積み替え貨物でにぎわい見せる釜山港

 釜山港の積み替え物量が増えた理由の一つとしては、中国北方の港が濃い霧と高波の影響で、頻繁に閉鎖されたことが挙げられる。今年に入って8月までに上海港は、濃霧などの悪天候により、計27日間もポート・クロージング(港湾閉鎖)を断行した。このほか、同期間に寧波港は25日、青島港は35日間も、それぞれ閉鎖を余儀なくされた。ちなみに釜山港は同期間に一度も閉鎖に追い込まれていない。港湾が閉鎖されると、海運業者は港周辺で待機しなければならず、その日数に応じて数百万ドルの損害を被ることになる。

 こうした状況でマースク、MSC、韓進海運などの大手海運業者が目を付けたのは、小型コンテナ船で中国などの貨物を釜山に運搬する「フィーダー」サービスだ。中国の青島港や大連港などと釜山港の間を定期的に行き来して積み替え貨物を運搬する、小規模運送サービスのことだ。

 また、中国が緊縮政策を展開したことで、輸出入の増加基調が鈍り、海運業者が中国の北方地域まで大型コンテナ船を持ち込む必要がないと判断したことも、少なからず作用している。実際に、中国の10月の輸出は昨年同期に比べて15.9%増にとどまり、ここ2年で最も低い水準となった。

 例えば、5000TEU級以下の船が中国の港から釜山港まで石油化学製品を運搬し、ニューヨーク号をはじめとする米国と釜山を行き来する大型コンテナ船がこれを積み込み、米ロングビーチなどに向け出発するといった具合だ。

 釜山港のもう一つの強みは、釜山港のコンテナ船の作業コストとスピードだ。韓進海運新港湾(株)のパク・サンムク次長は「ここでは1時間に34個のコンテナを船積みしており、この処理量は世界最速レベル」と話す。また釜山港は、コンテナ一つの船積み・荷役料が40ドル(約3120円)前後にすぎず、90ドル(約7020円)前後を徴収している上海との差は大きい。

■内需だけに目を向けていては成長も限界

 積み替え貨物の増加は、釜山港を行き交う定期航路の増加にもつながった。釜山港湾公社が発表した資料によると、釜山港で年間1000TEU以上を船積みした国内外の海運業者66社を対象に調査した結果、運航している航路の数が昨年の323航路から今年は368航路(45航路増)に増えたことが分かった。このうち最も増加が著しかった航路は、欧州や南米などの長距離ルートだった。

 専門家は、積み替え貨物が増えるにつれ背後の物流産業も発達し、船積みや荷役料に伴う収入が生じるため、経済的に大きな利益をもたらすとみている。韓国海洋大学のキム・ギルス教授は「釜山港が韓国の輸出入貨物を取り扱うだけでは成長に限界があるため、今後も北東アジア全般の積み替え貨物を誘致していかなければならない。世界最高水準の価格競争力と生産性を維持するためにも、神経を注ぐべきだ」と指摘した。

扈景業(ホ・ギョンオプ)記者
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