一方で、最初の暴力以降に交されたメールの親しさは恋愛関係を示しており、「性暴力から恋愛に発展した」という信じ難いストーリーを描いた。また、会社に対する被害者の請求も退けた。

 被害女性は「脳性まひ・障害一級」で、〇六年にJR西日本に一年単位の契約社員で採用された。そして〇七年一一月、社員旅行の帰りに初めて性暴力を受け、Aにその後も飲みに行くことなどを強要され、ホテルに連れ込まれたりした。数カ月その関係は続いたが、意を決した被害者は会社のセクハラ相談室に相談した。しかしそこで「セカンドレイプ」を受けた。聴取したセクハラ相談室の男性社員は、被害者を揶揄する言葉を吐き、「セクハラはなかった」と口答したという。 

 被害者は現在PTSDで休職を余儀なくされているが、今回の判決に上告の意思を示している。

(高見元博・ライター、11月18日号)

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