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【経済】

重量税500億円不足 「代替確保」政府守れず

 政府は十日未明、二〇一二年度税制改正大綱を閣議決定した。政府と民主党の調整が難航し、決定が未明までずれ込む異例の展開となった今回の大綱。存廃をめぐり協議が最後までもつれた自動車重量税の一部減税では、代替財源不足という問題も残った。一方、景気への波及効果が大きい住宅関連では、省エネ住宅ローン減税制度の創設や住宅資金の贈与非課税枠の延長・拡充などの増減税項目が並んだ。

 政府の二〇一二年度税制改正では、自動車重量税千五百億円の減税のうち約五百億円の代替財源が確保できていない。廃止を求めた経済産業省や民主党は減収分を穴埋めする財源を示さないまま交渉に臨んでおり、新たな減税には恒久的な代替財源の提示を求める政府の原則は有名無実化している。

 政府は、重量税の本来の税率に上乗せされている約三千億円の半分に当たる約千五百億円分を、来年五月から減税する方針だ。

 「(経産省などの)ごね得ではなく政策判断だ。自動車産業が日本経済に占める重さを否定できない」。安住淳財務相は十日未明、税制改正大綱決定後の会見でこう語った。しかし、延長するエコカー減税の対象絞り込みなどで確保できる九百億〜一千億円程度の財源を差し引いても、まだ五百億円程度足りない。五十嵐文彦財務副大臣によると、重量税の減税を要求した経産省の政策分野で穴埋めとなる歳出削減を求めているものの、まだ財源確保の見通しは立っていないという。

 重量税は国税だが、税収の約四割が市町村の一般財源に回っている。黄川田徹総務副大臣は十日の会見で「地方への影響は精査中」と述べ、地方税収への影響も懸念される。

◆省エネ住宅ローンを減税

 省エネ性能の高い新築住宅向けの住宅ローン減税制度を創設する。原発事故による電力需給の逼迫(ひっぱく)や環境問題への対応のため、産業部門に加え家庭での省エネも注目されていることから、従来の住宅ローン減税よりも控除限度額を引き上げ、電力などのエネルギー消費の少ない住宅の普及を狙う。

 対象は、壁や屋根に断熱材を使ったり、電力消費の少ないエアコンや給湯器などを設置するなど、国土交通省が定める基準に適合した省エネ住宅。二〇一二年中に住宅を購入した場合、一般住宅の住宅ローン減税は最大三千万円の借入金が税額控除の対象となるのに対し、省エネ住宅は一千万円多い最大四千万円が対象になる。毎年末の住宅ローン残高の1%が所得税額から控除されるため、省エネ住宅の減税額は、減税期間十年間の合計で一般住宅より百万円多い最大四百万円となる。

 新制度は一三年末までの新築が対象。一三年の控除限度額は一二年より一千万円減少して三千万円(一般住宅は二千万円)となる。

◆固定資産税一部特例を縮小

 地価の高い市街地などの固定資産税(市町村税)の税額を通常より低く抑える軽減特例の一部を二〇一二年度から縮小し、一四年度に廃止する。これにより、一部の住宅地では実質増税となる。

 全国的に地価の下落傾向が続く中、一二年度は固定資産税の算定基礎となる課税標準額を三年ごとに見直す評価替えの年に当たるため、税収は四千八百億円減と過去最大の落ち込みになる見込み。地方自治体の固定資産税収を確保したい総務省の要望を受け入れ、軽減特例を見直すことにした。

 具体的には、課税標準額の上限を本来の80%に抑える特例措置について、一二年度と一三年度に上限を90%に引き上げ、一四年度に全廃する。総務省はこの特例措置の廃止により、全国で五百億円程度の増税になると試算している。

 

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