ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 広島 > 記事です。

広島

文字サイズ変更

追跡2011ひろしま:呉市バス、来春広電に譲渡 不採算路線の扱いが課題 /広島

 ◇市負担、公営時の6割に 交通局清算費用は62億円

 来年4月のバス事業民営化を進めている呉市は、事業移譲先の広島電鉄に対する支援金などの負担額が初年度は8億7700万円で、計画した9億円を下回る見通しを明らかにした。公営で存続した場合の負担額を6割以下に圧縮できるという。一方、交通局廃止に伴う清算費用は62億円。人口減などで今後の増収が見込めず、県内唯一の公営バスの旗を降ろすことになったが、不採算路線の扱いなどの課題が残る。【寺岡俊】

 市は11月25日にあった市議会公共交通問題対策特別委員会で、広電への支援策やバス事業の清算費用などを説明。12月定例市議会で、関連予算を審議している。

 支援の柱は、赤字路線維持のための経営支援補助金で、4億2400万円を計上した。次年度以降は経営状況によって額が変動するが、市は「金額は減る」と言う。

 広電は「呉バスカンパニー」を新設して17路線を引き継ぎ、運行ダイヤや運賃体系は2年間、変更しない。3年目以降は市と広電が協議して決める。広電は「この間に利用状況やニーズを調査し、きめ細かいサービスや効率的な運行に努力し、路線維持に努める」とし、呉地区の財政状況を明確にして「補助金に頼らない経営基盤を築きたい」と言う。

 一方、交通局廃止に伴う清算費用62億円のうち、最も多いのは職員の退職金で、計約33億円。市交通局がリース契約していた阿賀南営業所は、引き継がれないことになった。08年4月にリース契約を結び、車庫や事務所は28年3月末まで契約を残している。中途解約金約5億6000万円が必要という。

 市の試算では、公営維持の場合は11年度からの5年間で、一般会計から毎年約15億円の負担が必要だった。事業移譲で負担は減るが、黒字化の展望があるわけではない。呉市の人口は24万人1344人(9月末現在)で高齢化率は29・52%。合併で現在の市域になった05年は25万4126人、25・5%(いずれも同時期)。人口減と高齢化に合わせるように、バス利用客は05年度の約180万人が10年度は約163万人に。約32億円あった運輸収入も約27億円に減った。

 島しょ部も抱える市内バス路線は、245キロ余り。民間移譲決定後、市議会には「市民の足を守れるのか」「不採算路線が運行できなくなった場合はどうするのか」などの声がくすぶった。市は維持が困難になった路線について、乗り合いタクシーへの委託なども検討する。呉駅前でバスを待っていた主婦(57)は「バスの有無で行動範囲が全く違う。売り上げとは別の視点を持ち続けてほしい」と注文した。

毎日新聞 2011年12月10日 地方版

 
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画

特集企画

中小ビジネスを変えるオンラインとは

ウェブサイトが15分で簡単作成、しかも無料で

東京モーターショー 注目のクルマ

クルマの最先端が集結

東海大学:ソーラーカーレースで連覇!

学生は社会で必要とされる力を身につける