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【芸能・社会】

市川さん アウトサイダーを自任 人間の聖と俗を描き続ける

2011年12月11日 紙面から

「蝶々さん」の完成試写会で出演の宮崎あおい(中)らと並んだ市川森一さん(左)=先月11日(五十嵐文人撮影)

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 市川森一さんの創作の背景には、人間に対する深い洞察があった。

 「僕はホームドラマを書いたことがない」。「黄金の日日」などNHK大河ドラマを3作手掛けるなど、華々しいキャリアを積み上げながらも、「アウトサイダー」を自任していた。長くホームドラマが主流だったテレビ界の中で、予定調和のハッピーエンドを嫌い、人間の聖と俗を描き続けた。「淋しいのはお前だけじゃない」などでは、人間の弱さやずるさを、温かいまなざしで見つめた。

 山田太一さん、向田邦子さんといった先輩たちへの対抗心をのぞかせ、「さんぜんと輝くスター作家に追いつきたいと、走り続けてきた」と振り返ることもあった。

 近年は放送作家の存在感低下を恐れていた。テレビ台本のアーカイブ化や、アジア各国の放送作家らが集まる会合の開催などを主導。たびたび放送作家が発揮する「作家性」の重要性を主張してきた。

 「テレビ界が目先の視聴率だけに目を奪われていると、日本の優秀な作家の海外への流出も起きかねない」。そう語る声には、テレビドラマが熱かった時代への思いが強く、後輩作家たちへの思いやりがにじんでいた。

 

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