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【社会】

有権者100人アンケート 燃える不信 市に冷視線

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 処理できない可燃ごみが、街中にあふれたら−。自前の焼却場を持たず、市民がこんな不安に包まれた東京都小金井市のごみ問題。前市長の辞職を受け、市長選が十一日に告示されるのを前に、本紙は有権者百人にアンケートを実施した。「焼却場候補地の住民を説得できなかった」「市民交流センターを建ててる場合じゃない」など、ごみ処理という暮らしの基盤を確立できない行政への不信があらわになった。

 「四年間で二十億円の無駄遣い」。今年四月の市長選で、佐藤和雄前市長が周辺自治体へのごみ処理委託費が高額だと批判し、約一万八千七百票で初当選した。この発言に、ごみを受け入れていた自治体が反発。佐藤前市長はおわび行脚をしたが、本年度分のごみのうち、受け入れ先が未定だった約五千五百トンを拒否された。

 辞職について「当然」「やむを得ない」が計八割に上った。逆に「辞職するべきでなかった」は十七人おり、介護職員の男性(47)は「発言も含めて有権者の信任を得たのに、周りの自治体の反応で辞めるというなら、あの選挙はいったい何だったのか」と、納得がいかない様子。

 「ごみをどう処理するべきか」の問いでは、六十二人が「市内に焼却場を新設するべきだ」と答え、懸案に終止符を打つことへの期待が表れた。一方「当面は周辺自治体や清掃組合に委託」「周辺自治体の清掃組合に加入」との声は計二十六人にとどまった。

 長年ごみ問題が進展しなかった原因について、目立ったのは行政への不満だ。

 会社員児玉啓治さん(48)は「駅前開発に力を入れすぎて、大事なごみ問題をおざなりにしてきた」、行政書士大森信吾さん(54)は「旧二枚橋焼却場での建て替えに固執せず、もっと早く対応すべきだった。行政が負うべき責任で、市民に責任はない」など、厳しい目が注がれている。

 会社員吉崎正信さん(50)は「市の公共施設は造りっぱなしで老朽化するばかり。そういう意識の欠如が、ごみ焼却場に集約して表れた」と指摘。

 主婦(55)の「歴代市長が困難なことを避けてきた」、会社員の男性(43)の「市職員の問題。先送り体質」、主婦(69)の「議員も傍観していた」のように市長や市職員、市議の個別の責任論もあった。

 一方、迷惑施設の受け入れを避けたいという住民エゴを問い直す声が聞かれた。会社役員の男性(78)は「自分の家の隣なら困るが、それ以外ならどこでもやってくれという市民意識が問題」、主婦(62)は「住民運動が盛んで、焼却場建て替えに反発する気風が強かった」と振り返る。

 小金井市の地域特性を挙げる人も。面積が多摩地区の二十六市中、七番目に狭い約十一平方キロで、大きな川や山の近くといった人が少ない場所がない。主婦(44)の「住宅だらけで、焼却場をつくる土地がない」などの意見が複数あった。

    ◇

 アンケートは八日〜十日、小金井市内で二十歳以上の有権者に対面式で行った。

 

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